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祭事

第141話

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 みょぁーと鳴いたのはシャムスだった。

『お腹空いたのー』
『父から強奪しよう、きっと何か隠し持っている』
「きゅぅん」
『おやつ食べ過ぎても魔力にへんかんするから大丈夫よ』
『うむ、我らの胃は今や無限大!』
「たかりましょう、そうしましょう」

 何の会話だ。

「可愛らしいお子様達ですね、ところでイツキ」
「はい」
「どの子がイツキの子ですか?」

 全員です。
 種族も父親もまちまちだけど、全員僕の可愛い子で、しかも他にもいます。

「樹ー! 樹ー! タイガが池に魚放したんだけど、あれ魚って言うより……」
「お久しぶりです、我が君」
「や、やぁラウル久しぶりぃ」
「我が君、人に仕事押し付けて、ずいぶん楽しそうですねぇぇぇぇ」
「怒らないで、怒らないで、ほら樹で癒されて!」
「僕、夕食の準備中なので失礼しまーす」
「だそうです、さぁ我が君、久々にゆっくり語り合いましょう」
「いやぁぁぁん、助けて樹ちゃーーん!」

 今日は来客多いから忙しいのです、成仏してください。

「はいはい皆さん、ご飯前にお風呂に入って来てくださーい」
『やーなのよー』
『逃げるぞシャムス!』
『入ったふりは必要です、ね、兄様達』
「わふわふ」

 こそこそと何か企んでるな。

「ブラン、アカーシャ、マシュー君、出動!」
「ただいまーって、帰ってすぐお風呂とか贅沢」
「うん」
「もふもふズも入っちゃおうね」

 毎日やっている事だからもう手馴れたもので、逃げ出そうとするより先にひょいと捕まえて抱えてしまった。
 
「おや、皆で出掛けるのかな?」
『シヴァたん助けて! お風呂やーなのー』
「私も一緒に……」
「そっちの子も一緒に入っちゃおう、おいで」
「え、えぇぇ?」

 何か言いかけたシヴァさんをスルーしたアカーシャが王子様の手を取り歩きだす、逃亡を阻止するためのもふもふズの囲みは今日も完璧である。

「レイアさんと愉快な仲間達は多分客間ですよ」
「こっちを手伝うよ」

 溜息を一つ吐くと足元で待機中のスラちゃんから肉塊を受け取り、アイテムボックスに放り込んでから庭に移動した。
 庭先にはドリアンが用意した巨大コンロと特製鉄板、どちらもドンの一族からプレゼントされた逸品で、我が家で大活躍している。

「魚はどうする?」
「とりあえず10人前は欲しいかな、黒ちゃんお魚好きだから」
「母よ、王宮に差し入れてくる」
「分かった。夕食はどっちで食べる?」
「こっちで食べる、イベント準備もあるからな」
「ん、いってらっしゃい」

 ラセンと周防くんも居るから王宮で食べて来てもいいのにね、タイガはタイガで忙しいからなぁ。

「イツキ」
「はい?」
「ちょっと私にも今の言ってみてくれ」
「……あれは、出掛ける人に対しての挨拶です」
「それでも一回だけ」
「忙しいので」

 この人のツボっていまいち謎だなぁ。
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