上 下
146 / 1,127
祭事

第145話

しおりを挟む
 あの後がこれまた大変だった。
 神薙さんがねー、参戦しちゃったんだよ。

「加護欲しいの? 僕のもあげようか?」

 そう言って一番近くにいたアカーシャに加護を与えようとしたので、これは僕が止めました。

「えー」
「子供達が全員大食いになったら養っていけません!」

 金銭面ではなく料理作るのが追い付かないから!

「うん? 僕の加護ってそんな影響なの?」
『卵ちゃんと同じになるの? お揃い?』
「闇を操れるの!?」

 なぜかアカーシャがノリノリなんだけど。

「んーん、僕は別に闇属性じゃないからなぁ」
「え」
『え』

 子供達が驚きのあまり目を真ん丸にしている。

「属性持ちって事は弱点があるって事でしょ? 食べれる範囲が減っちゃう」

 ここで闇属性とかなら弱点は聖属性や光属性になるけれど、神薙さんはどちらも丸呑みして消化してしまう、魂を腐らせる呪いさえもなんのその、毒なんて七味と同列扱いだ。
 神聖系に関しては、自ら神域を作っているぐらいだから弱点とは程遠い。

 何も知らない冒険者が年に数人、聖なるアイテムを片手に神薙さんに挑んでいるらしいけれど、彼らが生きたまま喰われるのはもはや刀国名物らしい。
 物騒な名物だなぁ。

 しかも喰われた冒険者の所持品から資産など、お金に換金出来るものは全てギルドに売り払われ、そのお金はその日のうちに屋台で使い切る。
 家族が居た場合?
 知りたくもない裏事情っていうかね……まぁ恨みに思う家族もいるのは当然だけど、その辺はドンの一族が暗躍して消しちゃうみたい。おっかないよね。

「じゃあ神薙さんの加護を貰うとどうなるのですか?」
「んー?」

 アカーシャの質問に神薙さんがこてりと首を傾げた。

「なんでも食べれるように、なる。とか?」

 疑問形だった。

「顎の力と消化力がアップして、龍の鱗も食べれるようになる」
『食べたい! 卵ちゃんと半分こ!』
『いやぁ私は今のままでいいかなぁ~』
『僕は今も食べれるです』

 効果が特殊過ぎて反応がバラバラだ。

「猛毒を食べても毒にかからない」
「シャムスが状態異常無効持ってるので、うちの子に猛毒は効かないですよ」

 シャムスが虫歯対策で獅皇さんに付けて貰ったものだけど、ダンジョン解禁になってからは中々役に立っているらしい。
 あ、僕も火傷とかしなくなったかな?

「胃が無制限、たくさん食べれるようになる!」
「それ一番駄目なやつ!」

 邪神の加護怖ぁぁぁぁ!!
 ドリちゃんと僕が過労死しちゃう!
 
しおりを挟む
1 / 5

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

転生令嬢はやんちゃする

恋愛 / 完結 24h.ポイント:156pt お気に入り:3,167

【完結】悪役令嬢と冥婚の国

恋愛 / 完結 24h.ポイント:532pt お気に入り:547

学年一の不良が図書館で勉強してた。

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:342pt お気に入り:6

エステル家のお姫様は、今日も大切に愛される。

ファンタジー / 完結 24h.ポイント:120pt お気に入り:389

悪役令嬢暴走する

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:555pt お気に入り:0

離婚が決まった日に惚れ薬を飲んでしまった旦那様

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:11,645pt お気に入り:1,299

【長編版】デブ呼ばわりするなら婚約破棄してくださいな

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:42pt お気に入り:3,483

処理中です...