上 下
419 / 1,127
家族が増えました

第415話

しおりを挟む
 僕は今、全身をもふもふに包まれている。

 これいい、すっごくいい。
 このサイズのぬいぐるみ欲しいなぁ、騎士様にお願いしたら出してくれるだろうか。

「母上極楽?」
「うん」

 もふわぁと全身を包むこの感じ、もふもふ好きにはたまりませんな。

「ダロスありがとな」
「アルジュナの為だ、ぬいぐるみ役も甘んじて受け入れる」
「はーもふもふ」
『もっふー』

 そう、僕は今、アー君の婚約者である白熊ダロスを座椅子代わりにしている。
 ルークでも体験出来ると言えば体験出来るんだけど、その後のあれこれもセットだからね。

『喜んでるね』
「母上喜んでいるらしいぞ」
「そっかー」

 お腹の子もご満悦のようです。

『もふもふズ帰ってきたからアカーシャももうじきね』
「今日は魚尽くし、アカーシャ何か買ってこないかな」
「俺は串焼き料理が食べたい、魚はもう十分だ」
「ダロスは海から帰ったばかりだもんなー、母上、肉料理追加してもらっていいか?」
『焼いてもりもり?』
「丸焼き上等だ」

 僕はまだ動きたくない、なのでドリアンを呼んで肉料理を一品追加をお願いした。
 この白熊、ダメになるやつだ。
 動きたくない、出来れば食事もこの態勢でお願いしたい。

 ダメなのは分かっているよ、思っただけー。
 白熊さんが食事中にアー君を離すはずがない、しかも長期漁業から帰還したばかりだしね。

「まーま、でざーとなぁに?」
「何がいいかなぁ、あっそう言えば雷ちゃんの声で『プリンを捧げよ』って言われた気がする」
「毎日食べていた物を強制断ちしているような状況だからな~、プリンを用意して適当に祭壇作って祈れば届くだろ」

 えっ本当に!?

「母上、確か神社の奴らが雷に届けたプリンがあっただろう、2~3個出してくれ」
『メリベル、何か台ある?』
「これでいいですか」

 シャムスに呼び寄せられたメリベルがアイテムボックスから取り出したのは子供用テーブル、確かに簡易祭壇として使うにはちょうど良いかもしれない。

『どれがいっかなー?』
「キャラメルソースがかかっているのと、フルーツ乗せ、あとは生クリーム付きのにしよう」
「胸やけ起きないかな」
「大丈夫だ。今の雷なら食べれる」

 テーブルの上にプリンとスプーンを置く。

「手を合わせて、雷、捧げものだぞ、受け取れー」

 ひゃっほぅ!

 そんな声が聞こえると同時に目の前からプリンが消えた。

「……明日からは数個ずつプリンを送ろう、雷の精神状態が心配だ」
「うん、あんなはしゃいだ声とか珍しいよね、メニュー画面でシェイクタイプのプリン探しておくよ」

 修羅場明けの女神様みたいなテンションだったなぁ、ドリちゃんドリンクも付けよう。
 本当に皆さんどこに遠征に行ったんだろう、生まれるまでに帰ってくるかなぁ?
しおりを挟む
1 / 5

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

ご主人様と猫少年

BL / 連載中 24h.ポイント:63pt お気に入り:272

盲目王子の策略から逃げ切るのは、至難の業かもしれない

恋愛 / 完結 24h.ポイント:134pt お気に入り:1,766

【完結】オオカミ様へ仕える巫子はΩの獣人

BL / 完結 24h.ポイント:49pt お気に入り:408

あまりものの神子

BL / 連載中 24h.ポイント:21,755pt お気に入り:1,931

婚約者の彼から彼女の替わりに嫁いでくれと言われた

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:14,321pt お気に入り:496

四人の魔族とおいしい私

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:21pt お気に入り:45

シーメール精神鑑定医・指尻ゑ梨花 ファック・パペット達の図形定理

ミステリー / 完結 24h.ポイント:553pt お気に入り:142

処理中です...