神様のポイント稼ぎに利用された２

保護者の居ぬ間に

第496話

　僕らは朝食食べたけれど、皆さんはまだだったようなのでお騒がせした謝罪代わりに朝食を作っています。

　ドリちゃんが持たせてくれた大鍋に業務用で購入した鍋セットを投入。
　鍋なら材料切って入れるだけだから僕でも作れる！

「風のやばい……げふん、刃！」

　白菜多めにしようとアー君が白菜を魔法でざく切りにしてくれた。

「きゅんきゅん」
「お前らネギ好きだなー」

　三匹にうるうる瞳ですり寄られた刀雲が長ネギを刻んでいる。
　どうやらわんこ三兄弟、いつでも食べれるようにネギをアイテムボックスに保管しているみたい。

「涼玉、いいぞ」
「がぅ！」

　レイアさんは肉の塊を並べ、涼玉に火を吹かせている。

「姉御、食べていいですか！」
「いいんですよね！」
「皿を持って待機する暇があったら肉を切る手伝いしてろ」
「イツキ、カニ持ってきた」
「あれ？　神薙さん？」

　赤黒い丸太状のものをアイテムボックスから取り出したのは、いつの間にかいた神薙さん。

「大地に封じられているから来れないとか言ってたような？」
「……イネス用にエビもあるよ」
「エビー！！」
「イネスまだ調理されてないから！」

　露骨に目を逸らされた。

　あれ？
　そう言えば離れられないもなにも、このお方、異世界に天女を食べに出張したことあったな。

「ドリちゃんは遠征出来ませんからね」
「うん」

　未知なる魔物肉より日常の食べ放題か、騎士様なんかごめんなさい。

「餃子も入れましょうか」
「やった」
「ラーシャ、ラーシャ！！」
「いててててて、まだ出来てないから、途中だから落ち着いてぇ」
「イネス、スープの味見する？」
「します！」
「いてっててっ」

　興奮してラーシャの腕に連続蹴りを入れているうちの子、あまりにラーシャが不憫だったので小皿に少しスープを入れて渡したらさらに腕に一撃。

「ほら、落ち着いて」
「まーだ？」
「まって、ふーふー」

　……本当にふーふーしてました。
　野菜を切り終えたアー君が呆れたような顔で見ているよ。

「はい、あーん」
「んーーーー！！」
「美味しいみたいだよ」
「良かった。エビの殻は持って帰っていいよ」
「さんきゅー」

　カニの殻は神薙さんのおやつだけど、エビはイネスの好物だから譲ってくれました。

『とーうん出来た？』
「一口食べてみるか？　熱いから気をつけてな」
『あーん』

　焚火をおこした刀雲が次に作っているのは焼きりんご、それを小さく切ってシャムスに差し出すと、嬉しそうにシャムスが口を開けた。

「！！！　あーーー」

　それを見たアー君がダッシュで駆け寄って刀雲の膝にしがみつき、俺も俺もと口を開ける。

「！」
「わふ！」

　涼玉と三匹も後に続き、味見のはずの焼きリンゴは一瞬で無くなりました。
　僕の分……。

「雷ちゃんも食べる？」
「主、これ焼過ぎ、ほぼ炭だぞ」
「っく」

　子供達に囲まれてデレデレしている刀雲に対抗しようとした騎士様だけど、雷ちゃんにダメだしされて撃沈していました。

　そうしているうちに鍋が完成したので、並んだ人から順に配ったら、なんか感動して泣かれたのですが……。

「うぅ美味い、生きてて良かった」
「嫁さん欲しいよぉ、神子様みたいとは言わない、でも優しい子がいいなぁ」
「うまー、鍋うまー、お代わりしたい」
「いや、さすがにまずいだろ」
「大丈夫ですよ、たくさん食べてください」

　遠慮してもしなくても、神薙さんが食べ尽くしたらそれで終了です。そう告げたら一斉に視線が神薙さんに集中した。

「神薙、鍋熱くないの？」
「へーき」

　そこにはお代わりの分が入った鍋を抱え上げ、飲み物のように平らげる神薙さんの姿が。

「すみませんでした、お代わり下さい！」
「俺も！」
「並べ並べぇ！」

　この時点で残りの鍋が七個以下になりました。
　全員お代わりするのに間に合わないだろうなぁ、これ。