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第三章 世界に降りかかる受難

第792話

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 存分にもふもふハーレムを楽しんだ僕と涼玉。
 気付いたらお昼近くでした。

「腹減ったなぁ、でも帰るのはもったいないな!」
「あい」

 お腹を空かせたコヨーテの群れが現れた!
 でっかい、ちょうでっかい、超大型犬並みにでっかいコヨーテ!
 ロマン。異世界にはロマンがある!
 異世界なので当然魔物、でも大丈夫!!

「もふもふーーー!!」

 僕が抱き着けばその時から極上の毛皮に大変身。
 人間に見つかって狩られないか?
 謎能力の影響を受けたその瞬間から無敵なのでへーき。

 どうやら抱き着いたコヨーテはママさんだったようで、抱き着く僕を抱え込み、ポンチョを舐めて毛づくろいしてくれています。
 控えめに言って最高である。

「うーん、かあちゃが毛皮のとりこ。俺がなんとかすっかー」

 毛並みが美しく生まれ変わったコヨーテの若い子たちが数匹、聖なるオアシスから出て行ったけど多分あれはご飯を探しに行ったんだろう。
 大いに狩るがいい。
 今の君たちならマンモスも敵じゃないぜ!
 ……マンモスも謎能力の影響受けてたらごめん、他の獲物を探しておくれ。

 そんな風に僕がコヨーテとキャッキャしている間、涼玉は何をしていたかと言うと――

「ふぅいい踊りだった。みんなあんがとな!」
「ぴぃ!」
「きゅきゅ!」

 どうやら豊穣ダンスを小動物と踊っていたようだ。
 おのれっ、コヨーテに夢中で見逃してしまった!!
 絶対に可愛かっただろうなぁ。

 周囲に実る瑞々しい果実。
 たわわに実ったそれを木に登れる子が地面に落とし、下で待っていた子たちが一斉に群がる。

 水と食べ物が豊富な動物のための最強のオアシスの完成である。
 謎能力の領域だからね、ここには弱肉強食は存在しない!

「おわぁぁ! なんだここ! どこ? え?」

 ポイっと空間から投げ出されるように現れたのはリザママだった。
 おはようリザママ、二日酔いは大丈夫?

「ここね、さばくよ」
「オアシス作った!」
「……幻見てるのかなー?」

 僕の子守をしてだいぶ鍛えられたと思ったけど、まだまだ精神耐性は軟弱なのね。
 頑張れリザママ、現実逃避しても景色は変わらないのだ!

「すげぇ、砂漠の話は聞いたことあるけど、美味そうな果実だな」
「採って! 俺も食いたい!」
「あいよー」

 身長が高いリザママが近くの木に手を伸ばして僕と涼玉の分も採ってくれた。
 一口食べると口の中に広がる瑞々しさ、シャクッとした食感が美味しい! 甘さ控えめで食べやすいね。

「リザママ」
「おう、もっと食べるか?」
「んーん、コヨーテがね、お肉を持ってきたから捌いてあげて」
「……まさか、俺が呼ばれたのは調理要員!?」

 ガーーンと口を開けてショックを受けるリザママ。
 その間にも小動物が木の実を採れとねだったり、コヨーテが肉を捌けと頭突きを食らわせたりしている。
 さすがリザママ、大人気。
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