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権力とは使う為にある
第205話
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刀国は人が死ぬのはさほど珍しい事ではない。
理由は色々、でも三大死因の一つに「邪神の餌」が入っているぐらい、神薙さんによる死亡者は多い、魔物に殺される人とどっちが多いか誰か統計取ってくれないかな。
邪神だから誰も突っ込まない、刀国の民も小さい時からこの環境だから慣れ切っている。
けれど他国の子にとって神は身近な存在ではなく、むしろ貴族である自分達こそが神と驕った考えを持つ者も珍しくないんだって。
女神様のテンプレ好きが微妙な所に影響を及ぼしている。
まぁどんな考えを持っていても個人の自由なんだけどね、それは主張が許される自国でやって欲しいな、刀国では通じないし、神様から邪神まで危険な人物がそこら辺を普通に歩いてるから危ないったら。
今回の一件も貴族然とした考えで行動した結果、神の逆鱗に触れちゃったみたいだし。
一応止めてくれる子は居たみたいだけど、平民の言葉だからと聞かなかったいたいだね。
よりによってナーガが出て来ちゃったかぁ~、神薙さんとは違って食べ物で赦しを乞えるかはちょっと微妙なところ。
白ちゃんや黒ちゃんなら高級食材で流してくれるかもしれないけれど、ナーガは難しい。
好きなものと言ったらシャムスとマシュー君?
「ナーガ!」
騒動を聞きつけて駆け付けたのだろう、翡翠君が現れた。
「こんな所で何をやってるんだ、部外者は立ち入り禁止――」
「翡翠」
それは兄弟に向ける声ではなかった。
「私とお前は確かに血は繋がっている、だがな、勘違いするな」
冷たい声と目線が翡翠君を射抜く。
「私は神、お前はただの人間だ」
「……っ」
「部外者は立ち入り禁止? 人間のルールは神には適用されない」
ナーガの言う通りなんだ。
白き邪神・ナーガと人間である翡翠君では守るべき基準が違う。
人間が守るべきは法律やルール、神々にとってその法律やルールが騎士様だから困ったもので、すんごいふわっとしてるんだよね。
人間が人を殺せば罰せられるけれど、神薙さん一家が人を喰らっても罰はない、むしろ喰われた方が天罰を受けた扱いになる。
だから神薙さんは人間を食べたくなったら他国の人間を狙えばいいと学習した。そう、ナーガの目の前でちびっているあの少年みたいな子は格好の餌食だ。
僕はどっちなんだろう、出来れば人間サイドに居たいな。
『食べ終わっちゃった』
『もっと食べたいな』
「これ、もっとなーい?」
「ごめんなー、もうないんだ」
中庭の緊迫した空気と僕の周囲のほんわか空気の温度差が酷い。
「今度遊びに行くね」
「うんうん、おやつ用意しておくな」
どうやら少年はすっかりイネスの虜になったみたいだ、ぬいぐるみが喋っているようなものだものね、分かる分かる。
こうやって子豹が喋っていることをすんなり受け入れるのも、刀国の民の特徴の一つかな。
断罪されている少年は、本来ならここで見せしめも兼ねて頭からパクッと食べられる予定だったそうな、でも少年は助かった。
『ナーガ』
シャムスがナーガに手を振ったからだ。
「命は助けるがそれだけだ、呪われるがいい人間」
それだけ言うと瞬間移動かという速さで僕らの前に現れた。
『ナーガ抱っこ』
「はいシャムス様」
シャムスは凄いねぇ、多分あの少年の命救ったよ。
チラッと見たら腰を抜かしたその子に、マシュー君が何やら言っている。
翡翠君は真っ青な顔で倒れそうだ、大丈夫かな?
