神様のポイント稼ぎに利用された3

ゆめ

文字の大きさ
上 下
759 / 923
第三章 世界に降りかかる受難

第746話

しおりを挟む
 僕とリザママの本日の予定。
 孤児院の子供たちと森にお出かけして栗拾い。

 これは孤児院が毎年やっている行事の一つなんだとか、孤児院でも当然食べるけれど、発端は神薙さんからの依頼。
 栗を大量に食べたい。その一言で始まった栗拾いイベント。

 冒険者が参加してもいいけれど、戦える彼らは森の奥へと入ってもっと質の良いものを奉納しろと言われるとか何とか。
 奉納品に注文を付ける神様、さすが邪神様である。

「栗って焼いて食べると確かに美味いけどさぁ、焼くと破裂して襲ってくるのがなぁ」
「栗ご飯」
「ん? ちびは調理法知ってんのか?」
「栗の甘煮、栗きんとん、大学栗、栗あん、栗まんじゅう、モンブラン……」
「待て待て待て、家に帰ったらえっちゃんにレシピ聞いて作ってやるから」

 他にも栗のおはぎとか栗のパイとか色々あるよ。
 神薙さんは全部好きだと思う。

 こんな時、涼玉がいたら調理された状態で実るのになー。

 桜通りを抜けて門をくぐって城門の外へ。
 ふわーっと景色が広がって、どこまでも続きそうな草原では男同士のカップルがあちこちでピクニックデートしていました。
 胸毛が濃い人から野性味のあるショタ、下を向いてボソボソ喋る男の口にパンを突っ込むのは恋人まで、なんだここ草原じゃなくてカオス?
 女神様の趣味がカオスなせいでカップリングが十人十色。

 子供たちもリザママもカップルを気にする事なく通り過ぎ、混乱しているのは僕だけでした。
 ま、まぁね、彼らにとっては日常風景だろうからね!
 女神様の所業を気にしてたら刀国の国民やってられないよね!

 ここ、将来は麦な羊の牧場みたいになるし、何なら出刃亀トレントとか発生する。
 初級ダンジョンやそれに便乗した屋台も出て賑やかになるんだよ、ずっとずっと未来の話だけど。

 暫く歩いて森の入り口に到着。
 案内看板に座るベンチ、整えられた砂利道。
 草刈り鎌を片手に巡回するゴブリン、おにぎりを食べるゴブリン、旗を振ってこちらに手を振るゴブリン、ラノベで良いイメージがないゴブリンが普通に景色の中にいます。

「リザママ、あの子たちは?」
「森の入り口付近を整備しているゴブリンの一族だな、子供が森に入る時に手が空いていると案内してくれる」

 腐った女神様が管理する世界の中に見つけた優しい世界。
 なお使用料とか管理料は金銭でも物々交換でも良いらしい、誰だ優しい世界って言ったの、ただの商売だったでござるー。

「……待ってリザママ、ちょっと前この辺に来た時、草原なかった」
「あぁちびの話を聞いて神薙が作ったんだよ、麦が採取できる羊見たいって言って」

 草原が出来た原因が僕だった。
 これはえっちゃんに口止めしないといけないかもしれない、とりあえずアー君やカイちゃんには黙っててほしいかなー?

「俺らを案内してくれてるゴブリンも神薙が雇った」
「ほわー」
「いきなり人間に優しくなったから理由聞いたんだわ」
「あい」
「そしたらさ、人間の生活が豊かになれば自然と奉納品の質も上がるって気付いた。って返された」

 今までは生きるも死ぬも自由にすればいい。そんなスタンスだった神薙さんだけど、ほんの少し手を貸して、長生きさせれば感謝して、もっと美味しい物を奉納してくれるに違いないって気付いたとか何とか。
 まぁその通りだけどね、何も間違ってない。

 今は季節の特別な行事として栗を奉納されているけれど、将来はもっと気軽に、美味しい栗が手に入ったから神薙様どーぞ、って感じで一度だけでなく何度も奉納されるよ。
 気持ちも畏怖から敬愛へ、邪神様から神薙様に変わってとても愛される神様になります。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

うるせぇ!僕はスライム牧場を作るんで邪魔すんな!!

かかし
BL
強い召喚士であることが求められる国、ディスコミニア。 その国のとある侯爵の次男として生まれたミルコは他に類を見ない優れた素質は持っていたものの、どうしようもない事情により落ちこぼれや恥だと思われる存在に。 両親や兄弟の愛情を三歳の頃に失い、やがて十歳になって三ヶ月経ったある日。 自分の誕生日はスルーして兄弟の誕生を幸せそうに祝う姿に、心の中にあった僅かな期待がぽっきりと折れてしまう。 自分の価値を再認識したミルコは、悲しい決意を胸に抱く。 相棒のスライムと共に、名も存在も家族も捨てて生きていこうと… のんびり新連載。 気まぐれ更新です。 BがLするまでかなり時間が掛かる予定ですので注意! 人外CPにはなりません ストックなくなるまでは07:10に公開 3/10 コピペミスで1話飛ばしていたことが判明しました!申し訳ございません!!

