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第三章 世界に降りかかる受難
第762話
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ちょっとこの世界で大暴れしすぎてリザママの胃に穴が開きそうなので、今日は暴れても怒られない相手に遊んでもらいに来ました!
そう、冒険者!
人間だから運命に影響ないはずだし、きっと大丈夫。
でもその前に冒険者ギルドに辿り着かない、屋台の匂いにつられてあっちにフラフラ、こっちにフラフラしていたら完全に方向感覚が狂った。
元々道が分からないとかではない、ギルドがある方角は大体分かっている。
気付いたら裏路地だった。
さすが女神様が作った街並み、雰囲気がファンタジーゲームそのもの。
薄暗さがいい味出してるねー!
んむ?
刀国にしては何だか建物がボロいなぁ。
道も何だか傷んでいるし、過去の世界とは言え、雰囲気だけじゃなくもしかして本当に治安が悪かったりする?
そこに現れる明らかに人相の悪い三人組。
服装は破落戸そのものだし、何より目つきが悪いなぁ。と思っていたら、その内の一人がしゃがんで目線を合わせてくれた。
「なあ坊や、俺たちいま金に困っているんだけど助けてくれない?」
「むいちもん」
屋台の匂いにつられたけど、負けなかったのは単純にお金がなかったからである。
リザママにお小遣いを貰うの忘れました。
「マジか」
「坊ちゃんっぽいし、金は持ち歩かないんだろ」
「逆になんで一人で歩いているんだ?」
「まいご」
ちょうどいい、テンプレな悪人顔の三人にギルドまで案内させよう。
なんて思ったが世の中そう甘くはなかった。
「マジか」
「坊ちゃん、護衛とか、そういうのは?」
「俺らも迷子なんだ」
「ほあー」
こちらの三人、最近刀国に辿り着いたばかりだけど、その時点で手持ちのお金がほぼ底を付き、ギルドに行ってお金を稼ごうと思ったら場所が分からない。
服装が破落戸っぽいのは魔物に襲われてほぼ半裸だった所、さすがにお前らそれはないと門番の人たちが保管してあった古着をくれたからだそうです。
なお本来の持ち主は門番に斬りかかってきたので、叩きのめして全裸にした後まとめて縛って門の外に一晩放置したとか。部外者には分からないけど、それ普通に神薙さんに食べられているやつ。
「門番さんに風呂入れって言われなかった?」
「その金がねぇ」
「ギルドでクリーンかけてもらえる」
「マジか」
さっきからこの人「マジか」としか言ってないような。
「困った時の……」
「時の?」
「んー……あっ、いた。あの子に声かけて全身全霊で道案内お願いする」
そこに通りがかった配達中の健康そうな少年、ただし配達中なので足が速い。
「はやく、はやく!」
「お、おう」
「おうおう坊や!」
「あとで!!」
びゅーーんっと音を立てて少年が走り去る。
間抜けな三人組と僕の四人だけが狭い裏路地に残されたのだった。
そう、冒険者!
人間だから運命に影響ないはずだし、きっと大丈夫。
でもその前に冒険者ギルドに辿り着かない、屋台の匂いにつられてあっちにフラフラ、こっちにフラフラしていたら完全に方向感覚が狂った。
元々道が分からないとかではない、ギルドがある方角は大体分かっている。
気付いたら裏路地だった。
さすが女神様が作った街並み、雰囲気がファンタジーゲームそのもの。
薄暗さがいい味出してるねー!
んむ?
刀国にしては何だか建物がボロいなぁ。
道も何だか傷んでいるし、過去の世界とは言え、雰囲気だけじゃなくもしかして本当に治安が悪かったりする?
そこに現れる明らかに人相の悪い三人組。
服装は破落戸そのものだし、何より目つきが悪いなぁ。と思っていたら、その内の一人がしゃがんで目線を合わせてくれた。
「なあ坊や、俺たちいま金に困っているんだけど助けてくれない?」
「むいちもん」
屋台の匂いにつられたけど、負けなかったのは単純にお金がなかったからである。
リザママにお小遣いを貰うの忘れました。
「マジか」
「坊ちゃんっぽいし、金は持ち歩かないんだろ」
「逆になんで一人で歩いているんだ?」
「まいご」
ちょうどいい、テンプレな悪人顔の三人にギルドまで案内させよう。
なんて思ったが世の中そう甘くはなかった。
「マジか」
「坊ちゃん、護衛とか、そういうのは?」
「俺らも迷子なんだ」
「ほあー」
こちらの三人、最近刀国に辿り着いたばかりだけど、その時点で手持ちのお金がほぼ底を付き、ギルドに行ってお金を稼ごうと思ったら場所が分からない。
服装が破落戸っぽいのは魔物に襲われてほぼ半裸だった所、さすがにお前らそれはないと門番の人たちが保管してあった古着をくれたからだそうです。
なお本来の持ち主は門番に斬りかかってきたので、叩きのめして全裸にした後まとめて縛って門の外に一晩放置したとか。部外者には分からないけど、それ普通に神薙さんに食べられているやつ。
「門番さんに風呂入れって言われなかった?」
「その金がねぇ」
「ギルドでクリーンかけてもらえる」
「マジか」
さっきからこの人「マジか」としか言ってないような。
「困った時の……」
「時の?」
「んー……あっ、いた。あの子に声かけて全身全霊で道案内お願いする」
そこに通りがかった配達中の健康そうな少年、ただし配達中なので足が速い。
「はやく、はやく!」
「お、おう」
「おうおう坊や!」
「あとで!!」
びゅーーんっと音を立てて少年が走り去る。
間抜けな三人組と僕の四人だけが狭い裏路地に残されたのだった。
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