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ダンジョン探検

第106話

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 朝、食事の用意をしていたら王宮からの伝令が飛び込んできた。
 よほど緊急だったのだろうもふもふズの背に乗って庭に案内された彼は……とてもいい顔をしていた。緊急なんだよね? なんで子供みたいにキラキラした笑顔なの?

「俺の当番の時に問題起きるなよ!」

 将軍職が当番制なのって異世界含めてもここだけだと思う、任期は半年ぐらいらしい、前後に問題が発生すると処理のために延長があるため曖昧なのだとか。
 そこもふわっとしてるんだ、いいのかそれで。

「将軍!」
「待て、朝食が先だ!」
「そんな訳ないっしょー、緊急でーす」

 緊急の割にはゆるい口調だなぁ。

「よりによって宴会の翌日か、頭痛ぇのに」
「刀雲、ドリンク飲んで」
「おうありがと」
「将軍の愛妻様ですね! 初めまして伝令Aです! 噂以上に可愛い人ですね、どうです俺も候補に――」

 それ以上言葉は続かなかった。

「……」
「……え、えっと」
「……」

 ふらりと現れた騎士様が無表情で伝令Aさんをじーーーーっと見つめ、無言で威圧を掛けているんだけどどうしたんだろう。

「騎士様、アー君ももうじき起きて来るので先に座っててください」
「分かった」

 僕と視線を合わせてから一つ頷き、ちらりと伝令Aさんに視線を向けてからふいと逸らして大人しく席へと移動してくれた。

 びっくりした。
 伝令Aさんも驚いたようで大量の冷や汗をかいている。生きてるかな?
 
「刀雲、今のうちにそこ座って、簡単に身嗜み整えちゃうから」
「分かった。オイ報告」
「は、はいぃ!」

 刀雲に縁側に座ってもらうと羽織っていただけの上着のボタンを留め、次に櫛を取り出して青い髪をとかす、髪質がいいから寝ぐせもすぐ直るんだよね。
 報告はまだ続いているみたいだからその間に食べて貰っちゃおう、おにぎり召喚! なんてね、アイテムボックスにたくさん入っている中から圧縮型おにぎりを渡し、湯呑に煎茶を淹れる。

 圧縮型おにぎりってなんだって?
 えっとね、山のように炊いたご飯を前に僕は思ったんだ、ぎゅっと握って作るおにぎりはもちろん美味しいけれど、圧縮したらどれぐらいまで小さくできるかなーって。
 一個で一合分食べれたら時短になるかなぁって思ったり思わなかったり、ちなみに刀雲に渡したあれは二合分あるけど大きさは標準、ドリちゃんにかかれば朝飯前だったよ。
 具は入ってないけどねー。

 問題が起きたなら今日は帰宅が遅くなるかもしれない、夜食セットを渡しておこう。
 よし、刀雲の出発準備は完了!
 でもルーク起きて来ないなぁ。
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