348 / 1,127
ダンジョン
第346話 シャムスの大冒険 後編
しおりを挟む
部屋から出てダンジョンに行ってからが本番、でもその前にもふもふズを突破する必要があったのだが、これはあっさりと解決した。
『母様お迎えに行くの、通してほしーな』
シャムスが両手を合わせてちょっと小首を傾げながらお願いしたら、もふもふズの副リーダーが「シャムス様にお願いされては断れない」と言い訳をしながら見逃してくれたのだ。
「ダメ押ししよう」
「おう! 任せるがいい!」
よいせ、と立ち上がった雷だが、体が幼児なためちょっとふら付いた。
それを黒子のようにイブが支える。
「珱ー! ガルーダに加護くれー!」
騎士様のパパは風帝、騎士様を溺愛する珱だが最近はイツキや子供達にも甘い。
ぺかーっとガルーダの体が光って加護が与えられた。
「よし、これで珱もきょうはんだ、怖いものはない!」
「シャムス頼んだぞ」
「イツキ様と無事に帰って来てください」
「任せるの!」
近くまではアルジュナの転移で移動し、あとはガルーダに抱えられてダンジョン50層まで一直線、途中で騎士様やレイア様に見つかりかけたが神速で通り抜けた。
「酔ってないですか?」
『へーきよぉ』
なるべく暗い場所で下ろしてもらい、スライムを招集する時と同じ調子で「おいでー」と声を張り上げた。
「どのくらいで来るんですかねー?」
『きたよ』
ガルーダが辺りを見回そうとした次の瞬間、地面を突き破って天彗龍が現れた。
「ひいぃぃ、聞いた話と外見違いますけどー!」
『こっちよー』
恐怖に泣きそうになっているガルーダを無視してシャムスが天彗龍を呼び寄せると、警戒もせずに素直にシャムスの前に頭を垂れた。
『いいこー』
「お呼びですか」
『あのね、母様に会いたいの、下に連れて行ってほしーな』
「……」
『だめー?』
「イツキ取らない?」
『善処するの』
このセリフを教えたのはアルジュナだ。
「分かりました」
『この子ねガルーダって言うの、僕のごえー、一緒にお願い』
「良いでしょう」
こうしてシャムスは無事下層への潜入に成功、イツキがいる城まで運んでもらったのである。
「すぐにお会いしますか?」
『んー、お腹空いちゃった』
「え」
そこは会いましょうよ、それでどうにかして目を盗んで逃げましょうよぉ。と心の中で泣き言を呟いたのはガルーダだ。
「ではこちらに」
天彗龍から人型に変化すると背を向けて歩き出した。
ガルーダに抱えられて移動した先には狼型モンスターの親子がおり、シャムスは母親から乳を分けてもらえた。
『けふー』
「シャムス様お腹いっぱいになりました? なりましたよね?」
じゃあ会いに行きましょう!と急かすガルーダを押しのけたのは子犬の集団。
『あそぶ?』
きゃぅきゃぅわうわう
「では後で迎えに来ます」
『あい』
仕事をしに立ち去った天彗龍を見送るとシャムスは獣化して子犬の群れに飛び込んだ。
『追いかけっこしよー』
「「わぅーん」」
『鬼はガルーダ!』
「え、ええええ」
『にげりょー!』
一斉に散開した子犬の群れに呆然と立っていると、さっさと追い掛けろと親に小突かれたので泣く泣くガルーダは走り出した。
「待ってぇ~」
『きゃーー』
待ってくれるわけもなく、大喜びでさらに加速してしまった。
この追いかけっこには途中から他の種族も参加し、最終的にガルーダは子守り要員として城のモンスターから認識された。
「ずっと居ていいぞ」
「うへぇぇぇ」
城主である天彗龍にも歓迎された。
『母様お迎えに行くの、通してほしーな』
シャムスが両手を合わせてちょっと小首を傾げながらお願いしたら、もふもふズの副リーダーが「シャムス様にお願いされては断れない」と言い訳をしながら見逃してくれたのだ。
「ダメ押ししよう」
「おう! 任せるがいい!」
よいせ、と立ち上がった雷だが、体が幼児なためちょっとふら付いた。
それを黒子のようにイブが支える。
「珱ー! ガルーダに加護くれー!」
騎士様のパパは風帝、騎士様を溺愛する珱だが最近はイツキや子供達にも甘い。
ぺかーっとガルーダの体が光って加護が与えられた。
「よし、これで珱もきょうはんだ、怖いものはない!」
「シャムス頼んだぞ」
「イツキ様と無事に帰って来てください」
「任せるの!」
近くまではアルジュナの転移で移動し、あとはガルーダに抱えられてダンジョン50層まで一直線、途中で騎士様やレイア様に見つかりかけたが神速で通り抜けた。
「酔ってないですか?」
『へーきよぉ』
なるべく暗い場所で下ろしてもらい、スライムを招集する時と同じ調子で「おいでー」と声を張り上げた。
「どのくらいで来るんですかねー?」
『きたよ』
ガルーダが辺りを見回そうとした次の瞬間、地面を突き破って天彗龍が現れた。
「ひいぃぃ、聞いた話と外見違いますけどー!」
『こっちよー』
恐怖に泣きそうになっているガルーダを無視してシャムスが天彗龍を呼び寄せると、警戒もせずに素直にシャムスの前に頭を垂れた。
『いいこー』
「お呼びですか」
『あのね、母様に会いたいの、下に連れて行ってほしーな』
「……」
『だめー?』
「イツキ取らない?」
『善処するの』
このセリフを教えたのはアルジュナだ。
「分かりました」
『この子ねガルーダって言うの、僕のごえー、一緒にお願い』
「良いでしょう」
こうしてシャムスは無事下層への潜入に成功、イツキがいる城まで運んでもらったのである。
「すぐにお会いしますか?」
『んー、お腹空いちゃった』
「え」
そこは会いましょうよ、それでどうにかして目を盗んで逃げましょうよぉ。と心の中で泣き言を呟いたのはガルーダだ。
「ではこちらに」
天彗龍から人型に変化すると背を向けて歩き出した。
ガルーダに抱えられて移動した先には狼型モンスターの親子がおり、シャムスは母親から乳を分けてもらえた。
『けふー』
「シャムス様お腹いっぱいになりました? なりましたよね?」
じゃあ会いに行きましょう!と急かすガルーダを押しのけたのは子犬の集団。
『あそぶ?』
きゃぅきゃぅわうわう
「では後で迎えに来ます」
『あい』
仕事をしに立ち去った天彗龍を見送るとシャムスは獣化して子犬の群れに飛び込んだ。
『追いかけっこしよー』
「「わぅーん」」
『鬼はガルーダ!』
「え、ええええ」
『にげりょー!』
一斉に散開した子犬の群れに呆然と立っていると、さっさと追い掛けろと親に小突かれたので泣く泣くガルーダは走り出した。
「待ってぇ~」
『きゃーー』
待ってくれるわけもなく、大喜びでさらに加速してしまった。
この追いかけっこには途中から他の種族も参加し、最終的にガルーダは子守り要員として城のモンスターから認識された。
「ずっと居ていいぞ」
「うへぇぇぇ」
城主である天彗龍にも歓迎された。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
332
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる