神様のポイント稼ぎに利用された3

ゆめ

文字の大きさ
上 下
778 / 923
第三章 世界に降りかかる受難

第765話

しおりを挟む
 鑑定を持っている人がいようと僕がやる事は変わりない。
 そう、怪しげなお店やさんである。

「お目が高いのである。そちらの腕輪は栗三昧の夕食のご褒美に貰った!」

 あの日のリザママが残した遺言は「もう栗なんて二度と見たくねぇ」でした!
 ここで褒美をリザママではなく僕に渡すのが神薙さんだよねー、リザママは魔王様に雇われた子守りなのでその辺の線引きが意外とシビア!

「宝の価値と入手経緯が釣り合わない」

 ガクブルしながらフードの人が何か言っている。
 いいのよ、これらはダンジョンで魔物の踊り食いをした時に手に入ったアイテムばかりだから、神薙さんにとってはゴミというかおまけというか、無価値なのには変わりない。
 将来はアー君を見習ってお城の宝物庫に詰め込み、重さで宝物庫が破壊される珍事が起きるけど、それまで延々とため込まれるんだろうなぁ。

 そんな扱いの物だから、僕がどう扱おうと神薙さんは何も言わないし怒らないのよ。
 基本的に子供に優しい邪神様なのです。

「うわぁ、これ、滅亡した王家の宝物庫の鍵だって」
「その城にはうちの陛下が普通に住んでるし、使ったら使ったで邪神様が来るやつ」
「この本はなんだろう」
「……古代語で書かれた魔術書」

 王家の王冠とか肖像画とかもあるけど、お手頃なのがこちら、魔よけになるか魔物寄せになるかは運次第、邪神様が酔っ払って魔力を込めた魔石です。

「もうちょっと冒険に役立ちそうなのない?」
「んー?」

 どれも価値が高すぎてとても手が出せないとクレームが付きました。
 お店屋さんごっこ難しい。

「食費はかかるけど頼れるわんこ」
「わふん?」

 呼んだ?とルーちゃんが影から三つの頭をぴょこりと出した。
 おやつでも食べていたのだろうか、口周りがちょっとテカテカしている。
 えっちゃん……ルーちゃんのこと甘やかしてる?

「ケルベロスじゃねぇか」
「でも一番手が届くような気がしないでもない」
「騙されちゃだめだよ、地獄の番犬だからね?」
「は、半日だけでも」

 どうやらローブの人はワンワン派らしい、触りたそうにソワソワしている。

「食っちゃ寝で運動してないの、お散歩してきなさい」
「きゅーん」

 もふもふは好きです。
 これでもかと甘やかすのがとても好きです。
 でもそれで健康を損ねるのは本意ではない、お散歩をさせるのも飼い主のお役目の一つなのよ。

「いや、半日で帰るの無理だから」
「俺らの目的地ダンジョンだからね?」
「地獄にご案内されちゃうよ」
「っく、犬の肉球!!」
「ルーちゃんの背中に乗ってびゅーーんっといってらっしゃい」

 僕の提案にフードの人が目を輝かせた。
 犬の背中に乗るのはロマンだよね、分かっているよ!

 その後、ルーちゃんのつぶらな瞳とフードの人の駄々こね、これ以上僕と関わって変なものを出されてはたまらないとパーティーメンバーの心が一つとなった結果、ルーちゃんの出張が決まりました。
 お散歩楽しんで来てねー。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

うるせぇ!僕はスライム牧場を作るんで邪魔すんな!!

かかし
BL
強い召喚士であることが求められる国、ディスコミニア。 その国のとある侯爵の次男として生まれたミルコは他に類を見ない優れた素質は持っていたものの、どうしようもない事情により落ちこぼれや恥だと思われる存在に。 両親や兄弟の愛情を三歳の頃に失い、やがて十歳になって三ヶ月経ったある日。 自分の誕生日はスルーして兄弟の誕生を幸せそうに祝う姿に、心の中にあった僅かな期待がぽっきりと折れてしまう。 自分の価値を再認識したミルコは、悲しい決意を胸に抱く。 相棒のスライムと共に、名も存在も家族も捨てて生きていこうと… のんびり新連載。 気まぐれ更新です。 BがLするまでかなり時間が掛かる予定ですので注意! 人外CPにはなりません ストックなくなるまでは07:10に公開 3/10 コピペミスで1話飛ばしていたことが判明しました!申し訳ございません!!

すずらん通り商店街の日常 〜悠介と柊一郎〜

ドラマチカ
BL
恋愛に疲れ果てた自称社畜でイケメンの犬飼柊一郎が、ある時ふと見つけた「すずらん通り商店街」の一角にある犬山古書店。そこに住む綺麗で賢い黒猫と、その家族である一見すると儚げ美形店主、犬山悠介。 恋に臆病な犬山悠介と、初めて恋をした犬飼柊一郎の物語。 ※猫と話せる店主等、特殊設定あり

転生したら魔王の息子だった。しかも出来損ないの方の…

月乃
BL
あぁ、やっとあの地獄から抜け出せた… 転生したと気づいてそう思った。 今世は周りの人も優しく友達もできた。 それもこれも弟があの日動いてくれたからだ。 前世と違ってとても優しく、俺のことを大切にしてくれる弟。 前世と違って…?いいや、前世はひとりぼっちだった。仲良くなれたと思ったらいつの間にかいなくなってしまった。俺に近づいたら消える、そんな噂がたって近づいてくる人は誰もいなかった。 しかも、両親は高校生の頃に亡くなっていた。 俺はこの幸せをなくならせたくない。 そう思っていた…

平民男子と騎士団長の行く末

きわ
BL
 平民のエリオットは貴族で騎士団長でもあるジェラルドと体だけの関係を持っていた。  ある日ジェラルドの見合い話を聞き、彼のためにも離れたほうがいいと決意する。  好きだという気持ちを隠したまま。  過去の出来事から貴族などの権力者が実は嫌いなエリオットと、エリオットのことが好きすぎて表からでは分からないように手を回す隠れ執着ジェラルドのお話です。  第十一回BL大賞参加作品です。

国を救った英雄と一つ屋根の下とか聞いてない!

古森きり
BL
第8回BL小説大賞、奨励賞ありがとうございます! 7/15よりレンタル切り替えとなります。 紙書籍版もよろしくお願いします! 妾の子であり、『Ω型』として生まれてきて風当たりが強く、居心地の悪い思いをして生きてきた第五王子のシオン。 成人年齢である十八歳の誕生日に王位継承権を破棄して、王都で念願の冒険者酒場宿を開店させた! これからはお城に呼び出されていびられる事もない、幸せな生活が待っている……はずだった。 「なんで国の英雄と一緒に酒場宿をやらなきゃいけないの!」 「それはもちろん『Ω型』のシオン様お一人で生活出来るはずもない、と国王陛下よりお世話を仰せつかったからです」 「んもおおおっ!」 どうなる、俺の一人暮らし! いや、従業員もいるから元々一人暮らしじゃないけど! ※読み直しナッシング書き溜め。 ※飛び飛びで書いてるから矛盾点とか出ても見逃して欲しい。  

兄たちが弟を可愛がりすぎです

クロユキ
BL
俺が風邪で寝ていた目が覚めたら異世界!? メイド、王子って、俺も王子!? おっと、俺の自己紹介忘れてた!俺の、名前は坂田春人高校二年、別世界にウィル王子の身体に入っていたんだ!兄王子に振り回されて、俺大丈夫か?! 涙脆く可愛い系に弱い春人の兄王子達に振り回され護衛騎士に迫って慌てていっもハラハラドキドキたまにはバカな事を言ったりとしている主人公春人の話を楽しんでくれたら嬉しいです。 1日の話しが長い物語です。 誤字脱字には気をつけてはいますが、余り気にしないよ~と言う方がいましたら嬉しいです。

市川先生の大人の補習授業

夢咲まゆ
BL
笹野夏樹は運動全般が大嫌い。ついでに、体育教師の市川慶喜のことも嫌いだった。 ある日、体育の成績がふるわないからと、市川に放課後の補習に出るよう言われてしまう。 「苦手なことから逃げるな」と挑発された夏樹は、嫌いな教師のマンツーマンレッスンを受ける羽目になるのだが……。 ◎美麗表紙イラスト:ずーちゃ(@zuchaBC) ※「*」がついている回は性描写が含まれております。

異世界転生してハーレム作れる能力を手に入れたのに男しかいない世界だった

藤いろ
BL
好きなキャラが男の娘でショック死した主人公。転生の時に貰った能力は皆が自分を愛し何でも言う事を喜んで聞く「ハーレム」。しかし転生した異世界は男しかいない世界だった。 毎週水曜に更新予定です。 宜しければご感想など頂けたら参考にも励みにもなりますのでよろしくお願いいたします。

処理中です...