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ダンジョン
第352話
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ふしゅぅぅぅっと気炎を吐き散らすカーシャさんをラーシャが落ち着かせている。
その横でゴーレムも一緒に「まぁまぁ」と宥めているのが何だか可愛い。
「今のうちに樹の話を進めよう」
子供達が大人しい今がチャンスと判断した騎士様が話を進めようとしているけど、あの、話し合いの相手であるヴァルはまだ寝ていますよ?
「寝ている方が話が進む気がする、あと樹」
「はい」
「鈴が設定した世界の真理を教えよう」
え、なんだろ?
僕が聞き流していた設定だろうか?
「まずモンスターは繁殖しない」
「え」
そんなバカな。
「あと睡眠も取らない、寝る必要がないから基本24時間フル稼働、回復のために休眠に入る事はあるみたいだけどね」
「おうちに寝るための巨大ベッドありますよ?」
こだわり抜いた素材を使ったふかふわのベッドが。
「あと夜になると普通に家に帰ってました」
「そこがね、もう変なの、モンスターが家族作るとかありえないからね?」
「えー」
「鈴の設定ではモンスターは『ダンジョンコアを守るための防衛システム』であり、『ダンジョンの壁から発生するのが王道』。確率で上位種が生まれる事はあるけど進化はしない、繁殖機能の設定はしてないから子供が生まれるはずもない」
ええと?
モンスターはお嫁さんもらったりしなければ、子作りして家庭を築くこともないってこと?
じゃあこの子達は?
「すぴょー」
あっ、鼻提灯。
「ダンジョンから生み出されるモンスターは全て成獣。子供は生まれない、ハズなんだけどなー」
「人間の血が混ざったから、とか」
「そこがそもそも可笑しいんだよね、人間を孕まして繁殖するのは魔物、モンスターにその習性はない、モンスターはダンジョンに侵入した外敵を排除するために動く」
「え、結構な人数の冒険者が捕まってましたよ」
彼らも今は立派なママです。
僕の発言に騎士様が頭を抱えた。
「ダンジョンで死んだ人間はダンジョンに吸収されるから遺体は出ない、だから帰って来なければ死んだと判断されるけど……特にここってギルドで立入禁止通達されてて、入った時点で死亡扱いだしねー」
「そうなんですか?」
「うん、挑むのも他国出身の冒険者の中でも無謀な連中ばかり、領分を弁えている冒険者が挑むのは難易度が下げられたアー君のダンジョンだよ。はぁ、死んだと思った冒険者が繁殖に利用されてるとか思わなかったなぁ」
難易度が下がったといっても初心者お断りなのは変わらないらしい。
「なんでここまで設定狂ったかなぁ、鈴の妄想より雷ちゃんの遊び心が強いってことはないと思うんだよねぇ」
「うーん、女神様の設定が狂った理由なら一個だけ心当たりがあります」
「そうなの?」
「モンスターの『ダンジョンの壁から生み出される』という設定がまず一部に反映されてません、ヴァルを始めヘラ母さんとかガルーダ、あのゴーレムとか」
「……あ」
彼らは幼児三人組の手作り、魔素から生まれた魔物でもなければ、ダンジョンから発生したモンスターでもない、世界の摂理から大幅に外れた存在。
「第三の存在って所か~、そりゃ鈴の設定通じないわけだ。気付かなかった」
「イツキが攫われて冷静さ失ってたからな」
「そ、そう?」
レイアさんのツッコミに騎士様がちょっと目を泳がせている。
心配かけちゃったんですね、迎えに来てくれてありがとうございます。
「そうなるとますます樹を引き離すのが危険なんだよねぇ、でも神薙から引き離すのももっと危険だしどうしたものか、と言うのが現在の頭痛の種」
「今はヘラが付きっきりで神薙の世話して誤魔化してたけど、異世界料理を出せるのはイツキだけだからな、連れ戻す気満々で一緒についてきた」
「イツキ、ご飯」
「もうないですよ」
神薙さんを満足させるには僕とドリちゃん両方揃ってないと駄目みたい、かと言ってヴァルが僕を手放すようには思えない。
さてさてどうしたものか。
「ごはん?」
「がるーだお腹空いた」
「かえろー」
「もうちょっと静かにしてようねー」
「話し合いは終わったか? イツキ、帰ろう?」
「騎士様どうしたらいいですか」
「とりあえず子供達を何とかしないと話し合いが進まないよね」
「イツキ!」
子供達だけでも先に帰らせようか。と案が出た所でヘラ母さんが風呂敷包み片手に現れた。
「お腹空いてないかい、おにぎり持ってきたよ!」
ズキューーーーーン
……ん?
