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ダンジョン探検
第101話
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朝起きたらイネスとラーシャが新婚旅行に旅立っていた。
と言っても、あまり心配していない。
だって……
「知らない土地に行ってイネスは大丈夫か? 今からでも迎えに行った方が」
オロオロしているのは刀雲、ルークもきゅるきゅる鳴きながら同じところを行ったり来たりしている。
「大丈夫だと思うよ?」
「イツキは心配じゃないのか? イネスはまだ子供だぞ?」
「すぐ帰って来ると思う」
机に朝食を並べながら心配性の父親二人に思わず苦笑いしてしまった。
「だがラーシャと二人きりだぞ、そう簡単に戻ってくるか?」
「んーでもさ、イネスって舌が肥えてるんだよねぇ」
雑食なラーシャは硬かろうが無味無臭だろうが平気だろうけど、ドリちゃんご飯で育ったイネスはそうはいかない。
生肉も食べれるけれど、焼いたり加工したりした方が美味しい事を知っている。知っているけどやり方は知らない。
「刀国はクロードさんの改革でだいぶ改善されてきたけれど、他国は刀国ほど食事が発展してないって春日さんが言ってたんだ。ドリちゃんのご飯で育ったイネスが満足出来るとは思えない」
「確かに」
ようやく落ち着いて来た二人が同時に席に着いたのでその前にお茶を置くと、刀雲は一口飲んで盛大に息を吐き、ルークは二本足で器用に湯呑を持って飲んだ。なんだあれ可愛い。
「だが蜜月を過ごすだけなら食事に拘らないんじゃ……」
「体力がいるから余計に食事に拘るよイネスは」
何せ獅皇さんのご子息だからね。
共有を切る以前は僕のアイテムボックスから食事を取り、共有を切ってからは監禁真っ最中でも食糧が尽きれば追加を遠慮なくオーダーするぐらい食事にはうるさい部分がある。
しかも今回、ラーシャと喧嘩した時にやけ食いして、そのまま補充してないんだよね。
「三食プラス三時と十時のおやつ、それ以前の問題が一つ」
「な、なんだ? イネスは大丈夫なのか?」
「くぅん」
「あの二人、お金持ってる?」
僕の言葉に「あー……」と二人が目を逸らした。
「今日の夜か、昼には帰って来るか」
「わふわふ」
「用意出来たよ、座って?」
「おう」
「きゃぅ!」
わおーーん
ルークが庭に向かって一吠えすると庭で遊んでいた三匹ともふもふズがすっ飛んできた。なぜか皆びしょ濡れなんだけど。
「シャムスは?」
『ここなのー』
飛び込んできたシャムスはすっぽんぽんだった。
「シャムス様!」
『やーーん』
と思ったら、大判のタオルが後ろから巻き付けられ回収された。
「すみません、お風呂から出た瞬間に子犬になって脱走されてしまって」
肩で息をしながら謝罪するマシュー君に、刀雲が苦笑いしながらこっちへ来いと手招き、マシュー君からシャムスをタオルごと受け取ると優しく拭き始めた。
アー君はきちんと乾かしてから服を着るからもうちょっと時間かかるかな?
「ドリアン、神薙さん呼んできて、お味噌汁も温めていいよ」
「ハイ」
本日の神薙さんは丼とプレートどちらがいいかな、山賊おにぎりも作ってみたからどんなリクエストもどんとこい。
「朝から池に飛び込んだか」
「はい」
『トラちゃんと遊んだの、そしたらねトラちゃんのお嫁ちゃんに突かれて溺れそうになってね、トラちゃんが助けてくれたけどお嫁ちゃんと仲間はもふもふズが食べちゃったの』
「ほらシャムス、乾かそうな」
「うるる」
『大丈夫よ、お水飲む前にトラちゃんが助けてくれたのよ』
その後キチンと身なりを整えたアー君が食事の席に着き、教えてくれたのはシャムスが朝の水浴びに池に飛び込み、トラちゃんと遊んでいたのだけれどお嫁軍団に襲われて危うく溺れかけたという冷っとする出来事だった。
お嫁軍団はもふもふズによって全滅、すでにもふもふズの胃袋の中との事。
ちなみに、トラちゃんの新しいお嫁さんはタイガが釣りに行ったようだ。海に。
それは釣りになるのかな、釣りと言うより狩りなイメージが強いよタイガ。
と言っても、あまり心配していない。
だって……
「知らない土地に行ってイネスは大丈夫か? 今からでも迎えに行った方が」
オロオロしているのは刀雲、ルークもきゅるきゅる鳴きながら同じところを行ったり来たりしている。
「大丈夫だと思うよ?」
「イツキは心配じゃないのか? イネスはまだ子供だぞ?」
「すぐ帰って来ると思う」
机に朝食を並べながら心配性の父親二人に思わず苦笑いしてしまった。
「だがラーシャと二人きりだぞ、そう簡単に戻ってくるか?」
「んーでもさ、イネスって舌が肥えてるんだよねぇ」
雑食なラーシャは硬かろうが無味無臭だろうが平気だろうけど、ドリちゃんご飯で育ったイネスはそうはいかない。
生肉も食べれるけれど、焼いたり加工したりした方が美味しい事を知っている。知っているけどやり方は知らない。
「刀国はクロードさんの改革でだいぶ改善されてきたけれど、他国は刀国ほど食事が発展してないって春日さんが言ってたんだ。ドリちゃんのご飯で育ったイネスが満足出来るとは思えない」
「確かに」
ようやく落ち着いて来た二人が同時に席に着いたのでその前にお茶を置くと、刀雲は一口飲んで盛大に息を吐き、ルークは二本足で器用に湯呑を持って飲んだ。なんだあれ可愛い。
「だが蜜月を過ごすだけなら食事に拘らないんじゃ……」
「体力がいるから余計に食事に拘るよイネスは」
何せ獅皇さんのご子息だからね。
共有を切る以前は僕のアイテムボックスから食事を取り、共有を切ってからは監禁真っ最中でも食糧が尽きれば追加を遠慮なくオーダーするぐらい食事にはうるさい部分がある。
しかも今回、ラーシャと喧嘩した時にやけ食いして、そのまま補充してないんだよね。
「三食プラス三時と十時のおやつ、それ以前の問題が一つ」
「な、なんだ? イネスは大丈夫なのか?」
「くぅん」
「あの二人、お金持ってる?」
僕の言葉に「あー……」と二人が目を逸らした。
「今日の夜か、昼には帰って来るか」
「わふわふ」
「用意出来たよ、座って?」
「おう」
「きゃぅ!」
わおーーん
ルークが庭に向かって一吠えすると庭で遊んでいた三匹ともふもふズがすっ飛んできた。なぜか皆びしょ濡れなんだけど。
「シャムスは?」
『ここなのー』
飛び込んできたシャムスはすっぽんぽんだった。
「シャムス様!」
『やーーん』
と思ったら、大判のタオルが後ろから巻き付けられ回収された。
「すみません、お風呂から出た瞬間に子犬になって脱走されてしまって」
肩で息をしながら謝罪するマシュー君に、刀雲が苦笑いしながらこっちへ来いと手招き、マシュー君からシャムスをタオルごと受け取ると優しく拭き始めた。
アー君はきちんと乾かしてから服を着るからもうちょっと時間かかるかな?
「ドリアン、神薙さん呼んできて、お味噌汁も温めていいよ」
「ハイ」
本日の神薙さんは丼とプレートどちらがいいかな、山賊おにぎりも作ってみたからどんなリクエストもどんとこい。
「朝から池に飛び込んだか」
「はい」
『トラちゃんと遊んだの、そしたらねトラちゃんのお嫁ちゃんに突かれて溺れそうになってね、トラちゃんが助けてくれたけどお嫁ちゃんと仲間はもふもふズが食べちゃったの』
「ほらシャムス、乾かそうな」
「うるる」
『大丈夫よ、お水飲む前にトラちゃんが助けてくれたのよ』
その後キチンと身なりを整えたアー君が食事の席に着き、教えてくれたのはシャムスが朝の水浴びに池に飛び込み、トラちゃんと遊んでいたのだけれどお嫁軍団に襲われて危うく溺れかけたという冷っとする出来事だった。
お嫁軍団はもふもふズによって全滅、すでにもふもふズの胃袋の中との事。
ちなみに、トラちゃんの新しいお嫁さんはタイガが釣りに行ったようだ。海に。
それは釣りになるのかな、釣りと言うより狩りなイメージが強いよタイガ。
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