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家族が増えました

第422話

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 獅皇さんが秋に関する名前を考えてくれたけど、なぜか本人から熱く希望されて再考に。

「流石にきりたんぽを名前にするのはなぁ」
『おにぎりも違うの』
「シャム兄様、好きなもの」

 なるほど、どうやらシャムスが好きなものの名前をつけて欲しいようだ。
 だからと言って食べ物の名前を付けたら神薙さんに狙われるよ、食料的な意味で。

「うーん、ぶどうがしゅき」
「母上、緑の葡萄って何がある?」
「えぇぇちょっと待ってねー」

 困った時のメニュー画面、開け緑の葡萄一覧表!

「シャインマスカット、アレキサンドリア、ロザリオ・ビアンコ、涼玉りょうぎょく翠峰すいほう……結構あるね」
『これ!』
「獅皇が挙げた名前とも結びつくし、いい感じだな」

 選ばれた名前は「涼玉」、爽やかな新緑色なんだけど……言えない、シャインマスカットとどこが違うのか分からないって言えない。
 色も形も同じに見える。
 食べたところで味の差もきっと僕には分からないんだろうなぁ。

「涼玉」
「グガ!」

 でもまぁ、本人は気に入ったみたいだからいっかー。

「じゃあすごろくやろう、ドリアン出してー」

 名付けが終わったので満足したのだろう、さっそくすごろくをやるようだ。

『りょーちゃんの駒ないね』
「何か代用するもの……そうだ涼、鱗一枚くれ」
「ガ?」

 卵の殻を割って腕がにょきっと生え、アー君の手に鱗が渡された。
 でもね、腕が引っ込むと殻も自動修復されるんだよ、仕組みが謎。

「シャムス捏ねて」
『あい』

 シャムスが鱗をこねこねすると、あっという間に新緑色のミニスライムが完成。
 ぷるるんと身を振るわせてから自らスタート地点に移動した。

「タイガが帰ってきたらまた作ってもらおう、それまでこれが涼の駒な」
「!」

 よほど嬉しいのだろう、卵がその場で急回転してハートを飛ばしている。

「すごろくはこのサイコロというアイテムを転がして、出た数だけマスを進める遊びだ」
『僕まだクリアしたことないの』
「シャムスはミニゲームで遊び過ぎ」

 幼児が遊び始めたのでもう離れても大丈夫かな。

「獅皇さん、子供達の子守りお願いしますね、僕は昼食作ってきます!」
「分かった」

 長時間飽きずに遊べるゲームだし、獅皇さんもいるから安心して僕は調理場に向かった。
 さぁお昼作るぞー!
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