今の何の音?
その横でゴーレムも一緒に「まぁまぁ」と宥めているのが何だか可愛い。
「今のうちに樹の話を進めよう」
子供達が大人しい今がチャンスと判断した騎士様が話を進めようとしているけど、あの、話し合いの相手であるヴァルはまだ寝ていますよ?
「寝ている方が話が進む気がする、あと樹」
「はい」
「鈴が設定した世界の真理を教えよう」
え、なんだろ?
僕が聞き流していた設定だろうか?
「まずモンスターは繁殖しない」
「え」
そんなバカな。
「あと睡眠も取らない、寝る必要がないから基本24時間フル稼働、回復のために休眠に入る事はあるみたいだけどね」
「おうちに寝るための巨大ベッドありますよ?」
こだわり抜いた素材を使ったふかふわのベッドが。
「あと夜になると普通に家に帰ってました」
「そこがね、もう変なの、モンスターが家族作るとかありえないからね?」
「えー」
「鈴の設定ではモンスターは『ダンジョンコアを守るための防衛システム』であり、『ダンジョンの壁から発生するのが王道』。確率で上位種が生まれる事はあるけど進化はしない、繁殖機能の設定はしてないから子供が生まれるはずもない」
ええと?
モンスターはお嫁さんもらったりしなければ、子作りして家庭を築くこともないってこと?
じゃあこの子達は?
「すぴょー」
あっ、鼻提灯。
「ダンジョンから生み出されるモンスターは全て成獣。子供は生まれない、ハズなんだけどなー」
「人間の血が混ざったから、とか」
「そこがそもそも可笑しいんだよね、人間を孕まして繁殖するのは魔物、モンスターにその習性はない、モンスターはダンジョンに侵入した外敵を排除するために動く」
「え、結構な人数の冒険者が捕まってましたよ」
彼らも今は立派なママです。
僕の発言に騎士様が頭を抱えた。
「ダンジョンで死んだ人間はダンジョンに吸収されるから遺体は出ない、だから帰って来なければ死んだと判断されるけど……特にここってギルドで立入禁止通達されてて、入った時点で死亡扱いだしねー」
「そうなんですか?」
「うん、挑むのも他国出身の冒険者の中でも無謀な連中ばかり、領分を弁えている冒険者が挑むのは難易度が下げられたアー君のダンジョンだよ。はぁ、死んだと思った冒険者が繁殖に利用されてるとか思わなかったなぁ」
難易度が下がったといっても初心者お断りなのは変わらないらしい。
「なんでここまで設定狂ったかなぁ、鈴の妄想より雷ちゃんの遊び心が強いってことはないと思うんだよねぇ」
「うーん、女神様の設定が狂った理由なら一個だけ心当たりがあります」
「そうなの?」
「モンスターの『ダンジョンの壁から生み出される』という設定がまず一部に反映されてません、ヴァルを始めヘラ母さんとかガルーダ、あのゴーレムとか」
「……あ」
彼らは幼児三人組の手作り、魔素から生まれた魔物でもなければ、ダンジョンから発生したモンスターでもない、世界の摂理から大幅に外れた存在。
「第三の存在って所か~、そりゃ鈴の設定通じないわけだ。気付かなかった」
「イツキが攫われて冷静さ失ってたからな」
「そ、そう?」
レイアさんのツッコミに騎士様がちょっと目を泳がせている。
心配かけちゃったんですね、迎えに来てくれてありがとうございます。
「そうなるとますます樹を引き離すのが危険なんだよねぇ、でも神薙から引き離すのももっと危険だしどうしたものか、と言うのが現在の頭痛の種」
「今はヘラが付きっきりで神薙の世話して誤魔化してたけど、異世界料理を出せるのはイツキだけだからな、連れ戻す気満々で一緒についてきた」
「イツキ、ご飯」
「もうないですよ」
神薙さんを満足させるには僕とドリちゃん両方揃ってないと駄目みたい、かと言ってヴァルが僕を手放すようには思えない。
さてさてどうしたものか。
「ごはん?」
「がるーだお腹空いた」
「かえろー」
「もうちょっと静かにしてようねー」
「話し合いは終わったか? イツキ、帰ろう?」
「騎士様どうしたらいいですか」
「とりあえず子供達を何とかしないと話し合いが進まないよね」
「イツキ!」
子供達だけでも先に帰らせようか。と案が出た所でヘラ母さんが風呂敷包み片手に現れた。
「お腹空いてないかい、おにぎり持ってきたよ!」
ズキューーーーーン
……ん?
今の何の音?
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