転生したら魔王の息子だった。しかも出来損ないの方の…

月乃
BL
あぁ、やっとあの地獄から抜け出せた… 転生したと気づいてそう思った。 今世は周りの人も優しく友達もできた。 それもこれも弟があの日動いてくれたからだ。 前世と違ってとても優しく、俺のことを大切にしてくれる弟。 前世と違って…?いいや、前世はひとりぼっちだった。仲良くなれたと思ったらいつの間にかいなくなってしまった。俺に近づいたら消える、そんな噂がたって近づいてくる人は誰もいなかった。 しかも、両親は高校生の頃に亡くなっていた。 俺はこの幸せをなくならせたくない。 そう思っていた…

国を救った英雄と一つ屋根の下とか聞いてない!

古森きり
BL
第8回BL小説大賞、奨励賞ありがとうございます! 7/15よりレンタル切り替えとなります。 紙書籍版もよろしくお願いします! 妾の子であり、『Ω型』として生まれてきて風当たりが強く、居心地の悪い思いをして生きてきた第五王子のシオン。 成人年齢である十八歳の誕生日に王位継承権を破棄して、王都で念願の冒険者酒場宿を開店させた! これからはお城に呼び出されていびられる事もない、幸せな生活が待っている……はずだった。 「なんで国の英雄と一緒に酒場宿をやらなきゃいけないの!」 「それはもちろん『Ω型』のシオン様お一人で生活出来るはずもない、と国王陛下よりお世話を仰せつかったからです」 「んもおおおっ!」 どうなる、俺の一人暮らし! いや、従業員もいるから元々一人暮らしじゃないけど! ※読み直しナッシング書き溜め。 ※飛び飛びで書いてるから矛盾点とか出ても見逃して欲しい。  

兄たちが弟を可愛がりすぎです

クロユキ
BL
俺が風邪で寝ていた目が覚めたら異世界!? メイド、王子って、俺も王子!? おっと、俺の自己紹介忘れてた!俺の、名前は坂田春人高校二年、別世界にウィル王子の身体に入っていたんだ!兄王子に振り回されて、俺大丈夫か?! 涙脆く可愛い系に弱い春人の兄王子達に振り回され護衛騎士に迫って慌てていっもハラハラドキドキたまにはバカな事を言ったりとしている主人公春人の話を楽しんでくれたら嬉しいです。 1日の話しが長い物語です。 誤字脱字には気をつけてはいますが、余り気にしないよ~と言う方がいましたら嬉しいです。

市川先生の大人の補習授業

夢咲まゆ
BL
笹野夏樹は運動全般が大嫌い。ついでに、体育教師の市川慶喜のことも嫌いだった。 ある日、体育の成績がふるわないからと、市川に放課後の補習に出るよう言われてしまう。 「苦手なことから逃げるな」と挑発された夏樹は、嫌いな教師のマンツーマンレッスンを受ける羽目になるのだが……。 ◎美麗表紙イラスト:ずーちゃ(@zuchaBC) ※「*」がついている回は性描写が含まれております。

異世界転生してハーレム作れる能力を手に入れたのに男しかいない世界だった

藤いろ
BL
好きなキャラが男の娘でショック死した主人公。転生の時に貰った能力は皆が自分を愛し何でも言う事を喜んで聞く「ハーレム」。しかし転生した異世界は男しかいない世界だった。 毎週水曜に更新予定です。 宜しければご感想など頂けたら参考にも励みにもなりますのでよろしくお願いいたします。

囚われた元王は逃げ出せない

スノウ
BL
異世界からひょっこり召喚されてまさか国王!?でも人柄が良く周りに助けられながら10年もの間、国王に準じていた そうあの日までは 忠誠を誓ったはずの仲間に王位を剥奪され次々と手篭めに なんで俺にこんな事を 「国王でないならもう俺のものだ」 「僕をあなたの側にずっといさせて」 「君のいない人生は生きられない」 「私の国の王妃にならないか」 いやいや、みんな何いってんの?

せっかく美少年に転生したのに女神の祝福がおかしい

拓海のり
BL
前世の記憶を取り戻した途端、海に放り込まれたレニー。【腐女神の祝福】は気になるけれど、裕福な商人の三男に転生したので、まったり気ままに異世界の醍醐味を満喫したいです。神様は出て来ません。ご都合主義、ゆるふわ設定。 途中までしか書いていないので、一話のみ三万字位の短編になります。 他サイトにも投稿しています。

処理中です...