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刀国学園
第64話
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冒険者体験は順調に終了した。
教皇様という最強の後衛がいたおかげで怪我人もゼロ、シャムスとアー君がこそこそしていたのが気になるけど、害はなかったから良しとしよう。
「よく頑張った。これは仮のギルドカードだ、お前達が正式な冒険者として登録に来る日を待っているぞ!」
濃いメンバーに埋もれ、ほぼ空気だったギルド長さんがここに来ていいとこ取りした。
出番のなかったおっちゃんから一転、太っ腹な英雄に早変わり、子供達の顔が輝いている。しかも元の自分の位置に戻るや否や、友人やクラスメイトに群がられてもみくちゃにされている。
「イツキ、イツキ」
「?」
レイアさんに手招きされて近くに行くと大量のスライムを渡された。
ああ、うん、倒すわけじゃないからそのまま残るよね、張り切って大量に作られたスライムは当然手に持ち切れなくてぽろぽろ落ちる。
「勿体ない」
言いながら拾った神薙さんが丸呑みしていく、それを見て子供達が「実際に見たの初めて」「お前少しは城下に降りて遊べよ」とか「まともな大人にならないとあれが俺らの将来だ」など色々と面白い事を言っていた。
特に後半、子供なんだからもうちょっと将来に希望持とう。
「よっし、じゃあ魔物に慣れた所で本番行くかー」
え
レイアさんの言葉に子供達もピシリと固まった。
「あれは初心者向けの疑似体験、ぬる過ぎて授業にならねぇ」
「大丈夫だよ樹、頼りになる保護者がこんなにいるんだから、有意義な時間になるよ」
「そう言う問題じゃない!」
あと普通に騎士様の大丈夫は信用ならん!
「自分達の故郷の周りにどんな生き物が住んでいるか、知っておくのも大事な経験だぞー」
「嫌な予感しかしない」
「大丈夫だって、最悪死んでも春日が復活させてくれる!」
「おー任せておけ」
任せられない。
「術式を展開する、助かりたければ近場の大人に助けを求めるんだな」
宣言したレイアさんに子供達がパニックを起こした。そりゃそうだろう。
外に出ようとする子、先生に泣きつく子、その他講師陣に助けを求める子などパターンは色々あったけれど、これは神様達の用意した選択肢に過ぎなかった。
騎士様がやれやれと溜息をつきながらゆるりと立ち上がる。
……騎士様が実行犯かい!
「選択はなされた」
ただ一言告げると同時に講堂から講師陣と子供達の姿が消えた。
送った場所によっては絞める。
「え、俺かっこよくなかった? なんで怒られるの?」
「怒っていませんとも、だからどこに送ったか白状してください」
「オネェより怖い」
賛辞と受け止めていいのだろうか。
「え、っとね」
「はい」
「助けを求めた相手に所縁のある場所に飛ばしました」
何を言っているかちょっと分からない。
「魔王に助けを求めたら魔王城にでも飛んでるんじゃないかな?」
「神薙さんがいないのですが」
「神様としては絶対的支持率があるからねー、食べ物さえ持っていれば助けを求める相手としては間違ってないよ」
「どこへ飛ぶんですか」
「んー神薙はねー、神域か魔物の森か自宅かなぁ」
「行動範囲広い」
自宅ならこの時間いるのは……あ、もふもふズが本性で日向ぼっこしてるかもしれない。
「なぜかレイアさんも居ない」
「あら本当、あれだけ脅されて助けを求める子がいるとはねー、ああレオ君の友人かも」
「どこへ飛ばしたんですか」
「レイアなら獣人の国かなぁ、レイアの神殿あるからねぇ」
その他、ギルド長はギルド、刀雲は山賊本拠地、教皇様は総本山、タイガはラセン自宅、先生に泣きついた子はステージの簡易ダンジョン、扉から逃げようとした子は基本的に冒険向きじゃないので教室に転送、特別授業は終わりで通常授業になるらしい。
