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第三章 世界に降りかかる受難

第752話

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 祭壇の上に立ってはいけませんよ。と優しく叱られて下におろされました。
 あの場所が一番目立つと思ったからつい、涼玉の気分を味わえてちょっと楽しかった。

 僕を叱ったのはほんわか笑顔の美青年、この若さで教皇様ですって。
 脳内で延々とプロフィールを女神様が語っているけど、早口すぎて半分も聞き取れない。

「女神様はなんと?」
「こいつ今はこんな優し気だけど、ベッドの上では猛獣なんだぜ! そこがいいんだけどな! って言ってます」
「後で説教しておきますね、幼子に何という言葉を……!!」

 女神様、教皇様がめっちゃ怒ってますよ。
 そこであることに気付いた教皇様がふと顔を上げた。

「お待ちください、その言い方、もしや女神様と今も直接お話しているのですか?」
「あい」

 会話というか主に妄想垂れ流し?
 今は「ちょっ、それを本人に言うなよ! そいつの説教長いんだから!!」と叫んでいます。
 そりゃぁこんな事ばかりしていたら、教会のお偉いさんでなくても説教したくなる。
 むしろ騎士様が女神様に甘い分、皆さんが厳しくてちょうどいいんじゃない?

「女神様にお聞きしてもらいたい、この二人の結婚を反対する理由を。ただ反対するだけでは通用しないのが人の世の理だと何度もお伝えしているはずなのですが」
「聞いちゃいないです」

 愛のない結婚反対、私が認めないんだから他で式を挙げても無駄無駄無駄ぁ、こいつは絶対初夜の場面で「お前を愛することはない」とか言うタイプ! むしろお前が愛されると思うな小童! と凄いマシンガントークの真っ最中です。
 これは神託というより個人への口撃。

 悪口が長いので通訳よろしく教皇様に内容を告げたら額に青筋が、こわわ。
 顔のいい人が怒ると怖いってのはカイちゃんで身に染みてます。これで懲りないのは女神様ぐらいじゃない?

「要約すると個人的にどうしても気に入らない。という所でしょうか」
「あい」

 女神様のお気に入りをないがしろにしている以外、特に悪い事はしていないけれど、その行為が地雷というか。
 ドアマット系や不憫系の物語も読むけど、必ずハッピーエンドにならなければ許さないとか熱く語ってたし。

 そう言えば婚姻を女神に拒絶されたのに新郎が静かだなぁーって思ったら、ちょっと離れた所でぐーすか寝ていました。
 他にも倒れて眠る人多数、式を見守っていた司祭軍団のスリープが大活躍していました。

 一方、新婦サイドはというと、新婦の両親っぽい人が取っ組み合いの大ゲンカ。
 僕とほぼ同時にそれに女神様もそれに気付いたのだろう、脳内に響くゲラゲラという笑い声。カオスである。

(今のうちに新婦を運命の相手とくっつけちまおうぜ!)

 このカオスな中、なんか言い出した。
 しかも気分がのってきたのか、僕に語っているうちにテンションが上がりすぎて気付いてないのか、僕の体に意識が移ってほぼ神降しの状態になりつつあります。

「シリルの運命の相手は王弟! こいつ以外との婚姻は絶対認めない!」
「女神様ぁぁぁ!!」

 ビシィと名指しした相手は新婦を泣き止ませようと慰めていたようで、突然の指名に固まっていました。
 そして響く教皇様の怒鳴り声、説教数時間コースじゃない?
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