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第三章 世界に降りかかる受難

第743話

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 冒険者ギルドに遊びに行った翌日。
 本日の予定は森に入って牛さんを見つけて牛乳をもらうことである。

「ミノタウロス?」
「おう、あいつらの乳は濃厚で美味いからな、集落に直接行って交渉する」

 その前にギルドに寄って、納品クエストがあったらついでに受注しようということで、今日もやって参りました冒険者ギルド。
 扉をばーんと開いたりはせず、普通に入ってそのまま掲示板前に。

「リザママは登録してる?」
「おう、ちょいちょい依頼受けてるからな、もうじきBランクだ」

 Bランクって強いのかな?
 自分の周囲が無双系ばかりだから強さの標準が分からない。

「採取系って魔物に有利なんだよなぁ」
「ほほー」

 採取の際に気を付けなきゃいけないのが魔物の襲撃、でもリザママも魔物だからだいたいの魔物は余計な争いを避けてくれるらしいです。

「ふふん、伊達に魔王様に仕えてないからね」

 リザママが発する強者の気配。とかではなく、魔王様の御威光だった。
 虎の威を借りるリザードマンである。

「なにより今ならちびがいる。出会う魔物全部は片っ端から舎弟にしてやるぜ」
「リザママ悪い顔」

 魔王様だけでなく僕まで利用する気満々である。
 何というずる賢さ、こうやって今まで生き残り、魔王様に認められるまでになったんだろうなぁ。

「いいかちび」
「あい」
「まず俺が食べたいのは牛丼だ」

 牛乳は?

「次に肉じゃが、カルビ、近くに竹林があるから牛肉とたけのこの炒め物もいいな、牛肉と白菜を重ねて鍋にするのも美味そうだし、あーすき焼きもいいなぁ」

 リザママ、リザママ、牛乳は??

「このレシピ、早く試してみたいぜ」

 そう力むリザママの手には「初心者でも簡単! 牛肉料理」と日本語で書かれた本が。

「あ、これ? えっちゃんに貰った。文字は分からない言語だったから、教わりながら作ったら大体覚えた」

 それは文字を? 料理を??
 どちらにしろリザママが意外と賢い件。

「ちびはこれ好きそうだよな」
「とんかつ!」

 その後、無事にミノタウロスが群れで平和に暮らす村に到着、牛乳と大量の牛肉を物々交換でゲットしました。
 牛肉はミノタウロスの肉ではなく、ミノタウロスが飼育する牛の肉だった。
 二足歩行の牛が育てた牛の肉、ここは異世界だし、過去の世界だから難しいことを考えることは放棄します。

 牛乳は牛さんの牛乳とミノタウロスの牛乳、両方購入してました。
 使用方法が違うらしいよ。

「何とこーかんしたの?」
「えっちゃんから教わった牛乳を使ったレシピを、ミノタウロスでも分かるように編集したレシピ本」

 劣化防止の魔法もかけてあるので、大事に保管すれば千年先まで伝えられる可能性があるそうです。
 元の世界に戻ったらミノタウロスの集落探してみようかな、神薙さんに襲われて全滅してなければ残っている可能性がある。
 そう思ったけど、微妙かもしれない、悪事を働いてなくても、小腹空いている時に通りがかったらミノタウロスはいいおやつだよね。
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