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ダンジョン
第350話
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子供達の世話はガルーダに任され、やっと騎士様とヴァルの話し合いが開始――と思ったけれど、話し合いを行うにしても何もない、座る岩すらないんだよね。
なのでヴァルに貰った熊の毛皮を縫い合わせて作った敷布を取り出した。
取り出そうとした。
「重い」
丸めるのも収納もヴァルがやってくれたから気付かなかった。これ凄い重い。
裁縫スキルの効果が面白くてやり過ぎたかな、ヴァルのベッドにも使えるぐらいのサイズなんだけど……冷静に考えると普通に大き過ぎだ。
「これ取り出すの?」
「うん、地面に広げて敷布に使おうかなって」
「私がやる」
そう言ってヴァルがアイテムボックスから出ていた部分を引きずり出し、地面に広げてくれた。
皆さんどうぞお座りください。
ヴァルは人化してね、皆の座る場所無くなっちゃうから。
「なんて言うか、樹のマイペースさが変わってなくて安心するよ」
苦笑いしながら騎士様が一番最初に敷布に足を踏み入れ、胡坐をかいて座った。
続いてはレイアさん、獅皇さん、神薙さんが座り、少し離れたところには魔王様と奥様、ラセンとタイガと冥府の王様とカーシャさんとラーシャもいる。
錚々たる顔ぶれが揃ってるね、お酒を出したら宴会始められそう。
対するこちらはヴァルと僕と遠くで遊んでいるはずの子供達、敷布を広げて皆が座り始めたらおやつの時間と思って寄ってきた。
これは何か与えるまで離れないやつだ。
「ガルーダ、おやつ配って」
「はいっ!」
子供達だけにあげて神薙さんに上げないという選択肢はない、僕のアイテムボックスに入ってるやつで足りるかなぁ。
簡単に食べれるものばかりで、お皿に乗せず葉っぱに包んでる状態だけどいいよね。
「どうぞー」
「……うん、樹の威力が凄い」
これは褒められたのだろうか。
「うおおおおお、レモンとチーズが口の中で輪舞を踊っている!!」
『チーズげっぺーおいしーの』
「アルジュナ、チーズ断ちはどうした、あ、こっちはちょっと辛い」
「ラーシャ!!手についたです」
「はいはい、手貸してね」
呼ばれて速攻でラーシャが飛んできてイネスの世話を焼いている。
遠くでカーシャさんがうんうんと満足そうに頷き、旦那さんは眉間を揉んでいるのはなんでだろうね?
「顔がきゅーってなる! ガルーダこれなんだ?」
「え、なんだろ?」
「知らないのかよ仕方ねーなー」
「食べてー」
「食べるから押し付けないでー」
シャムスとアー君の冒険のお土産であるレモンで作った大量のスイーツの数々、そしてチーズの試作品が役に立っている。
ガルーダは押し付けられたお菓子で顔がべとべとだ。
でも怒る事もなく、押し付けてきた子の手を丁寧に拭いている。
「アー君、マジックバッグ持ってる?」
「ん、んんんん」
「食べてからでいいよ」
「んふー、色々あるけどどんなのがいい?」
「ガルーダに似合いそうなの」
「じゃあこれかな」
アー君が取り出したのは大工さんが使っている腰袋、何の皮を使っているかは不明だけどレッドのラインがカッコイイ。
「タイガが彫刻をする時に使ってるの見てカッコイイから作って貰ったけど、使わないからいいよ」
「と言う訳で、ガルーダこれあげる」
「ひぇぇぇ、恐れ多いです」
「ガルーダはアイテムボックス持ってないでしょ、子守りするなら一個持ってると便利だから、餞別代りに受け取って」
「……イツキ様ぁ。ありがとうございます。あ、ここ手拭き入れておこう」
見ていたモンスターの子達が寄ってきて、その辺で拾ったらしい小石を詰めようとしている。
「記念品」
「もうちょっといいもの入れようね?」
……あっ!