冒険をした子達との温度差が酷い事になりそうだね。
教皇様という最強の後衛がいたおかげで怪我人もゼロ、シャムスとアー君がこそこそしていたのが気になるけど、害はなかったから良しとしよう。
「よく頑張った。これは仮のギルドカードだ、お前達が正式な冒険者として登録に来る日を待っているぞ!」
濃いメンバーに埋もれ、ほぼ空気だったギルド長さんがここに来ていいとこ取りした。
出番のなかったおっちゃんから一転、太っ腹な英雄に早変わり、子供達の顔が輝いている。しかも元の自分の位置に戻るや否や、友人やクラスメイトに群がられてもみくちゃにされている。
「イツキ、イツキ」
「?」
レイアさんに手招きされて近くに行くと大量のスライムを渡された。
ああ、うん、倒すわけじゃないからそのまま残るよね、張り切って大量に作られたスライムは当然手に持ち切れなくてぽろぽろ落ちる。
「勿体ない」
言いながら拾った神薙さんが丸呑みしていく、それを見て子供達が「実際に見たの初めて」「お前少しは城下に降りて遊べよ」とか「まともな大人にならないとあれが俺らの将来だ」など色々と面白い事を言っていた。
特に後半、子供なんだからもうちょっと将来に希望持とう。
「よっし、じゃあ魔物に慣れた所で本番行くかー」
え
レイアさんの言葉に子供達もピシリと固まった。
「あれは初心者向けの疑似体験、ぬる過ぎて授業にならねぇ」
「大丈夫だよ樹、頼りになる保護者がこんなにいるんだから、有意義な時間になるよ」
「そう言う問題じゃない!」
あと普通に騎士様の大丈夫は信用ならん!
「自分達の故郷の周りにどんな生き物が住んでいるか、知っておくのも大事な経験だぞー」
「嫌な予感しかしない」
「大丈夫だって、最悪死んでも春日が復活させてくれる!」
「おー任せておけ」
任せられない。
「術式を展開する、助かりたければ近場の大人に助けを求めるんだな」
宣言したレイアさんに子供達がパニックを起こした。そりゃそうだろう。
外に出ようとする子、先生に泣きつく子、その他講師陣に助けを求める子などパターンは色々あったけれど、これは神様達の用意した選択肢に過ぎなかった。
騎士様がやれやれと溜息をつきながらゆるりと立ち上がる。
……騎士様が実行犯かい!
「選択はなされた」
ただ一言告げると同時に講堂から講師陣と子供達の姿が消えた。
送った場所によっては絞める。
「え、俺かっこよくなかった? なんで怒られるの?」
「怒っていませんとも、だからどこに送ったか白状してください」
「オネェより怖い」
賛辞と受け止めていいのだろうか。
「え、っとね」
「はい」
「助けを求めた相手に所縁のある場所に飛ばしました」
何を言っているかちょっと分からない。
「魔王に助けを求めたら魔王城にでも飛んでるんじゃないかな?」
「神薙さんがいないのですが」
「神様としては絶対的支持率があるからねー、食べ物さえ持っていれば助けを求める相手としては間違ってないよ」
「どこへ飛ぶんですか」
「んー神薙はねー、神域か魔物の森か自宅かなぁ」
「行動範囲広い」
自宅ならこの時間いるのは……あ、もふもふズが本性で日向ぼっこしてるかもしれない。
「なぜかレイアさんも居ない」
「あら本当、あれだけ脅されて助けを求める子がいるとはねー、ああレオ君の友人かも」
「どこへ飛ばしたんですか」
「レイアなら獣人の国かなぁ、レイアの神殿あるからねぇ」
その他、ギルド長はギルド、刀雲は山賊本拠地、教皇様は総本山、タイガはラセン自宅、先生に泣きついた子はステージの簡易ダンジョン、扉から逃げようとした子は基本的に冒険向きじゃないので教室に転送、特別授業は終わりで通常授業になるらしい。
冒険をした子達との温度差が酷い事になりそうだね。
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