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ダンジョン探検

第111話

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 元気になったアー君の代わりにブランを寝かせ、額に冷やした布を当てれば薄っすらと目を開いて紅い瞳と目が合った。

「大丈夫?」
「ふぇ」
「はいぎゅー」

 伸ばされた腕を取り、ぎゅぎゅっと抱きしめる。
 細いなぁ、僕の前世よりずっと酷い状態かもしれない、いきなり高カロリーは胃が驚くから今はお粥やスープだけど、ドリちゃんと相談しつつ栄養価の高い食事を試行錯誤してるところ。
 うちの家族が健康体だから栄養価とか考えた事なかったんだよねぇ、クロードさんも「実用化すれば売れる」と鼻息荒く手伝ってくれている。

「あの悲鳴はブランのだったの?」
「ううん、アー君のだよ、僕らは見た瞬間気絶しちゃったから」
「血塗れごときで悲鳴をあげるとは不覚だった」

 精神年齢が退行してるんじゃないかな、言動も幼いものが多いのよね最近。

「我が姫起きたか、肉を喰おう」
「ふぉぉぉ」

 お風呂でドリアンに洗われたんだろうな、白熊さん毛並みがふっさふさ。そして持っているお皿にはいい匂いをさせるお肉が。
 この匂いはドリちゃん特製ソース、まさかの身内の援護!

「ブラン、怖いなら別の部屋行く?」

 アルジュナの問いに対し光速で頷いている。首もげないようにね。

「ところでアー君、ご飯前なんだけど」
「まま」

 ごふっ

「ちょ、ちょっとだけ、ね」

 今の吐血音は僕じゃないです、ちょうど部屋に入って来ようとしてアー君の一言を聞いた騎士様のものです。

「さぁ我が姫、膝に」
「肉、肉!」

 座った白熊さんの膝の上に飛び乗り、いつものように「あーん」と口を開けた。
 アー君、姫呼びに何の反応もしないけれど受け入れてるのかな? スルーしているのかな? どっちだろう?

「おいし」
「うむ、良かった」
「アー君、俺もお土産あるから、こっちおいで!」
「父上あとで、今こっち」
「義父上申し訳ない」

 あ、沈んだ。

 白熊さん、アー君を膝に乗せてご満悦、アー君は肉を美味しく食べれてご満悦、騎士様は「アルジュナがお嫁に行っちゃう」と滂沱の涙を流している。

 春日さんの言う通り、我が家は平和です。
 
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