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第三章 世界に降りかかる受難
第810話
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かつて過去の世界でとてもお世話になったリザママ。
リザードンの寿命は分からないけれど、数百年経っているならもう寿命は尽きていると思って怖かった。
けどそれは杞憂だと、リザママと同じ時期に出会った転生スケルトンに諭され、別の意味で怖くなりました。
だって、僕、パンダに釣られてリザママを危険地帯に置き去りにしちゃったのよね。怒ってるよねー、怒られたくないなー、やだなー、怖いなー。
グダグダうじうじしていたら、我も我もと同行者が増え、家長である刀雲をはじめ、騎士様、ヘラ母さん、ここまではまぁ仕方ない、僕の保護者だからね。
どこまでも一緒に行こうぜ、シャムス、イネス、涼玉、アー君。
見知らぬ土地なら見知らぬ強い魔物がいるかもしれないとノリノリなレイアさん、新たな食材が見つかるかもしれないと追加でネヴォラと菜園ゴブリン。
僕の気分次第では周囲の魔物とバーベキューになるかもと、大量のお肉や野菜、重箱弁当を持って、ほぼ家族皆でピクニック気分です。
「でも僕、リザママのいる場所を知らないのは本当よ?」
「ママ、冷静に考えてくれ。いつでもどこでも我らがえっちゃんが一緒だっただろう?」
「あい」
「えっちゃんに連れて行ってもらえばいいんだよ」
その手があったかー、あえて無視していたけど、そうだよねー、すぐに思いつくよねー。
「そういう訳でえっちゃ先生、お願いします!」
「出発でーす!」
『見知らぬ土地へ、ごー!』
止める間もなく緑溢れる大地に転移しました。
イネスを肩に乗せた騎士様が、頼って欲しかったなぁ。という表情で僕らを見ている。
そうか、騎士様と二人で来ていれば権威で色々うやむやに……だめだ、騎士様は家族のお話になると結構ヘタレなのである。
ヘラ母さんに頭が上がらない時点で、リザママにも口答え出来ないね。
「懐かしいなぁ、少し景色は変わっているけどここは元砂漠で、俺が緑を増やしたんだぞ!」
『涼ちゃんさすがー!』
「それは、魔力が枯渇しますよ涼ちゃん」
「無茶すんのもほどほどにすんのよ」
「俺が思う以上に涼玉の能力が素晴らしいのだが?」
「パパ、何をいまさら言ってるんだ?」
涼玉がいれば森林が人間の街を破壊する事も可能です、恐怖、炎すら効かないトレントが街を襲う! という魔王様も真っ青な事も出来るよー。
平和なドラゴンで良かったね。
「かあちゃと崖の上でマンモス見てはしゃいでたら、なぜかオアシス出来てた。あそこで食べた謎の実は歯ごたえも味も最高だったなぁ」
「そこ行きましょう」
「涼玉の背中で品種改良すんの! 黄金の謎の実!」
「ギャギャギャー!」
『パパ、あっち!』
「こらシャムス、あまり暴れると落ちるぞ」
はしゃぐシャムスを腕に抱いた刀雲が慌てながら苦笑い、子犬シャムスだったらつるんと抜け出していたかもしれないなぁ。
ほのぼのしている間にもえっちゃんの闇で自動で運ばれていた僕、気付いたらオアシスの前に立っていました。
容赦ない。
オアシスはあの時のまま――ではなく、なんかリザードマンの集落が出来ていました。
そして僕の目の前には筋肉の塊のようなリザードマン、さすがにこれはリザママじゃない、うむ。
「神子が来たぞーーー!!」
「ぎにゃぁぁぁ!!」
すぅっと息を吸い、天に向かって吠えるのかと思ったら、突然そんな事を大声で叫ばれました。
神子の知名度がたかすぎ――。
「ちびぃぃぃぃぃ!!」
「ぴゃーーーー!!」
土埃をあげながらこちらへ走ってくるリザードマン、思わず逃げ出した僕は悪くない。
リザードンの寿命は分からないけれど、数百年経っているならもう寿命は尽きていると思って怖かった。
けどそれは杞憂だと、リザママと同じ時期に出会った転生スケルトンに諭され、別の意味で怖くなりました。
だって、僕、パンダに釣られてリザママを危険地帯に置き去りにしちゃったのよね。怒ってるよねー、怒られたくないなー、やだなー、怖いなー。
グダグダうじうじしていたら、我も我もと同行者が増え、家長である刀雲をはじめ、騎士様、ヘラ母さん、ここまではまぁ仕方ない、僕の保護者だからね。
どこまでも一緒に行こうぜ、シャムス、イネス、涼玉、アー君。
見知らぬ土地なら見知らぬ強い魔物がいるかもしれないとノリノリなレイアさん、新たな食材が見つかるかもしれないと追加でネヴォラと菜園ゴブリン。
僕の気分次第では周囲の魔物とバーベキューになるかもと、大量のお肉や野菜、重箱弁当を持って、ほぼ家族皆でピクニック気分です。
「でも僕、リザママのいる場所を知らないのは本当よ?」
「ママ、冷静に考えてくれ。いつでもどこでも我らがえっちゃんが一緒だっただろう?」
「あい」
「えっちゃんに連れて行ってもらえばいいんだよ」
その手があったかー、あえて無視していたけど、そうだよねー、すぐに思いつくよねー。
「そういう訳でえっちゃ先生、お願いします!」
「出発でーす!」
『見知らぬ土地へ、ごー!』
止める間もなく緑溢れる大地に転移しました。
イネスを肩に乗せた騎士様が、頼って欲しかったなぁ。という表情で僕らを見ている。
そうか、騎士様と二人で来ていれば権威で色々うやむやに……だめだ、騎士様は家族のお話になると結構ヘタレなのである。
ヘラ母さんに頭が上がらない時点で、リザママにも口答え出来ないね。
「懐かしいなぁ、少し景色は変わっているけどここは元砂漠で、俺が緑を増やしたんだぞ!」
『涼ちゃんさすがー!』
「それは、魔力が枯渇しますよ涼ちゃん」
「無茶すんのもほどほどにすんのよ」
「俺が思う以上に涼玉の能力が素晴らしいのだが?」
「パパ、何をいまさら言ってるんだ?」
涼玉がいれば森林が人間の街を破壊する事も可能です、恐怖、炎すら効かないトレントが街を襲う! という魔王様も真っ青な事も出来るよー。
平和なドラゴンで良かったね。
「かあちゃと崖の上でマンモス見てはしゃいでたら、なぜかオアシス出来てた。あそこで食べた謎の実は歯ごたえも味も最高だったなぁ」
「そこ行きましょう」
「涼玉の背中で品種改良すんの! 黄金の謎の実!」
「ギャギャギャー!」
『パパ、あっち!』
「こらシャムス、あまり暴れると落ちるぞ」
はしゃぐシャムスを腕に抱いた刀雲が慌てながら苦笑い、子犬シャムスだったらつるんと抜け出していたかもしれないなぁ。
ほのぼのしている間にもえっちゃんの闇で自動で運ばれていた僕、気付いたらオアシスの前に立っていました。
容赦ない。
オアシスはあの時のまま――ではなく、なんかリザードマンの集落が出来ていました。
そして僕の目の前には筋肉の塊のようなリザードマン、さすがにこれはリザママじゃない、うむ。
「神子が来たぞーーー!!」
「ぎにゃぁぁぁ!!」
すぅっと息を吸い、天に向かって吠えるのかと思ったら、突然そんな事を大声で叫ばれました。
神子の知名度がたかすぎ――。
「ちびぃぃぃぃぃ!!」
「ぴゃーーーー!!」
土埃をあげながらこちらへ走ってくるリザードマン、思わず逃げ出した僕は悪くない。
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