767 / 843
第三章 世界に降りかかる受難
第754話
しおりを挟む
昨日は結婚式、今日は人間と悪魔のバトルの真っ只中。
こういった巻き込まれは良くあるので、問題はどちらに味方すべきかなんだよね。
「神子様! 悩まずともいいのですよ!!」
ポンチョがあるので攻撃を受けても問題ない、動かずにうーんと唸っていたらツッコミが入りました。
声を掛けてきたのは女神様も恐れる説教教皇だった。
「教皇様こんちゃ!」
てててーと駆け寄ったら勢いのまま抱き上げられた。
聖職者なのに腕力あるねー!
「どういう状況?」
「女神の神託で国王の座を追われた男が闇落ちして悪魔と融合しました」
「新しい展開」
そういったイベントは女神様というよりアー君が好きなんだけどなぁ、もしやあれかな、延々と説教を受けた女神様に八つ当たりされた?
そもそも説教の原因は女神様の神託で、人間に八つ当たりしたくなるほどストレスを掛けたのは教皇様、闇落ちの元凶はお二人なんじゃ?
「聖水も僅かしか効かず、祝詞も届かず、ギルドから派遣された冒険者が抑えてくれてはいますが、全く状況が動かずに困っていた所です」
「ありゃー」
未来からイネスを召喚出来ないものだろうか、一発だと思う。
「フハハハハハ! この国は儂のものだ!! とり、とりもど、して、この手にぃぃぃ!!」
「顔がガコガコ動いて気持ち悪い」
漫画で良くある追い詰められてさらに悪くて強いものを呼ぶパターン、だが召喚したものが悪かったとしか言いようがない、元王様は全ての選択を誤ったのである。
「あれは、地獄の番犬ケルベロス!!」
元国王の背後から空間を切り裂くように現れたのは、三つ首のワンコだった。
まるでドーベルマンとシェパードのミックスのようなカッコ良さである。
「全員後ろに下がりなさい!! 防御陣を――!」
「わんわん!!」
「きゅ~ん」
緊迫した空気もなんのその、両手を広げて呼んだら甘えた声を出して僕の前にコロンと体を投げ出し、へそ天で尻尾をブンブン振っています。きゃわわ。
その巨体で教会を破壊しそうな恐ろしいケルベロスも僕の手にかかればこの通り、ただの三つ首のきゃわわなわんちゃんなのである。
はぁはぁ、このお腹の毛皮がたまらん。
「きゅぅん、きゅーーん」
「ケルちゃんカッコイイね、イケメンワンコ!」
「きゃん!」
「……」
教皇様と司祭集団が呆然とこちらを見ているのが分かる。
あと闇落ち済みの元国王。
ワンワンタイムを思う存分楽しむためにも悪者は邪魔である。
手早く消す方法はないだろうか……あっ、そうだ!
「えっちゃん林檎残ってる?」
「キー」
えっちゃんがひょいとクリスタル林檎を取り出したその瞬間、くぐもった悲鳴とともに敵が消失した。
それりゃそうだ。としか言いようがない。
だってこの林檎、うちの子たちが面白半分で作った最強チートな聖属性林檎だもの。
こうして僕は悪魔を仲間にし損ねたのである。
元国王?
悪魔と一緒に消滅したよ。
じゃあ僕はこの辺で失礼します、このケルベロスは僕が責任をもって引き取り、元の世界に戻る時はリザママに託しますのでご心配なく。
さぁ帰ってもふるぞ!
こういった巻き込まれは良くあるので、問題はどちらに味方すべきかなんだよね。
「神子様! 悩まずともいいのですよ!!」
ポンチョがあるので攻撃を受けても問題ない、動かずにうーんと唸っていたらツッコミが入りました。
声を掛けてきたのは女神様も恐れる説教教皇だった。
「教皇様こんちゃ!」
てててーと駆け寄ったら勢いのまま抱き上げられた。
聖職者なのに腕力あるねー!
「どういう状況?」
「女神の神託で国王の座を追われた男が闇落ちして悪魔と融合しました」
「新しい展開」
そういったイベントは女神様というよりアー君が好きなんだけどなぁ、もしやあれかな、延々と説教を受けた女神様に八つ当たりされた?
