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貴族になろう

第159話

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 今日のお昼はピザトースト。
 あとは各種ソーセージと、オニオンリング、ポテトサラダ、コーンスープ。

 そして

『ギレン偉いの』
『でかいな』
「ふわぁぁ」
「ギレンありがとうね、皆喜んでる」
「嫁を喜ばせるのは当然だからなァ」

 目の前には巨大な伊勢海老もどき、もちろん魔物です。
 騎士様を説得し、地球から輸入したのを女神様を通して異世界に適応させ、巨大化に成功。

 その全長1m大

 もはや凶器だよね。

「美味しいです! ゴリゴリ感がたまらないです!」
「イネスずるい」
「神薙様も食べるです! このハサミの部分が!!」
「こらイネス! まだ調理前!」

 前々から食べたいと言っていたイネスは、伊勢海老もどきを見た瞬間、目の色を変えて飛び掛かった。
 ごりゅんごりゅんと凄い音をさせて食べている、うーん、取り上げるのは無理っぽいなぁ。

「臼は失敗したからな、今度は世界に適応させたぞ」
「うん、ありがとうね」

 あれは悲しい出来事だった。
 まぁ結局、ドリちゃん製の臼も一日でヒビ入っちゃったけどね、タイガの腕力恐るべし。

「えーっと、スープは何人分かな?」
「俺にもくれ」

 ギレンとアカーシャ、シャムス、イネス、アー君、そして僕で六人か、じゃあ人数分スープに取り分けてー、残りは神薙さん分。

「鍋ごといい?」
「熱いですよ?」
「へーきー」

 食前酒ならぬ食前スープになってしまった。
 寸動鍋を軽々持ち上げた神薙さんは、いつかのカレーと同じようにあっという間に飲み干した。相変わらず惚れ惚れする飲みっぷりです。

「海老は? ママ、海老は!?」
「それは食後、サラダもちゃんと食べたらね」
「あい!」

 さて今の内。
 湯通しやら細かい処理はドリちゃんがやってくれている、髭部分は素揚げ、甲羅も風で乾燥させて大皿に盛り、身はぶつ切りで上にチーズを乗せて軽く焼いて出来上がり。

「美味しいです」

 イネスはひたすら髭を食べ続けて、甲羅は神薙さんが独占した。

『僕これが限界』
『私もだ』

 シャムスとアー君は髭の一番細いのを食べてる。
 僕?
 駄目だった、鋼のように硬かった。

「ギレン次は鯛をお願いします!」
「鯛か、分かった」
「ママ、鯛が来たらお庭で飼いましょうね!」

 養殖する気満々だね。

「他に何か欲しい物はないか?」
「そうだなぁ、恵方巻やりたいから海苔……とか?」
「あれか、うまく行けば港街の特産品として売り出せるか? よし、地球に行ってくる。土産を楽しみにしてろ」

 トーストの残りを一口で食べきると、アカーシャの頬にキスをして帰っていった。

「僕、学校行く」
「うん」
「勉強して、ギレンの為になるような事を探して来る」
「うんうん」

 可愛いなぁ。
 でも二度目の嫁入りのハードルは前より難しいよ、刀雲と言う壁が立ちはだかっているからね。
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