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祭事

第128話

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 クリスマス仕様の部屋に連れて行かれ、そこには昨日なかったはずのものが。

 骨組みは柔らかなベージュ、背中から座る部分には深い緑色に染められた皮が張られ、細部に掘られている蔓の模様はドリちゃんをイメージしたのかな?
 あ、もしかしてドリちゃんの一部を素材にした?

 脚の部分が緩く円を描いているこの椅子はもしかして。

「ロッキングチェア?」
「うむ」
「うむ!」

 アー君、もしかしてタイガの口調真似てる?
 声がちょっとだけ高くて可愛さ倍増なんだけど、どうしよう、愛でたい、撫でまわしたい、顔中にちゅっちゅしたい。

 でも現実はタイガの肩の上、僕の身長では手が届かない。

「このしっとり感、間違いない」

 僕らの日常に溶け込み、様々な所で活躍するこの優しい感触、これは間違いなくドリちゃんの材質……!!

「母よ座ってみてくれ」
「あ、うん」

 促されるままにロッキングチェアに座る。

「わぁ」

 椅子のサイズは僕に合わせてくれてあるのだろう、全体的に何て言うか、こう、しっくりくる。
 材木から香る樹木の匂いは間違いなくドリちゃんの香り……あ、なんか今なら成仏できそう。

 いや、僕別に幽霊じゃなかった。
 一度死んで転生したから普通に生きているっけ。

「樹幸せそうだねぇ、俺も座ってみたい」
「うむ、体格差があるから無理であろう」
「諦めよ!」
「アー君、タイガに弟子入りでもしたの?」
「私……否、我は気付いたのだ! タイガの筋肉びはましゃに我がりしょう!」

 所々噛んでるけどそれもまた可愛いなぁ。

「そう言えばダロスも筋肉質だっけ、そっかーそっかぁ……」

 騎士様は筋肉あるけどムキムキというより、均等の取れた美しいさなんだよね、だからアー君の理想とはちょっと違う、アー君の理想はタイガのような岩石みたいな筋肉、ボディビルダーとか見たら興奮で倒れるんじゃないだろうか。

「母様寝ちゃった?」

 アカーシャが優しく声をかけてくれたけど、なぜか目が開けられない。
 この椅子、あれだ、人を駄目にするクッションと同レベルで危険、駄目になっちゃう。

「じゃあ僕らは飾りつけをやろう」
『しーなのね』
「ううん、普通で大丈夫、おやつの時間になったら起こして一緒に食べようね」
『分かったの、じゃあ子守歌うたうのー』

 ……なんか絶妙に音程の外れた鳴き声が聞こえて来た。

 ボヘーーーーー

「寝れない!」

 盛大に音程の外れた歌声に目を開けたら、びっくりした表情のアー君と目が合った。
 どうやら絶妙に外れていたのがシャムスで、目が覚めるほどの音痴がアー君だったらしい。

 そんな所だけ僕に似なくていいのに!
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