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ダンジョン探検

第91話

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 ラーシャとの話し合いにラセンが参戦しました。
 僕は相変わらず台所、大鍋でシチューを調理中なんだ。野菜ゴロゴロシチューだよ、シャムス用にすりおろしシチューも作ってある。

『ピーマンやーよー』

 アカーシャはピーマンに肉を詰める作業中、シャムスも小さなお手手で手伝おうとしてくれ……あっ!

「あ、シャムス駄目だよ、捏ねないで……あぁ」

 僕より先にアカーシャが止めたけど遅かった。
 シャムスが捏ねた肉だねがスライムになりましたー。

 あれは神薙さんに食べて貰おう。

「母様ごめんなさい」
「いいよ、でも情が移る前にボックスに仕舞っておいてね」
「うん」

 ピーマンの肉詰めがまさかスライム詰めになるとは誰も思うまい、我が家に何でも食べてくれる邪神様がいて良かった。
 と思っていたら、脱走しようとした肉スライムを片っ端から卵が食べていた。あれはつまみ食いに当たるのだろうか、悩む。

「さぁラーシャ」

 ほのぼのとしている僕らと対照的に、ラーシャの周囲はピリピリしているみたいだね。
 逃げられないようにラーシャの周囲をもふもふズが固め、口が軽くなるように真正面にはタイガが座り、三匹とアー君はそのまま同じ位置に。
 ラセンは自白させる刑事役かなぁ。

「だって、亡者食べるのは元々だし、仕事の一環だ」

 ラセン刑事が吐かせた内容を要約すると……
 どうやらラーシャは妊娠中も亡者を食べていたらしい、亡者に栄養があるはずもなく、お腹が大きくならない不思議な世界観がここにきて仇となった。

 イネスが注いでいた魔力は亡者を食べた事で打ち消されていた。
 結果、子供は育たなかった。

「それでも、自分の中に新しい命があるのは自覚しておくべきでしたね、子が貴方と同じように亡者から糧を得られるとは限らない」

 前回と違うのは、イネスが忙しくてラーシャを抱けない日があった事、ラーシャはこれ幸いとヴァルカに赴き、職場でせっせと亡者をつまみ食いしていたらしい。

 宿った命は育つ事無く、この世とあの世の境に堕ちた。

 この世界において冥府に当たるのはラーシャそのもの、ラーシャしか認識できない異空間にイネスの子供達は堕ちた……けれど自分はいつでも会えるし存在を感じる事が出来る。
 さらに言えば父も母もペットも、イネスとの間に産まれた子供達も冥府で元気に暮らしているのもあり、イネスがなぜあんなに嘆き、激怒しているかラーシャは理解できないようだ。
 
 それが今回の喧嘩の原因っぽい。

 あのねラーシャ、騎士様が特殊なだけで、普通は冥府行き来出来ないから!

「イネスは貴様と言う番を捨てると言い捨てて飛び出した」
「え」
「ヴァルカにはイネス兄上を是非にと乞う者は多いと聞く、私達は兄弟の幸せを優先する」
「は、ちょっとナニソレ」

 おや、ラーシャったらイネスに執着してくれるの?

「浮気かよ!」
「血を残すための多重婚は女神が認めておる」

 タイガは嘘を言っていない、異世界で倫理的にNGでも、この世界で女神様がOK!と言えば全く問題ないのは本当、僕が代表例だね。

「貴様がいらぬなら、私がイネス兄上をもらうのも面白そうだ」

 アー君の挑発にラーシャが真っ青になって息を飲んだ。
 精神年齢の差かなぁ、悪役が板に付いてる。

 悪役を演じるアー君も可愛いなぁ、今日頑張ってくれたご褒美に明日はアー君の食べた事のないものを作ってあげよう。
 何がいいかなぁ。

『もっちーんもちもちーん』
「シャムス、スライムを量産しないで……」

 そうだ、シャムスの頬っぺたみたいにもっちりした食べ物、すいとんにしよう。
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