神様のポイント稼ぎに利用された２

ダンジョン

第372話

　何があったのかはタイガが教えてくれた。

　なにやら参加者が宝箱から大当たりを引き当て、周りから英雄扱いされているらしい。
　何が出たらそうなるんだろうか。

「っふ、いいものだ」

　あっこれは女神様が大喜びするような一品だと推理する。
　ろくでもないんだろうなぁ、関わらずに帰宅したい。

　あとタイガさん、色気が駄々洩れだからしまってね。
　どこに行っていたか聞くなんて地雷は踏まないよ、僕だって多少学習するんです。

「母よ、雷に弟を作る気は……」
「そのうち弟は出来るだろうけど、タイガとは作らないからね！」
「残念だな」

　流し目でこちらを見ない！
　僕は流されませんよ！

「イツキ、タイガ、大当たり引いたのうちの新人だった」
「そうなんだ」
「しょうぐーーん」
「褒めて褒めてー！」

　手を振りながらこちらに駆け寄って来たのは、開始前に刀雲に泣きついていた部下さん、大型犬が尻尾を振りながら主人に駆け寄る姿がダブりました。

　手に持っているのが卑猥な形をした張形じゃなきゃもっと良かったんだけどね。

　子供もいるので出来れば隠してほしいな。
　視界にモザイク……かからない、残酷な描写には自動的にモザイク入るけど、下ネタ系にはモザイク掛かってくれないんだよね。

「俺ら三人いるのに出たのは一つだけなんです、どうしたらいいですか？」
「それ使って三人で楽しむ」
「お、おおおれは恋人が！」
「おれふりー」
「じゃあ俺と結婚するか」
「えっ」
「これを使って初夜を楽しもうぜ」

　相棒の肩を抱き寄せ、片手に持った張形を見せつけるようににやりと笑う。
　これが国を守る騎士団か……女神様の加護で強化されてそうですね。

　唐突にカップル飛び越えて夫婦が誕生したっぽいけど、それもまた女神様としてはポイント高いんだろうなぁ。
　今頃亜空間で鼻血出して悶えてるんじゃなかろうか。

「いや、お前貴族、俺は平民で他国出身なんだが」
「大丈夫だ、女神ヴィシュタルはそういった障害が大好きだからどうにでもなるし、神前で初夜を披露すれば加護ももらえる」
「いらねー」

　プロポーズされている方は常識的な考えの持ち主だけど、口説いている方は刀国の貴族なんだろうね、女神様の趣味をよく理解している。

「刀雲、これどうするの？　収拾付かなくなってきたよ」
「タイガの作品にいい付加価値が付くからいいじゃないか」
「母も使うか？」
「NO！」

　もしやとは思ったけど本当にタイガ作だったのか。

「女神様の祝福の元、お二人は夫婦と認められました」
「幸せにしてくれよな」
「当然だ」

　少し目を離した隙に婚姻が成立していた。
　教皇様の祝福の言葉は決められた言葉ではなく、本当にこの二人は女神様から祝福を貰ったんだよねぇ、さっきから女神様の「初夜コール」が煩いったら。

「なんだかどっと疲れが、シャムス達迎えに行ってくる。皆でご飯食べて帰ろうか」
「皆で迎えに行こう」
「帰ったら風呂だな」
「タイガ分かっているな」

　分からなくていいよ。

　そこのギレンの部下その２さん、頬を染めてサインをねだる暇があったらタイガの熱を発散させてくれませんかね。
　このままだと僕が押し倒される！