そもそも説教の原因は女神様の神託で、人間に八つ当たりしたくなるほどストレスを掛けたのは教皇様、闇落ちの元凶はお二人なんじゃ?
「聖水も僅かしか効かず、祝詞も届かず、ギルドから派遣された冒険者が抑えてくれてはいますが、全く状況が動かずに困っていた所です」
「ありゃー」
未来からイネスを召喚出来ないものだろうか、一発だと思う。
「フハハハハハ! この国は儂のものだ!! とり、とりもど、して、この手にぃぃぃ!!」
「顔がガコガコ動いて気持ち悪い」
漫画で良くある追い詰められてさらに悪くて強いものを呼ぶパターン、だが召喚したものが悪かったとしか言いようがない、元王様は全ての選択を誤ったのである。
「あれは、地獄の番犬ケルベロス!!」
元国王の背後から空間を切り裂くように現れたのは、三つ首のワンコだった。
まるでドーベルマンとシェパードのミックスのようなカッコ良さである。
「全員後ろに下がりなさい!! 防御陣を――!」
「わんわん!!」
「きゅ~ん」
緊迫した空気もなんのその、両手を広げて呼んだら甘えた声を出して僕の前にコロンと体を投げ出し、へそ天で尻尾をブンブン振っています。きゃわわ。
その巨体で教会を破壊しそうな恐ろしいケルベロスも僕の手にかかればこの通り、ただの三つ首のきゃわわなわんちゃんなのである。
はぁはぁ、このお腹の毛皮がたまらん。
「きゅぅん、きゅーーん」
「ケルちゃんカッコイイね、イケメンワンコ!」
「きゃん!」
「……」
教皇様と司祭集団が呆然とこちらを見ているのが分かる。
あと闇落ち済みの元国王。
ワンワンタイムを思う存分楽しむためにも悪者は邪魔である。
手早く消す方法はないだろうか……あっ、そうだ!
「えっちゃん林檎残ってる?」
「キー」
えっちゃんがひょいとクリスタル林檎を取り出したその瞬間、くぐもった悲鳴とともに敵が消失した。
それりゃそうだ。としか言いようがない。
だってこの林檎、うちの子たちが面白半分で作った最強チートな聖属性林檎だもの。
こうして僕は悪魔を仲間にし損ねたのである。
元国王?
悪魔と一緒に消滅したよ。
じゃあ僕はこの辺で失礼します、このケルベロスは僕が責任をもって引き取り、元の世界に戻る時はリザママに託しますのでご心配なく。
さぁ帰ってもふるぞ!
20
お気に入りに追加
145
あなたにおすすめの小説
悪役令息に転生して絶望していたら王国至宝のエルフ様にヨシヨシしてもらえるので、頑張って生きたいと思います!
梻メギ
BL
「あ…もう、駄目だ」プツリと糸が切れるように限界を迎え死に至ったブラック企業に勤める主人公は、目覚めると悪役令息になっていた。どのルートを辿っても断罪確定な悪役令息に生まれ変わったことに絶望した主人公は、頑張る意欲そして生きる気力を失い床に伏してしまう。そんな、人生の何もかもに絶望した主人公の元へ王国お抱えのエルフ様がやってきて───!?
【王国至宝のエルフ様×元社畜のお疲れ悪役令息】
▼この作品と出会ってくださり、ありがとうございます!初投稿になります、どうか温かい目で見守っていただけますと幸いです。
▼こちらの作品はムーンライトノベルズ様にも投稿しております。
▼毎日18時投稿予定
平凡なSubの俺はスパダリDomに愛されて幸せです
おもち
BL
スパダリDom(いつもの)× 平凡Sub(いつもの)
BDSM要素はほぼ無し。
甘やかすのが好きなDomが好きなので、安定にイチャイチャ溺愛しています。
順次スケベパートも追加していきます
突然異世界転移させられたと思ったら騎士に拾われて執事にされて愛されています
ブラフ
BL
学校からの帰宅中、突然マンホールが光って知らない場所にいた神田伊織は森の中を彷徨っていた
魔獣に襲われ通りかかった騎士に助けてもらったところ、なぜだか騎士にいたく気に入られて屋敷に連れて帰られて執事となった。
そこまではよかったがなぜだか騎士に別の意味で気に入られていたのだった。
だがその騎士にも秘密があった―――。
その秘密を知り、伊織はどう決断していくのか。
異世界転生先でアホのふりしてたら執着された俺の話
深山恐竜
BL
俺はよくあるBL魔法学園ゲームの世界に異世界転生したらしい。よりにもよって、役どころは作中最悪の悪役令息だ。何重にも張られた没落エンドフラグをへし折る日々……なんてまっぴらごめんなので、前世のスキル(引きこもり)を最大限活用して平和を勝ち取る! ……はずだったのだが、どういうわけか俺の従者が「坊ちゃんの足すべすべ~」なんて言い出して!?
