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ダンジョン探検
第98話
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「きょ、きょうから、よろしく、お願いします!」
「お昼なんですか?」
到着してからずっと食事を要求しているのはレオナルド君、緊張で噛みまくっているのは友人君。
今日から世話役見習いとして学校が終わってから数時間、アカーシャの下に就いて仕事をするんだ、アルバイトみたいなものかな?
「マシュー・リトル・ヴィシュタルです、今日からよろしくお願いします!」
畳に頭をぶつける勢いでクリーム色のツンツン頭を下げた。
孤児には本来名乗るべき家名はない、『リトル』は教会の保護下にある子供が使用する名前。大丈夫、覚えてる。
ちなみにレオ君は食べ物の匂いを感知して「こんにちわ」とあいさつした後、ふらふらっとドリちゃんの所へ行ってしまった。
うん、世話役見習いはマシュー君だけだし、どうしたのかと思ったら単に食べ物目当てだったみたいだね。
ごめん、爛れた日常を送って何も決めてない。
そもそも世話役って誰の世話をさせればいいのかな。
「母様大丈夫ですよ」
「アカーシャ」
「母様の負担を減らすための決め事ですからね、指導は僕がやります」
そう言えばそんな事言ってたような。
「僕はアカーシャ、君の指導役になります、よろしくね」
「はい、よろしくお願いします!」
元気いいなー。
落ち着いて来たみたいで、目がキラッキラ光ってる。
「わふ!」
「おう、よろしくな!」
一鳴きしたエムをわしゃわしゃと撫でる。
あの、あの……。
「一応それ僕の兄様に当たるからね」
「うん、銀狼は四匹、うち一匹は僕の旦那様で、三匹は僕の子供だからね」
飼い犬じゃないからね?
「失礼しました」
「わふん」
中身ワンコだから全く気にしてないみたいだけどね、むしろもっと撫でろと要求している。
「本当はもふもふズの世話を手伝って欲しかったのだけど、別の事もお願いしていいかな」
「はい!」
「あと、仕事内容の関係で君にはしばらくここから学校に通ってもらう事になるかな、その後はどうなるかまではちょっと僕らじゃ決められないけど、悪いようには多分ならない」
「え、レオも居付きそうですけど大丈夫ですか?」
「無銭飲食はさせないから」
「え」
お盆に自分の分の昼食を載せたレオ君が入り口で固まっている。
「今日はマシューの友人として扱うよ、でも明日以降、美味しい物を食べたいなら労働してもらうからね」
「……はぁい」
にこりと微笑んだアカーシャに渋々頷いた。分かる、この笑顔怖いよね!
「えっと、あの子は……」
「それでね、ラーシャったら酷いんですよ、ここで食べるご飯も亡者を食べるのも同じだって言うんです! 母様のご飯と亡者が同じ味なわけないのに!」
『卵ちゃん撫でる? つるつるなのよ!』
『甘い物はいるか? 子供は食べねば』
「わふわふ」
「がぅがぅ」
「きゅるるる」
なんかもふもふワールドが出来てる。
中心にはアルビノのあの子が居るようだ。
「僕らの子が冥府に堕ちた事も何も思わないのがおかしいんです、流産ですよ、一度宿った命が消えた事の意味を理解してないんです! 僕の子供でもあるのに!」
『卵ちゃんね、強いの、なんでももりもり食べるの!』
『お勧めはパンケーキだな、これは神薙殿も好きでアイスや生クリーム、ジャムやはちみつをかけて食べるのも良い、顔ぐらい大きいサイズを食べたいが夕食が入らないと怒られる』
「「きゃぅきゃぅきゃぅ」」
あの子が口を開かないのは、喋れないのか、喋る隙がないのか、どっちだろうか。
「……あちらの子供は本日神薙さんに保護された子供で、身の振り方が決まるまでお世話をお願いしたいけれど大丈夫?」
「はい、チビどもとレオの世話で慣れてるんで」
おおー、マシュー君頼もしい。
「ごちそうさまでした。デザート食べていいですか?」
……レオ君、マイペースだね。
「お昼なんですか?」
到着してからずっと食事を要求しているのはレオナルド君、緊張で噛みまくっているのは友人君。
今日から世話役見習いとして学校が終わってから数時間、アカーシャの下に就いて仕事をするんだ、アルバイトみたいなものかな?
