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貴族になろう
第163話
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ロブスター(魔物)が再び登場した。
でも何だろう、なんか、こう、マスコットのような愛らしさを感じるのは気のせいだろうか。
「みゅーーーーー!!!」
ぽぃぃぃぃぃん
と思ったら、ロブスターに擬態したスラちゃんだったようだ。
でもよく見れば輪郭がぷるんとしてるんだよね、どちらにしろイネスの攻撃対象なのは変わりないのだけど、気付いていないのかな?
「こ、この海老、砕けないです」
イネスが珍しく息を切らせながらそう言った。
「イネス、これ多分スラちゃんじゃないか?」
「!?」
「だってさ、ほれ」
ラーシャが軽くデコピンすると、ロブスターの全身がぷるるんと震えた。
「みゅみゅ!」
『スラちゃーん』
『お、いたいた』
「ぷるるん」
イネスが前足でパンチしていると、そこにシャムスとアー君がやってきた。
『探したのよ』
『イネスと遊んでたのか、悪いなイネス、これは乗り物だ』
「み?」
『よいしょ、よいしょ』
アー君がイネスに話しかけている背後で、シャムスがロブスターの背によじ登っている。
『乗れたの』
『ずるいぞシャムス、私も乗る!』
『ロブちゃん待ってまだ出発しちゃやなの』
「ロブちゃん?」
どうやらこのロブスターにはすでに名前があったようだ。ネーミングセンスに血の繋がりを感じずにはいられない。
『この子の名前だ。おお母上ちょうど良い所に! ん!』
わぅわぅ言いながらアー君が僕に手を伸ばして来た、なんだこれ可愛い。
抱き上げてぎゅっとすると、違うと言わんばかりに腕を叩かれた。はいはい分かっていますよ。
シャムスの後ろに乗せてあげると、ロブちゃんがハサミを振り上げた。
『出発なのー』
『お、おおお』
「みゅー」
どうやら足は飾りらしく、お腹の下を動かして移動している。
進行速度はそんなに早くないので、転がり落ちる心配もないだろう。
「魚持ってきたぞ……ってロブスター?」
「ギレンいらっしゃい、あれはスラちゃんが擬態したロブスターだよ」
「魚! ラーシャ抱っこ!」
「へい」
ドリアンにザルを出してもらいギレンがその上に魚を出していく、イネスが興奮してラーシャの腕に爪を立てているようだけど、何らかの対策をしているらしく痛がっている様子はない。
「これがリクエストの鯛」
「死んでるです」
「他にはお年賀で貰った鰤に蛸とメインに鮪だ」
「全部死んでるです」
「そう簡単に生きた状態では手に入らねぇなァ」
「みー」と鳴きながらイネスが暴れるのを止めた。
「でもありがとうです」
「いい子にはもう一個土産だ」
「?」
「ほれ、口を開けなァ」
「あー」
小さな欠片がイネスの口に放り込まれた。
「んん! プチプチ食感!」
「味付き数の子ってやつだ、アカーシャの好物でなァ」
「ご馳走様です。お年賀食べていい?」
「神薙が良いって言ったらなァ」
「食べ物の恨み怖いです、了解です!」
「イツキ、アカーシャは?」
「ちゃんちゃん焼を作るための鉄板をタイガと製作中」
「食べて行ってもいいか?」
「うん、どうぞ」
さすがにお年賀を持ってきてくれた人を追い出さないよ~。
その日、神薙さんに魚を奉納したギレンは、自由に嫁に会う権利を取り戻したのだった。
でも何だろう、なんか、こう、マスコットのような愛らしさを感じるのは気のせいだろうか。
「みゅーーーーー!!!」
ぽぃぃぃぃぃん
と思ったら、ロブスターに擬態したスラちゃんだったようだ。
でもよく見れば輪郭がぷるんとしてるんだよね、どちらにしろイネスの攻撃対象なのは変わりないのだけど、気付いていないのかな?
「こ、この海老、砕けないです」
イネスが珍しく息を切らせながらそう言った。
「イネス、これ多分スラちゃんじゃないか?」
「!?」
「だってさ、ほれ」
ラーシャが軽くデコピンすると、ロブスターの全身がぷるるんと震えた。
「みゅみゅ!」
『スラちゃーん』
『お、いたいた』
「ぷるるん」
イネスが前足でパンチしていると、そこにシャムスとアー君がやってきた。
『探したのよ』
『イネスと遊んでたのか、悪いなイネス、これは乗り物だ』
「み?」
『よいしょ、よいしょ』
アー君がイネスに話しかけている背後で、シャムスがロブスターの背によじ登っている。
『乗れたの』
『ずるいぞシャムス、私も乗る!』
『ロブちゃん待ってまだ出発しちゃやなの』
「ロブちゃん?」
どうやらこのロブスターにはすでに名前があったようだ。ネーミングセンスに血の繋がりを感じずにはいられない。
『この子の名前だ。おお母上ちょうど良い所に! ん!』
わぅわぅ言いながらアー君が僕に手を伸ばして来た、なんだこれ可愛い。
抱き上げてぎゅっとすると、違うと言わんばかりに腕を叩かれた。はいはい分かっていますよ。
シャムスの後ろに乗せてあげると、ロブちゃんがハサミを振り上げた。
『出発なのー』
『お、おおお』
「みゅー」
どうやら足は飾りらしく、お腹の下を動かして移動している。
進行速度はそんなに早くないので、転がり落ちる心配もないだろう。
「魚持ってきたぞ……ってロブスター?」
「ギレンいらっしゃい、あれはスラちゃんが擬態したロブスターだよ」
「魚! ラーシャ抱っこ!」
「へい」
ドリアンにザルを出してもらいギレンがその上に魚を出していく、イネスが興奮してラーシャの腕に爪を立てているようだけど、何らかの対策をしているらしく痛がっている様子はない。
「これがリクエストの鯛」
「死んでるです」
「他にはお年賀で貰った鰤に蛸とメインに鮪だ」
「全部死んでるです」
「そう簡単に生きた状態では手に入らねぇなァ」
「みー」と鳴きながらイネスが暴れるのを止めた。
「でもありがとうです」
「いい子にはもう一個土産だ」
「?」
「ほれ、口を開けなァ」
「あー」
小さな欠片がイネスの口に放り込まれた。
「んん! プチプチ食感!」
「味付き数の子ってやつだ、アカーシャの好物でなァ」
「ご馳走様です。お年賀食べていい?」
「神薙が良いって言ったらなァ」
「食べ物の恨み怖いです、了解です!」
「イツキ、アカーシャは?」
「ちゃんちゃん焼を作るための鉄板をタイガと製作中」
「食べて行ってもいいか?」
「うん、どうぞ」
さすがにお年賀を持ってきてくれた人を追い出さないよ~。
その日、神薙さんに魚を奉納したギレンは、自由に嫁に会う権利を取り戻したのだった。
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