神様のポイント稼ぎに利用された３

第三章 世界に降りかかる受難

第759話

　女神様に神託通信をしたら肩書変更とか事象改変でどうにかする前提だった。
　でもその手は禁じられた僕ら、ピーンチ！！　である。

「前回は結婚式、本日はこの国の王太子が聖女を見つけたのでそれを正式に発表する場とのことです」
「すでに嫌なよかん」

　イネスがいたら聖女を前に別の子を気に入って聖女指名するやつ、今はいないので普通にテンプレ展開だろう。
　つまり偽物聖女を本物と宣言し、本物を追放しようとする。あるある。よくある。

「婚約者はー？」
「もちろんいますよ、聖女と呼ばれるキラッキラの美形が」

　どうやらこちらの国の聖女さん、女神様大好き美人系の青年らしい。
　もしかして聖女に指名したの女神様なんじゃ……それ、追放して大丈夫なやつ？
　時代が違ったら国ごとぺかぁっとか邪神様のご飯とかそういうレベルだよ？？

「もしかして一般市民？」
「そうですね、俗に言う平民です。ですが女神様のお気に入りで、もっと言えば枢機卿にするために育ててたら女神様に気に入られて取り上げられました」

　本当は呼び名は聖人でも良かったのだけど、そこはホラ、女神様が口出ししてこれだけ美人なら聖女でもいいだろ！　という感じのノリだったみたい。
　本当に迷惑な女神様ですね。

　簡単な説明を受けながら聖職者軍団とともに会場に到着、扉の両サイドには扉を守る衛兵さん、僕と目が合ったらウィンクをしてくれるお茶目な人と、石像のように動かない人がコンビで守っているようだ。
　教皇様と仲間の司祭たちが会場入りする直前、なんか、こう、すっごいキラキラした人が合流した。

　もともと無い語彙力が吹っ飛ぶぐらいの美人さんである。
　なんだろう、光ってる？
　騎士様で美しい人を見ても驚かなくなって久しい僕でもほわーってなる美人、えっ、聖女なの？　男？　本当に？？　そこらの女性より、下手すれば女神様より美人。

　金の刺繍が入った白地の衣装も、サラサラの金の髪を飾るシンプルな花飾りも、なぜか輝いて見える不思議。
　いや、物理的に光ってるね、僕に近付いて来たなーと思ったら光が淡い光からギラギラぐらいになった。

「めがみさま、まぶちい」

　清楚な格好をした美人にはぁはぁ興奮した結果だと想像はつく、だが眩しい。

（悪い悪い！）

　全く悪いとは思ってない口調で深呼吸している気配を感じた。
　もしや興奮しすぎて僕に憑依する寸前だった？
　困ったなぁ、アー君がいないから女神様を遮断出来ない苦悩。

　聖女さんの発光がある程度抑えされた所で聖職者たちが同時にでっかい溜息を吐いた。
　分かる。なんか疲れるよね。

「一応お聞きします、愚かな王子はどうしました？」
「……ご自分が見つけた聖女と入場するつもりのようです」

　ぴゃーー！！
　声まで綺麗ぃぃ！
　お耳が幸せぇぇ！

（なっ、そうだろ、そうだろぉぉぉ！！）

　脳内に響く女神様の雄叫びに心の中だけで強く頷く。
　この人は僕でも推す。

　ここで合流出来たのも女神様の采配だろう、自分の推しに恥をかかせる女神様ではない。
　光っている時点で羞恥プレイ？
　まぁ……でも、ほら、それだけ女神様の寵愛が深いってことで一つ。