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ダンジョン探検

第81話

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 大鍋に入ったドリちゃん特製スープを一気飲みしていた神薙さんがふと動きを止めた。あれ十杯目だからさすがに飽きたのかな?

「お土産渡してなかった」

 と思ったら大鍋は空だった。

 「ごちそうさま」と言って鍋をドリアンに返却した神薙さんが、片付けられた机の上に取り出した戦利品を次々乗せて行く。
 待って、待って、血生臭い、洗浄、あれ、浄化だっけ? とにかくそいやー!

 綺麗にしなきゃと思って慌てて魔法を使ったらちゃんと発動した、しかも無詠唱だった気がする。

『ほうしぇき』
『なるほどこれがドロップ品』
『アー君これ、きれーね』
『魔石だな、ダンジョンに出現するモンスターが必ず持っているもののようだ』

 アー君が肉球でちょいちょいと操作しているそれは、騎士様や僕が使っているのと同じもの。

「アー君、もしかして女神様から貰った?」
「父上におねだりして共有させてもらっている」

 激甘ですね。
 横を見たら騎士様が照れ臭そうに笑っていた。

『アー君これは?』
『ルーン文字だな』
『りゅーんもじ?』
『魔法陣などに組み込んで使う用途が多い、こんな風に……』

 微笑ましいなぁと幼児二人を眺めていたら、アー君が宙に何か文字を描き始めた。ってあれ魔法陣!?
 熱を感じた直後、アー君の手にはこんがり焼けた魚があった。

『調節次第でいつでも焼き立てが食べれる!』
『!! ドリちゃんいつも使ってる!』
『その通り! ドリちゃんは素晴らしいな!』
『すごいの! 神薙しゃまもにこにこなの!』

 一瞬ひやっとしたけれどなんか大丈夫そうだな。

「シャムスが成長するまでは危険な事は教えないから安心してくれ」

 それはつまり成長したら色々教えるって宣言?

『これ角?』
『うむ、使い方は…………この説明書使えねぇ』

 ぐるるとアー君が低く唸っている。どうしたんだろう。

「アー君どうしたの?」
「これ」

 見せて貰った画面には『この角で張り形作ると感度8割増』と説明書きが、女神様……こういう説明は力を入れてるからたち悪い。

「こっちの毛皮は『防水機能付き、宿屋で大人気』って書いてある。んー、説明がどうも鈴の煩悩まみれでバランス悪いなぁ」

 女神様、騎士様に呆れられてますよー……。
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