「マシュー・リトル・ヴィシュタルです、今日からよろしくお願いします!」
畳に頭をぶつける勢いでクリーム色のツンツン頭を下げた。
孤児には本来名乗るべき家名はない、『リトル』は教会の保護下にある子供が使用する名前。大丈夫、覚えてる。
ちなみにレオ君は食べ物の匂いを感知して「こんにちわ」とあいさつした後、ふらふらっとドリちゃんの所へ行ってしまった。
うん、世話役見習いはマシュー君だけだし、どうしたのかと思ったら単に食べ物目当てだったみたいだね。
ごめん、爛れた日常を送って何も決めてない。
そもそも世話役って誰の世話をさせればいいのかな。
「母様大丈夫ですよ」
「アカーシャ」
「母様の負担を減らすための決め事ですからね、指導は僕がやります」
そう言えばそんな事言ってたような。
「僕はアカーシャ、君の指導役になります、よろしくね」
「はい、よろしくお願いします!」
元気いいなー。
落ち着いて来たみたいで、目がキラッキラ光ってる。
「わふ!」
「おう、よろしくな!」
一鳴きしたエムをわしゃわしゃと撫でる。
あの、あの……。
「一応それ僕の兄様に当たるからね」
「うん、銀狼は四匹、うち一匹は僕の旦那様で、三匹は僕の子供だからね」
飼い犬じゃないからね?
「失礼しました」
「わふん」
中身ワンコだから全く気にしてないみたいだけどね、むしろもっと撫でろと要求している。
「本当はもふもふズの世話を手伝って欲しかったのだけど、別の事もお願いしていいかな」
「はい!」
「あと、仕事内容の関係で君にはしばらくここから学校に通ってもらう事になるかな、その後はどうなるかまではちょっと僕らじゃ決められないけど、悪いようには多分ならない」
「え、レオも居付きそうですけど大丈夫ですか?」
「無銭飲食はさせないから」
「え」
お盆に自分の分の昼食を載せたレオ君が入り口で固まっている。
「今日はマシューの友人として扱うよ、でも明日以降、美味しい物を食べたいなら労働してもらうからね」
「……はぁい」
にこりと微笑んだアカーシャに渋々頷いた。分かる、この笑顔怖いよね!
「えっと、あの子は……」
「それでね、ラーシャったら酷いんですよ、ここで食べるご飯も亡者を食べるのも同じだって言うんです! 母様のご飯と亡者が同じ味なわけないのに!」
『卵ちゃん撫でる? つるつるなのよ!』
『甘い物はいるか? 子供は食べねば』
「わふわふ」
「がぅがぅ」
「きゅるるる」
なんかもふもふワールドが出来てる。
中心にはアルビノのあの子が居るようだ。
「僕らの子が冥府に堕ちた事も何も思わないのがおかしいんです、流産ですよ、一度宿った命が消えた事の意味を理解してないんです! 僕の子供でもあるのに!」
『卵ちゃんね、強いの、なんでももりもり食べるの!』
『お勧めはパンケーキだな、これは神薙殿も好きでアイスや生クリーム、ジャムやはちみつをかけて食べるのも良い、顔ぐらい大きいサイズを食べたいが夕食が入らないと怒られる』
「「きゃぅきゃぅきゃぅ」」
あの子が口を開かないのは、喋れないのか、喋る隙がないのか、どっちだろうか。
「……あちらの子供は本日神薙さんに保護された子供で、身の振り方が決まるまでお世話をお願いしたいけれど大丈夫?」
「はい、チビどもとレオの世話で慣れてるんで」
おおー、マシュー君頼もしい。
「ごちそうさまでした。デザート食べていいですか?」
……レオ君、マイペースだね。
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