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優しい人生を

第56話

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 お風呂上りは牛乳ですよね。

「俺コーヒー」
「わふわぅ」
『フルーツ』
『ミルク』
「お酒、樽で」
『卵ちゃんも飲む?』

 それぞれがドリアンに注文している。約一名、お風呂を回避した上にお酒注文している人がいる。

「神薙さん、お風呂上がりの方がお酒美味しいですよ」
「夜食の方が大事」
「それって血飛沫浴びてますよね、お風呂入りましょうよ」
「イツキ……僕が何のために洗浄魔法発展させたと思ってるの?」

 お風呂に入る時間を短縮してその時間全て食事に充てるためだよ?と力説された。

「おつまみはいりますか?」
「うん」
「アカーシャ、僕がやるから牛乳飲んでていいよ」

 ドリちゃんとの連携でちょちょいと出そう。
 
『フルーツぎゅうにゅー美味しーのー』
『次は刀雲と同じコーヒー味に挑戦してみたい……っは!』
『アー君どうしたの?』
『成獣姿で入って自分で洗えば良かったと今気付いた!』
「アー君、口周り真っ白だよ」
『っぐ、やめ、私は子供では……あはぁん』

 おつまみ片手に戻ったら、アー君がアカーシャの膝の上でひっくり返ってお腹を見せていた。

「丸々とした健康体だね、毛並みも文句なしだ」
『あ、ぁぁ、きもちー』

 とうとうくぅんくぅんと鳴き始めた。多分あれ無意識だね。

『僕も卵ちゃんまっさーじー』

 アカーシャの真似をして、シャムスが卵を撫で始めた。
 なんだあの光景、天国か。

 牛乳を飲み終えた三匹+ルークも参戦し、アカーシャの周りで全員ひっくり返り、その光景を見たもふもふズがそれぞれ顔を見合わせ、何やら囁き合った直後、庭の池に飛び込むという暴挙に走った。

 きゅるる
 ぐぉーん

 池から上がると真っ直ぐ縁側に駆け寄り、何やらアカーシャと僕に向かってアピールを始めて、これがアホな子ほど可愛いってやつか。
 一部、尻尾で魚を釣り上げてる子もいる。

「何これ可愛いな」
「騎士様」
「風邪引くよ」

 縁側に並ぶ濡れもふもふズを見て、優しさから風を吹かせてもふもふズを乾かしてくれた。
 もふもふズ愛からくるもので、決して彼らの邪心を邪魔した訳じゃないだけど、恨めし気な目で見られるのは仕方ないのかもしれない。

「皆お風呂入ったんだ。俺も入ろうかなぁ」

 言いながら持ち上げられた。

「今日は泡風呂かジェットバスどっちがいいかなぁ」
「あの、神薙さんの給仕が」
「ドリアンあとよろしくー」
「ハイ」

 持ち運ばれる視界の片隅でルークが驚いた顔でこちらを見ているのがちらっと見えた。まぁそうだよね、まさか息子に甘えている最中に嫁が連れて行かれるとは想定してなかっただろう。

「僕もうお風呂入ったんですけどー」
「俺のこと洗っていいよ」

 なんだって。

「ふふふー取引成立」

 思考停止している間に風呂場に連れ込まれました。

 騎士様とは何回かお風呂に入った事はある、でもいつも洗われるばかりで奉仕した事はなかったようなあるような。
 とりあえずお言葉に甘えて全身を洗わせていただきました。

「ミルク美味しいねぇ」

 気付いたら湯船で胸を吸われてたけど、僕はやり切った、騎士様の全身を洗い切ったんだ!

 ……色々凄かった。とだけ言っておく。
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