主人公のライバルポジにいるようなので、主人公のカッコ可愛さを特等席で愛でたいと思います。
小鷹けい
BL
以前、なろうサイトさまに途中まであげて、結局書きかけのまま放置していたものになります(アカウントごと削除済み)タイトルさえもうろ覚え。
そのうち続きを書くぞ、の意気込みついでに数話分投稿させていただきます。
先輩×後輩
攻略キャラ×当て馬キャラ
総受けではありません。
嫌われ→からの溺愛。こちらも面倒くさい拗らせ攻めです。
ある日、目が覚めたら大好きだったBLゲームの当て馬キャラになっていた。死んだ覚えはないが、そのキャラクターとして生きてきた期間の記憶もある。
だけど、ここでひとつ問題が……。『おれ』の推し、『僕』が今まで嫌がらせし続けてきた、このゲームの主人公キャラなんだよね……。
え、イジめなきゃダメなの??死ぬほど嫌なんだけど。絶対嫌でしょ……。
でも、主人公が攻略キャラとBLしてるところはなんとしても見たい!!ひっそりと。なんなら近くで見たい!!
……って、なったライバルポジとして生きることになった『おれ(僕)』が、主人公と仲良くしつつ、攻略キャラを巻き込んでひっそり推し活する……みたいな話です。
本来なら当て馬キャラとして冷たくあしらわれ、手酷くフラれるはずの『ハルカ先輩』から、バグなのかなんなのか徐々に距離を詰めてこられて戸惑いまくる当て馬の話。
こちらは、ゆるゆる不定期更新になります。
異世界転移で、俺と僕とのほっこり溺愛スローライフ~間に挟まる・もふもふ神の言うこと聞いて珍道中~
戸森鈴子 tomori rinco
BL
主人公のアユムは料理や家事が好きな、地味な平凡男子だ。
そんな彼が突然、半年前に異世界に転移した。
そこで出逢った美青年エイシオに助けられ、同居生活をしている。
あまりにモテすぎ、トラブルばかりで、人間不信になっていたエイシオ。
自分に自信が全く無くて、自己肯定感の低いアユム。
エイシオは優しいアユムの料理や家事に癒やされ、アユムもエイシオの包容力で癒やされる。
お互いがかけがえのない存在になっていくが……ある日、エイシオが怪我をして!?
無自覚両片思いのほっこりBL。
前半~当て馬女の出現
後半~もふもふ神を連れたおもしろ珍道中とエイシオの実家話
予想できないクスッと笑える、ほっこりBLです。
サンドイッチ、じゃがいも、トマト、コーヒーなんでもでてきますので許せる方のみお読みください。
アユム視点、エイシオ視点と、交互に視点が変わります。
完結保証!
このお話は、小説家になろう様、エブリスタ様でも掲載中です。
※表紙絵はミドリ/緑虫様(@cklEIJx82utuuqd)からのいただきものです。
総長の彼氏が俺にだけ優しい
桜子あんこ
BL
ビビりな俺が付き合っている彼氏は、
関東で最強の暴走族の総長。
みんなからは恐れられ冷酷で悪魔と噂されるそんな俺の彼氏は何故か俺にだけ甘々で優しい。
そんな日常を描いた話である。
俺の義兄弟が凄いんだが
kogyoku
BL
母親の再婚で俺に兄弟ができたんだがそれがどいつもこいつもハイスペックで、その上転校することになって俺の平凡な日常はいったいどこへ・・・
初投稿です。感想などお待ちしています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる