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第三章 世界に降りかかる受難

第763話

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 配達を終えて戻ってきた所でちゃんと道案内をしてくれました。
 ただし慈善事業じゃないんだなぁこれが。

「金、持ってないの?」
「はい」
「金目の物も」
「はい、すみません」
「大人三人いて?」
「マジです」

 裏路地を脱出出来た所で大人三人が正座して、少年に説教されている図。
 大丈夫、刀国ではきっと珍しくない光景のはずです、その証拠に屋台のおばちゃんがこちらをチラッと見ても何も言わないし、通りがかった冒険者も苦笑いで立ち去って行くのがその証拠。
 下手な動きをしたら包丁飛んできそうな怖さはあるけど、逃げなきゃ平気よ。多分。

 僕は幼児だからね、お説教からは免除されてますよ。
 むしろ子供連れなのに無一文なのかとさらに塩対応になって三人涙目、知り合ったばかりだと反論する前に心が折れてますね。
 でもこの三人が僕の保護者だと思われるのはちょっと……リザママが名誉にかけて決闘を申し込みそうなので、そろそろ否定してあげよう。

「この人たち他人」
「そうなのか?」
「突然声かけられた」
「ちびちゃん、言い方!」

 情けない三人から一転、不審者&幼児誘拐疑惑の瞳を向けられ、否定する二人と涙目で僕に言い直しを懇願するリーダーっぽいの。
 刀国の子供って本当に強いなぁ。

「僕ね、神薙さんの所でいそーろー中よ」
「あー最近噂の暴走神子様!」
「……」

 何その変なあだ名。
 まるで僕がいつも暴走しているようじゃないか。

「じゃあこの三人は?」
「ただのおばか」
「ひどいっ!」

 でも無一文でも道を踏み外したりせず、幼児に真面目に道を聞くようなおばかなの。

「仕方ないなぁ、バイト先を紹介してやるよ」
「マジか」
「え、神?」
「天使かよ」

 三人が抱き合いながら喜んでいる。
 でも喜ぶのは早すぎると思うの、労働内容聞いてからの方がいいと思うよ?

 そして案内された場所はこちら!

「貴族の屋敷??」
「マジか」
「貴族のご子息様??」
「違うよ、ここって子供が多くて子守りを年中募集してるんだ」

 まさかの子守り斡旋だった。
 そしてまさかまさかの子だくさん公爵のご先祖。

 門番に呼ばれて出てきた家令さん、三人を見て一つ頷き、案内役の子にお小遣いを与えると三人を連れて行ってしまった。
 大丈夫? これ人身売買してない??

「じゃあ神子様は神社かな」
「あい!」

 本日の旅はこれでおしまいか、次はお小遣いもらって今度こそ屋台でご飯。と思ったけれど、直後に解決した。

「いい子」
「神薙様のお役に立てて光栄です!!」

 案内役の子の頭を撫でて褒める神薙さん、脇に抱えられて逃亡不可の僕。扱いの差よ。
 お昼の用意が出来たのでリザママにお願いされて僕を迎えに来たらしい、なお本日のお昼はカレー、揚げ物選び放題。
 リザママもとうとう神薙さんを気軽に使うようになったかー。
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