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優しい人生を
第39話
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今更ですが、我が家の庭は広く樹も適度に植えられていているので木陰もあり、散策するに最適な環境、もふもふズが良く子供達を連れて散歩している。
庭には池もあってドラゴンになったラーシャが水浴びしていた事がある、つまりそこそこの深さがあるって事だ。
だけどまさかそこで魔物を飼い始めるとは思わなかった。
アカーシャに会う為に手土産を持ってせっせと通うギレン、変に畏まったものよりも食べれる物が有効だとやっと思い出したのか仕事の合間に新鮮な魚を持ってきてくれるようになったんだ。
最初はタイミングがずれて食後だったのがきっかけ。
神薙さんの『新鮮なのが食べたい』の一言でとりあえず池に放したんだけど……サーモンに似たその魔物は一晩で環境に適応した。
『ごはんの時間よー』
バシャッ!
『うふふ、おじょーず』
シャムスの声に反応し、華麗なジャンプを披露。
しかも空中で一回転する小技も入れていた。
朝食に焼いて食べるはずだったサーモンもどきは野生の本能だろうか、池に放されて環境に適応した後は生命を維持するため即行でシャムスに媚びた。
芸を披露し、無害アピール、周りはもふもふばかりで水棲の生物はいなかったせいだろうか、うちの天使は無邪気に彼を受け入れた。
斯くしてサーモンもどきは食事に困らない住処と、シャムスのペットと言う立場を手に入れた。
ここ、平和だけど特殊な環境だし、気付いたらとんでもない進化遂げてそうだなぁ。
魔物の進化に必要な魔素ならたっぷりあるしね、何より餌が……
『きょーはクルミを和えたのよー』
ぽよ~んと投げたのはおやつに食べるよう作ったクッキー、の余った生地で作られたスライム。
小さな手で作られた3㎝ほどのクッキースライムを空中でキャッチ、シャムスと後から来たアー君が拍手を送っている。
『魔物が芸をするとは、不思議な世界だな』
『お名前どうしよ、アー君なにかなぁい?』
『母上がトラウトサーモンと言っていたからトラウトでどうだ』
『トラちゃん!』
パシャ!
どうやらサーモンが名付けられたらしい、鱗がキラキラと発光している上にジャンプ力が格段に上がった。
朝食のおかずからシャムスのペット、シンデレラストーリーもびっくりな展開だよね。
『こんな簡単に進化とはするものだったか? いや、深く考えまい』
『トラちゃんまたね、僕お腹空いたの』
『今日の朝食もバイキングやらないだろうか』
『ドリちゃんが疲労で枯れちゃうから駄目だって』
『それはまずい、我慢だな』
『うん』
アー君の馴染みっぷりが凄い。
よちよち歩きのシャムス、とてとて歩きのアー君、背伸びしたがりの二人はとても気が合うようで気が付くと一緒にいる。
『はちみつを掛けたパンケーキが美味かった』
『小さいといっぱい食べれて嬉しいの』
『今度、食材を集めに行くか』
『行くの! いっぱい集めて母様に喜んでもらうの!』
『褒めて貰えて、ご褒美にデザートもおまけしてもらえる、良い事尽くめだな』
『アー君賢い!』
『ふふん』
寄り添いながら歩く二人を邪魔する無粋な人は我が家にいない、もふもふズも少し離れた所から見守ってくれている。
アー君はシャムスから愛され方を学びつつ、貞操の危険からの回避と、獣人としての本能もあってシャムスを護ろうとしているらしい、誰かを護る事に生きがいを見つける人だから、護衛騎士としては最強だと春日さんに言われている。
後者はともかく、貞操の危機の回避という意味ではシャムスにくっついているのは正解かな、さすがの双子も溺愛対象のシャムスの庇護下にあるものは勝手に持っていけないからね。
そう言う意味では翡翠くんは無念としか言いようがない、お友達認識される前に従者志願しちゃったからねー、無意識に庇護下から外されたんだって。
うん、意外とシビアな世界だ。
庭には池もあってドラゴンになったラーシャが水浴びしていた事がある、つまりそこそこの深さがあるって事だ。
だけどまさかそこで魔物を飼い始めるとは思わなかった。
アカーシャに会う為に手土産を持ってせっせと通うギレン、変に畏まったものよりも食べれる物が有効だとやっと思い出したのか仕事の合間に新鮮な魚を持ってきてくれるようになったんだ。
最初はタイミングがずれて食後だったのがきっかけ。
神薙さんの『新鮮なのが食べたい』の一言でとりあえず池に放したんだけど……サーモンに似たその魔物は一晩で環境に適応した。
『ごはんの時間よー』
バシャッ!
