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家族が増えました

第396話

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 ドラゴンは子供たちのヒーローになった。
 何せ希少な薬草採り放題、ただ、無料、対価なし。

「この国で暮らせばいーよ」
「そうそう」
「王都はダメかな」
「神様がじゅうたいぎみだからなぁ」
「父様に相談して、領地もらえないかな」
「いいかもー」

 ドラゴンの髪を編み込みして遊びながら子供達が好き勝手言っている。
 当のドラゴンはと言うと、たくさんの子供に囲まれて幸せそうに顔を緩ませているんだよね、あれか、一人は寂しいから家族が欲しいのかな。
 ヘラ母さんの助手やマシュー君の所でお手伝いとかどうだろう、子供達に囲まれて揉みくちゃにされている間に寂しさ紛れて、お嫁さんがどうのとか流れないだろうか。

「おばあさま、ドラゴンのために土地ほしいです」

 ……おばあさま?僕?

「他の呼び方で」
「いちゅきちゃま」
「ばーば」
「神子しゃま」
「それで」

 ばーば呼びはヘラ母さんとタブるからね。

「あのね、神子様は権力者の知り合いたくさんなの」
「先生も権力者だったんだよ」
「どんなところがいいですかー?」

 トレントがなぜか花を降らせてきて、それを受け取った子供達はドラゴンの髪に飾り始めた。
 平和な光景だな、こういうのは歓迎します。

『きれい?』
「シャムスが一番」
「可愛いな」

 もちろん花を飾られているのはドラゴンだけではない、我が家の幼児三人も好き勝手に花を飾られている。

「しかし、ふむ、お前名前はあるか?」
「我? 名前ないよ」
「ならば都合が良い、母よ、これを助けても良いのだろう」
「雷ちゃん解決するの?」
「さっき奴らと取引が成立した」

 雷ちゃんが小さな手で子供達を指すと、花を振りながら返事が返ってきた。

「プリンを一人一個、我に奉納で手を打った」

 格安なのか、食べたい欲を優先させたのか微妙なところだね。

「シャムス、何かあるか」
『めぐみがね、いっぱいよ』
「恵み、恵み……恩寵……graziaグラツィア
『グラちゃん』
「グラたん、グラタン、ママ、今日の夕食はグラタン食べたい」

 アー君が即脱線した。
 でもグラタンか、野菜を食べさせるにはいいかもしれない。

「ご飯を下に仕込んでドリアもいいね」
『きゃー』
「チーズの差し入れおねだりしておく!」
「…………まぁ異論がなければお前は今から『グラツィア』ってことで」

 あっ、ごめん、放置してた。
 雷ちゃんまとめありがとー。
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