話し合い進むどころか始まらなかった!
ちらっと騎士様達を見たら、生温かい目で見つめられていました。
なのでヴァルに貰った熊の毛皮を縫い合わせて作った敷布を取り出した。
取り出そうとした。
「重い」
丸めるのも収納もヴァルがやってくれたから気付かなかった。これ凄い重い。
裁縫スキルの効果が面白くてやり過ぎたかな、ヴァルのベッドにも使えるぐらいのサイズなんだけど……冷静に考えると普通に大き過ぎだ。
「これ取り出すの?」
「うん、地面に広げて敷布に使おうかなって」
「私がやる」
そう言ってヴァルがアイテムボックスから出ていた部分を引きずり出し、地面に広げてくれた。
皆さんどうぞお座りください。
ヴァルは人化してね、皆の座る場所無くなっちゃうから。
「なんて言うか、樹のマイペースさが変わってなくて安心するよ」
苦笑いしながら騎士様が一番最初に敷布に足を踏み入れ、胡坐をかいて座った。
続いてはレイアさん、獅皇さん、神薙さんが座り、少し離れたところには魔王様と奥様、ラセンとタイガと冥府の王様とカーシャさんとラーシャもいる。
錚々たる顔ぶれが揃ってるね、お酒を出したら宴会始められそう。
対するこちらはヴァルと僕と遠くで遊んでいるはずの子供達、敷布を広げて皆が座り始めたらおやつの時間と思って寄ってきた。
これは何か与えるまで離れないやつだ。
「ガルーダ、おやつ配って」
「はいっ!」
子供達だけにあげて神薙さんに上げないという選択肢はない、僕のアイテムボックスに入ってるやつで足りるかなぁ。
簡単に食べれるものばかりで、お皿に乗せず葉っぱに包んでる状態だけどいいよね。
「どうぞー」
「……うん、樹の威力が凄い」
これは褒められたのだろうか。
「うおおおおお、レモンとチーズが口の中で輪舞を踊っている!!」
『チーズげっぺーおいしーの』
「アルジュナ、チーズ断ちはどうした、あ、こっちはちょっと辛い」
「ラーシャ!!手についたです」
「はいはい、手貸してね」
呼ばれて速攻でラーシャが飛んできてイネスの世話を焼いている。
遠くでカーシャさんがうんうんと満足そうに頷き、旦那さんは眉間を揉んでいるのはなんでだろうね?
「顔がきゅーってなる! ガルーダこれなんだ?」
「え、なんだろ?」
「知らないのかよ仕方ねーなー」
「食べてー」
「食べるから押し付けないでー」
シャムスとアー君の冒険のお土産であるレモンで作った大量のスイーツの数々、そしてチーズの試作品が役に立っている。
ガルーダは押し付けられたお菓子で顔がべとべとだ。
でも怒る事もなく、押し付けてきた子の手を丁寧に拭いている。
「アー君、マジックバッグ持ってる?」
「ん、んんんん」
「食べてからでいいよ」
「んふー、色々あるけどどんなのがいい?」
「ガルーダに似合いそうなの」
「じゃあこれかな」
アー君が取り出したのは大工さんが使っている腰袋、何の皮を使っているかは不明だけどレッドのラインがカッコイイ。
「タイガが彫刻をする時に使ってるの見てカッコイイから作って貰ったけど、使わないからいいよ」
「と言う訳で、ガルーダこれあげる」
「ひぇぇぇ、恐れ多いです」
「ガルーダはアイテムボックス持ってないでしょ、子守りするなら一個持ってると便利だから、餞別代りに受け取って」
「……イツキ様ぁ。ありがとうございます。あ、ここ手拭き入れておこう」
見ていたモンスターの子達が寄ってきて、その辺で拾ったらしい小石を詰めようとしている。
「記念品」
「もうちょっといいもの入れようね?」
……あっ!
話し合い進むどころか始まらなかった!
ちらっと騎士様達を見たら、生温かい目で見つめられていました。
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