『騒ぎは駄目よ』
「はい」
『アカーシャにめってされるの』
「心配してくださってありがとうございます。さぁ帰りましょう、お昼寝はしましたか?」
『まだよ』
ナーガが上機嫌でシャムスにちゅっちゅして、満足した頃を見計らってマシュー君がやってきた。
「マシュー知り合いだったのか」
「俺のお仕えする方々だよ」
「そうなのか、いいなぁ」
「みゅぅ」
「はぁ可愛いなぁ、そっか、マシューの、俺やっぱり第五騎士団入りたいなぁ」
イネスはいつの間にやらおやつをくれた少年の腕の中にいて、頭を撫でて貰いながら気持ちよさそうに目を細めている。
(うふふ、父様の為に人材確保です)
なんて事をイネスが考えていたとは気付かなかった。
理由は色々、でも三大死因の一つに「邪神の餌」が入っているぐらい、神薙さんによる死亡者は多い、魔物に殺される人とどっちが多いか誰か統計取ってくれないかな。
邪神だから誰も突っ込まない、刀国の民も小さい時からこの環境だから慣れ切っている。
けれど他国の子にとって神は身近な存在ではなく、むしろ貴族である自分達こそが神と驕った考えを持つ者も珍しくないんだって。
女神様のテンプレ好きが微妙な所に影響を及ぼしている。
まぁどんな考えを持っていても個人の自由なんだけどね、それは主張が許される自国でやって欲しいな、刀国では通じないし、神様から邪神まで危険な人物がそこら辺を普通に歩いてるから危ないったら。
今回の一件も貴族然とした考えで行動した結果、神の逆鱗に触れちゃったみたいだし。
一応止めてくれる子は居たみたいだけど、平民の言葉だからと聞かなかったいたいだね。
よりによってナーガが出て来ちゃったかぁ~、神薙さんとは違って食べ物で赦しを乞えるかはちょっと微妙なところ。
白ちゃんや黒ちゃんなら高級食材で流してくれるかもしれないけれど、ナーガは難しい。
好きなものと言ったらシャムスとマシュー君?
「ナーガ!」
騒動を聞きつけて駆け付けたのだろう、翡翠君が現れた。
「こんな所で何をやってるんだ、部外者は立ち入り禁止――」
「翡翠」
それは兄弟に向ける声ではなかった。
「私とお前は確かに血は繋がっている、だがな、勘違いするな」
冷たい声と目線が翡翠君を射抜く。
「私は神、お前はただの人間だ」
「……っ」
「部外者は立ち入り禁止? 人間のルールは神には適用されない」
ナーガの言う通りなんだ。
白き邪神・ナーガと人間である翡翠君では守るべき基準が違う。
人間が守るべきは法律やルール、神々にとってその法律やルールが騎士様だから困ったもので、すんごいふわっとしてるんだよね。
人間が人を殺せば罰せられるけれど、神薙さん一家が人を喰らっても罰はない、むしろ喰われた方が天罰を受けた扱いになる。
だから神薙さんは人間を食べたくなったら他国の人間を狙えばいいと学習した。そう、ナーガの目の前でちびっているあの少年みたいな子は格好の餌食だ。
僕はどっちなんだろう、出来れば人間サイドに居たいな。
『食べ終わっちゃった』
『もっと食べたいな』
「これ、もっとなーい?」
「ごめんなー、もうないんだ」
中庭の緊迫した空気と僕の周囲のほんわか空気の温度差が酷い。
「今度遊びに行くね」
「うんうん、おやつ用意しておくな」
どうやら少年はすっかりイネスの虜になったみたいだ、ぬいぐるみが喋っているようなものだものね、分かる分かる。
こうやって子豹が喋っていることをすんなり受け入れるのも、刀国の民の特徴の一つかな。
断罪されている少年は、本来ならここで見せしめも兼ねて頭からパクッと食べられる予定だったそうな、でも少年は助かった。
『ナーガ』
シャムスがナーガに手を振ったからだ。
「命は助けるがそれだけだ、呪われるがいい人間」
それだけ言うと瞬間移動かという速さで僕らの前に現れた。
『ナーガ抱っこ』
「はいシャムス様」
シャムスは凄いねぇ、多分あの少年の命救ったよ。
チラッと見たら腰を抜かしたその子に、マシュー君が何やら言っている。
翡翠君は真っ青な顔で倒れそうだ、大丈夫かな?
『騒ぎは駄目よ』
「はい」
『アカーシャにめってされるの』
「心配してくださってありがとうございます。さぁ帰りましょう、お昼寝はしましたか?」
『まだよ』
ナーガが上機嫌でシャムスにちゅっちゅして、満足した頃を見計らってマシュー君がやってきた。
「マシュー知り合いだったのか」
「俺のお仕えする方々だよ」
「そうなのか、いいなぁ」
「みゅぅ」
「はぁ可愛いなぁ、そっか、マシューの、俺やっぱり第五騎士団入りたいなぁ」
イネスはいつの間にやらおやつをくれた少年の腕の中にいて、頭を撫でて貰いながら気持ちよさそうに目を細めている。
(うふふ、父様の為に人材確保です)
なんて事をイネスが考えていたとは気付かなかった。
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