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第三章 世界に降りかかる受難

第801話

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 過去から戻ってまいりました!
 よく分からないけどカイちゃんのご機嫌も取れて、ベッタベタに甘やかされるだけですんでラッキーである。

 子供たちともクッションコーナーでキャッキャしながら存分にじゃれあった。
 テンションが上がりきったイネスがペカペカと眩しかったけれど、今回ばかりは仕方がない。

「まったく、涼玉はさー、迎えに行ったのに一緒になって遊び倒してどうするんだよ」
「にいちゃすまんな! 緑が少なくて増やし甲斐があったからつい!」

 今でこそクッションコーナーで自由にさせてもらえているけれど、帰宅直後はポンチョを脱がされるや否やお風呂に放り込まれ、刀雲による強制全身丸洗いを強行されたなぁ。
 そのあとはスライムによるマッサージ、ヘラ母さんによる健康診断、シヴァさんによる精神状態チェック。
 心身ともに健康と判断されてようやく解放されました。しんどかった。

 僕がそんな目に合っていても涼玉は平常運転。
 マールスによって丁重に席へ運ばれ、魔力が込められたフルコースを食べて魔力を完全回復させていました。

 なお帰宅してから騎士様の姿は一度も見ていない。
 アー君から聞いた話によると、えっちゃんから僕が過去で行ってきた行動を聴取、それによってズレが生じてないか調査に奔走しているのだそうです。
 これはこの世界の持ち主としてのお仕事というより、運命を握っている神々のトップとしてのお仕事らしい。

 多分その辺は大丈夫だと思うんだよね、だって謎能力だし。
 でも調べるのもまた大人の仕事ということで、僕の生還を確かめたいけど、それより調査をしてこいとアー君たちに蹴りだされたとか何とか。
 トップなのに扱いが酷い。

「ママ、過去の魔王様に会ったんですか?」
「会ったよ、一番まともな大人だった!」

 道端で僕を拾ったのは僕には幸運だったけど、魔王様にとってはトラブルとの遭遇に近いよね。
 しかもそれが縁で森の中でスローライフから一転、一国一城の主になっちゃったんだもんなぁ。

「ご飯大丈夫でした?」
「あい、リザママが頑張ってくれました」
「飯、美味かったなぁ。そういやあの森に置いてきた形になったけど、あの後大丈夫だったかな?」
「パパの仕事、俺らも手伝うか?」
『ツアーするの』

 そういう訳で、明日から過去の欠片を探す小旅行に行くことが決定。
 朝食はお家で食べて、お昼はお弁当、夕方には帰宅して夕食もおうちで食べます。

「神薙様はリザママのその後、知ってるか?」
「そんなリザードマンがいたのを今思い出した」
『ミミックはー?』
「ミミックは……確か人化を覚えた後、商人になって旅に出たような?」
「長生きすると過去の記憶がふんわりする時もあるんだって魔王様が言ってました!」

 そのお弁当を作っているそばから神薙さんが食べて全然進まないでござる。

「でも、なんかそう言えば小さいのがうろちょろしていた時期があるような? あれ、イツキだったんだね」
「あい」
「そっか」
「覗き見た未来は叶ってます!」
「うん」

 家族がたくさんいる未来を知って楽しそうにしていた神薙さん、あの時の光景が現実になって喜んでくれているのは分かるけど、作ったサンドイッチを片っ端から食べないでほしいな。

「そうだ。ママ、魔王城に遊びに行ったんです?」
「魔王城ね、えっちゃんが作ったのよ、人間の砦パクーってして、一度飲み込んだ瓦礫で作り直したの」
『????』
「ママが過去に飛ばされなかったら魔王城が作られなかったかもしれない現象が起きてるっ!!」
「アー君はえっちゃんからお話聞いたんじゃなかったんですか?」
「涼玉が心配で途中で離席した」
「げへへ、もう俺元気!」

 食っちゃ寝を数日繰り返した涼玉は完全復活、お庭の聖なるさつま芋の木もさつま芋がたわわです。
 何か黄金のさつま芋見えるけど、そのうちイネスが食べると思う。
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