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第三章 世界に降りかかる受難

第806話

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 やぁやぁとりあえず居場所も生死も不明なリザママは置いといて、ルーちゃんに会いに来ました。
 少し後悔している。
 だってこんなにうちの子たちと気が合うとは思っていなかったんだ!

「遠からん者は音にも聞け、近くば寄って目にも見よ! 我こそはダンジョンの寵児ネヴォラなぁぁり!!」
「わぉぉぉーーーん!!」

 ルーちゃんとルーちゃんの家族とはすぐに再会出来た。
 だってアー君がギルド統括なんだもの、ダンジョンの情報は目の前にあったのです。

 調査に至ってないダンジョンでも、冒険者からの情報は手元にあるので、そこから情報を探すだけ。
 膨大な資料の中からえっちゃんが探してくれたのがこちら、魔王城の裏手である。
 そう、かつてリザママたちと宴会したり、スケルトン集団に農作業をさせたあの場所です。

 灯台下暗しって言うんだろうな、こういうの。

 晴れ渡った空の下、笑顔で農作業をするスケルトン集団。
 知らない冒険者が見たらパニックを起こしそうな光景を通り過ぎ、整備された森の中の道をしばし歩いて行くと洞窟の入り口が見えます。
 年中無休で常にスケルトン集団がいるからスタンピードが起きても心配ないと、調査が後回しにされているダンジョンがこちらです。

 入口で入場整理するリッチを知っている気がする。
 あとだらけるリッチにのしかかるそちらのワンコ、もしやっ!

「闇落ちゆーしゃ!」
「おぅ、懐かしい呼び方だな」
「過去の世界から現代に戻ってきた!」
「……」

 闇落ちリッチはしばし無言でワンコをもっふもっふした後、何かを指示してワンコをダンジョンに向かわせた。
 あのもふりの手つき、さては暇な時はいつももふっておるな。

 ワンコが戻って来た時、後ろには巨大魔物の鼻っ面があった。
 どうやら自分の体の大きさを忘れて出ようとして引っかかったようです、お馬鹿さん。

 皆で鼻を押し戻し、ダンジョン内にて無事にルーちゃんと再会。
 ルーちゃんの子供たちや孫も紹介され、再会を祝してダンジョン最下層のボスの間にてバーベキュー大会を開催しました。

 霧ちゃんとマールスがいるから準備も安心。
 大人がいるっていいよね。

 楽しくバーベキューを楽しみ、デザートに突入した所で冒険者が訪問。
 こんな穴場のような場所にも来るのね。

 ここで冒頭に戻るのである。

 ルーちゃんの孫と気が合ったネヴォラ飛び入りボスとして参戦したのです。
 イネスはとろけるチョコを前に参加しようか迷っている様子、あっ、チョコフォンデュを選んだ。

「ママ、チーズも追加していいか?」
「いーよ」

 冒険者のピンチに統括であるアー君はチーズを取り出し、チーズフォンデュの準備を始めた。

「統括助けてぇぇぇ!」
「無理、今忙しい」
「ちくしょう知ってた!」

 いそいそとバゲットをちぎるアー君、隣ではシャムスが目を輝かせている。
 シャムスの反対側に陣取った涼玉はアー君に向かって口を開いている。どちらもとても可愛い。

「おあー」
「リーーダーーー!!」

 ルーちゃんの孫にパンチを食らった冒険者が星になって飛んで行った。
 緊迫感のない悲鳴だったので死んではいないだろう、それより問題はチーズとチョコ、どちらを食べるかだ。
 うーん悩ましい。
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