『うふふ、おじょーず』
シャムスの声に反応し、華麗なジャンプを披露。
しかも空中で一回転する小技も入れていた。
朝食に焼いて食べるはずだったサーモンもどきは野生の本能だろうか、池に放されて環境に適応した後は生命を維持するため即行でシャムスに媚びた。
芸を披露し、無害アピール、周りはもふもふばかりで水棲の生物はいなかったせいだろうか、うちの天使は無邪気に彼を受け入れた。
斯くしてサーモンもどきは食事に困らない住処と、シャムスのペットと言う立場を手に入れた。
ここ、平和だけど特殊な環境だし、気付いたらとんでもない進化遂げてそうだなぁ。
魔物の進化に必要な魔素ならたっぷりあるしね、何より餌が……
『きょーはクルミを和えたのよー』
ぽよ~んと投げたのはおやつに食べるよう作ったクッキー、の余った生地で作られたスライム。
小さな手で作られた3㎝ほどのクッキースライムを空中でキャッチ、シャムスと後から来たアー君が拍手を送っている。
『魔物が芸をするとは、不思議な世界だな』
『お名前どうしよ、アー君なにかなぁい?』
『母上がトラウトサーモンと言っていたからトラウトでどうだ』
『トラちゃん!』
パシャ!
どうやらサーモンが名付けられたらしい、鱗がキラキラと発光している上にジャンプ力が格段に上がった。
朝食のおかずからシャムスのペット、シンデレラストーリーもびっくりな展開だよね。
『こんな簡単に進化とはするものだったか? いや、深く考えまい』
『トラちゃんまたね、僕お腹空いたの』
『今日の朝食もバイキングやらないだろうか』
『ドリちゃんが疲労で枯れちゃうから駄目だって』
『それはまずい、我慢だな』
『うん』
アー君の馴染みっぷりが凄い。
よちよち歩きのシャムス、とてとて歩きのアー君、背伸びしたがりの二人はとても気が合うようで気が付くと一緒にいる。
『はちみつを掛けたパンケーキが美味かった』
『小さいといっぱい食べれて嬉しいの』
『今度、食材を集めに行くか』
『行くの! いっぱい集めて母様に喜んでもらうの!』
『褒めて貰えて、ご褒美にデザートもおまけしてもらえる、良い事尽くめだな』
『アー君賢い!』
『ふふん』
寄り添いながら歩く二人を邪魔する無粋な人は我が家にいない、もふもふズも少し離れた所から見守ってくれている。
アー君はシャムスから愛され方を学びつつ、貞操の危険からの回避と、獣人としての本能もあってシャムスを護ろうとしているらしい、誰かを護る事に生きがいを見つける人だから、護衛騎士としては最強だと春日さんに言われている。
後者はともかく、貞操の危機の回避という意味ではシャムスにくっついているのは正解かな、さすがの双子も溺愛対象のシャムスの庇護下にあるものは勝手に持っていけないからね。
そう言う意味では翡翠くんは無念としか言いようがない、お友達認識される前に従者志願しちゃったからねー、無意識に庇護下から外されたんだって。
うん、意外とシビアな世界だ。
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