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保護者の居ぬ間に

第458話

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 強くて意思疎通が出来るドラゴンが欲しい! 作ろうぜ! となったので慌てて止めた。

「だめか」
『だめねー』
「すごいひっしだった」

 保護者がいない今、あまりやらかされても困るの。
 春日さん?
 あの人は……保護者として頼るにはちょっと頼りない。

「うーん、タイガに頼んでドラゴン生け捕りにしてもらう?」
『しゅんさつしちゃう』
「ワンパンだぜ」
「雷がいればなー、ラスボス見繕ってもらえたんだけどな」

 騎士様が戻るまでは魔物製造禁止と言い渡したら、今度は魔王領にいるドラゴン生け捕り計画を立て始めたのですが。
 もう無理やりお昼寝タイムにすべきだろうか、でもそれってただの問題の先送りなんだよなぁ。

「涼玉がラスボスやってみるとか?」
「俺歩くのやっと」
『卵が重いの』

 涼玉が歩くのに苦労しているのは卵から出ないからだと思うんだ。

「あっ、グラに頼めばいいんじゃないか?」
『それいいね』
「グラ?」
「涼玉の父ちゃ……あっ!」
『あっ』

 言って、なかったっけ?

「俺に父ちゃんいたの!?」

 ごめんなさい、います。
 さすがの僕も相手なしでは妊娠出来ません。

 先日のハロウィンパーティにも来てたけど、親子揃って食べるのに夢中で結局気付かなかっただけです。
 あちらはタイガの子供達を庇護する事を生き甲斐を見出して、僕を妊娠させた事なんて想像もしないだろうし、まして子供がいるとか考えもしないだろう。
 僕が産んだ子って実の父親が誰だろうとも、刀雲が父親役やってくれるから知らなくてもいいかなって思ってました。

 うん、すみません、色々理屈を並べたけれど、単純に忘れていただけです。

「母上、親子の顔合わせが先だよな」
「いやどうしよう」

 会わせなきゃいけないのは分かる。
 でもその流れで、責任取って婿になるとか言い出しても困るんだよね。

 ゴン

「ん?」

 床に何かをぶつけるような音がしてそちらを見たら、春日さんの隣に床に倒れこんでいるグラちゃんがいました。

「え、涼玉の父親ってこいつだったの?」
「おやおや、これは責任を取らないと」

 前枢機卿様もいらっしゃいました、なんで、このタイミングで!!

「お前……タイガの子供の面倒見る前に、自分の子供の面倒見ろよ」
「われの、こども、けつえん」

 ぽわ~っと呆けていたけれど、段々とその顔が幸せそうに緩んでいく。

 逃げたい。
 どこか適切な逃亡場所はありませんか?
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