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貴族になろう

第169話

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 彼の脳内でどんなソロバンが弾かれたのかは不明だけど、貴族=仕えて安定職とでも思ったのだろうか、レオ君はベル君の友人になる事を前向きに狙う事にしたらしい。

「腰巾着になるのでよろしく」
「清々しい擦り寄りっぷり」
「武力も権力もないけど知識は豊富、それが僕、お得」
「う、うーーん?」
「ご飯冷めちゃう。いただきます」
「えぇぇぇ」

 擦り寄り方が雑な上に今は食事が優先らしい。

「……っは、お世話の手伝いしてない。シャムス様あーん」
『あー』
「お世話しました」
「タイガ、選手交代」
「うむ」
『あおーん』

 一口あげただけではお世話したとは言いません。

「じゃあアルジュナ様?」
「レオ、迷惑かけない、大人しく食べてな」
「うん」

 マシュー君のセリフに大人しく食べ始めるレオ君、調教済みなんだね。

「シャムス様、お野菜も食べましょう」
『やー』
「お星さまですよ」
『キラキラ』
「お野菜もお肉もたくさん食べて、タイガ様のようにムキムキになりましょうね」
『タイガみたいになるの、うふふ』

 タイガに抱っこされたシャムスのお口に次々野菜が消えてゆく、マシュー君が来てからシャムスの偏食が減った気がする。
 野菜の形を変えるのもマシュー君の案だしね。

「微笑ましいな」
「そうですねぇ」
「そろそろもう一人欲しいな」
「旦那様ったら」

 子供達の前だろうがなんだろうが、お二方はラブラブを控える事はなかった。

「あの……」
「ん?」
「お願いしていたあれはどうなっているであろうか」

 ご両親がいちゃ付いている所からこっそり抜け出し、ベル君が小声で訊ねて来た。
 あれだね、アー君をチラッと見たら「任せろ」とハンドサインを返された。

「大丈夫だよ」
「ママ……んんっ、母上が美しくなれば父上のご機嫌も上昇、二人がご機嫌な夜を過ごせれば僕、いえ、私の希望が通りやすくなります」

 ベル君……。
 背伸びしたいお年頃なんだね、でも君がご両親をパパ、ママって呼んでいるのはあの場にいた全員が聞いていたよ。

「何をお願いする予定なの?」
「産まれる前から結ばれている相手との婚約の破棄を」

 え?
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