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可愛い子には旅をさせよ

第270話

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 そろそろ騎士様を労わろう。
 ふと思いついたので今夜は宴会、ドリちゃんと連携して次々メニューを決めた。

 次に獅皇さんに声をかけ、お疲れだろう騎士様を元気付けるために一緒に唐揚げ作りませんかと誘ったら、いそいそと夢の中から出て来てくれました。
 シャムスとイネスのお手紙を読んでもらおうと企んでいるけれど、あくまでついで、ついでですからね。

「唐揚げ、限界に挑戦したい」
「大丈夫ですよ、直径1m前後ならドリちゃんが魔法でどうにかしてくれます」

 獅皇さんが手伝ってくれているのは唐揚げとおにぎり、あとサンドイッチ。
 人数が多いからね、おにぎり作るのも大変なんです、何度か手伝って貰っているから確実に手際が良くなっています。

 シャムスが居たら手伝ってくれたんだろうなぁ、それでうっかり鶏肉がスライムになっちゃったりするんだろうな。
 ……寂しい。

「おにぎりでかいか?」

 そう言った獅皇さんの掌にはバスケットボールぐらいのおにぎりが。

「神薙さんならいけます、でも騎士様にはもっと小さい方がいいかと。小さい方が量を食べれますからね」
「分かった」

 おにぎりがテーブルに置かれた瞬間、ミシッて音がした気がする。
 どの位の量を圧縮してあるんだろうか、張り切り過ぎですよぉ。

「色々な種類食べてもらう為にも、圧縮し過ぎは自粛しましょう、ご飯だけでお腹いっぱいになってデザート食べれなくなったら騎士様拗ねちゃいますから」
「分かった」

 素直に頷いて過剰な圧縮は断念してくれた。
 良かった、騎士様に恨めしそうに見つめられる所だったよ。

 一安心した所で僕はデザートでも作ろう。
 学食に提供予定のミニタルトと、この嫌がらせ一歩手前なイチゴ尽くしのパフェ、抹茶味も上品でいいかもしれない、ぽちっとな。

 約2時間後、夕食の用意も何とか終了したので獅皇さんと一休みする事に、どら焼きと疲労回復効果のあるミルクです。

「あの、シャムスからお手紙きたのですが読んでもらっていいですか?」
「ああいいぞ」

 あっさりと了承されたのでアイテムボックスから取り出して渡す。

「人助けや世直しをしながら進んでいるとは主から聞いているが、さて」

 え、そんな事やってるの!?
 アー君寄り道し過ぎじゃないですかね、真っすぐ帰って来ようよ!

「白い神様出て来てめってしたら仲間になった」
「……はい?」
「おでこに角生えてるお馬さんが暴れてたのをアルジュナが倒したら仲間になった」
「え、えぇぇ」

 他にも巨大な蜂が襲ってきたので全滅に負いこんだら女王が投降したので、配下に加えたから蜂蜜たっぷり食べれるよ。とか。
 魔物の馬のリーダーが進化して空を飛び、角のある馬が求婚したとか。
 都市を滅ぼしている真っ最中の化け物がいたので、倒したら呪いが解けてお姫様が現れたのです巻きにして市民に引き渡した――などなど、様々な冒険談がつづられていた。

 僕は……どこにツッコミを入れたらいいのでしょうか。
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