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第三章 世界に降りかかる受難
第741話
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女神様元凶、涼玉が大好きなラノベによくある展開。
「お前をパーティーから追放する!」
「邪魔だったんだよねぇ、最初からぁ」
「そうそう、ただの荷物持ちがあれこれ口出しすぎなの」
「黙って雑用だけしてれば良かったのよあんたは」
若き頃のラセンをもう一回見ようとギルドに遊びに来たらこの通り、テンプレ追放劇が開催されてました。
追放されているのは荷物持ちという名のサポーター、追放している側はハーレム気取りの若者と取り巻き、あるあるよくある。王道だね。
「リザママ!」
「ああはいはい、ちょっと君、このちび預かってて」
「あ、はい」
近くで見ようと誘おうとしたらひょいと抱っこされ、掲示板前にいた冒険者に預けられました。
知らない人に着いて行ってはいけないのは常識、でも知らない人に預けるのも同じぐらい駄目じゃない?
そして突然僕を預けられた人も驚きつつお尻をしっかりホールド、抱っこに不安定さがないとても良い抱っこの仕方である。
さすが冒険者、抱っこが力強くて僕は満足です。
ゴキンゴキンと首を鳴らしながらリザママが追放ごっこを演じるパーティーに近付いて行く、えっと、こういった場合、暴力で治めるのはありなのかなしなのか、どっちだろう。
アー君が統括になる以前の体制ってやっぱり無法地帯なんだろうか?
「あっ、ゴブリン」
「ああこれな、森の入り口付近に暮らすゴブリンの村に交渉に行って、物々交換をしてくるっていう依頼だよ」
掲示板に貼られている紙に描かれているゴブリンの絵と、その下に書かれている依頼内容。
どうやらテンプレのゴブリン退治ではなく、ゴブリンしか扱ってない物を別の物と交換してくるという地味だけど難易度がそこそこ高そうな依頼だった。
どこにツッコミを入れていいか分からない。
「これお兄さん受ける?」
「俺は交渉苦手だからなぁ、口が上手くても言語が違うだろ、ジェスチャーが下手だと交渉決裂するんだ」
こういった依頼は孤児院出身の人物が得意だとまで説明された。
刀国の孤児院はこんな昔から他国と違って教養が高かったみたいです、国王様の威光凄いなぁ。
いや、ジェスチャーに教養は関係ないか、生きる逞しさ??
「こっちはー?」
「ああドラゴンの巣に配達する定期依頼だよ、山を登るし、野宿生活が続くからベテランしか受けられないんだ」
ドラゴンの絵があるから今度こそ討伐かと思いきや、レベルの高い配達依頼だった。
僕が箱庭世界に来るずっと昔から刀国は魔物と共存してたんだね、ほわー。
「お馬さん使う?」
「あいつらなぁ、途中までなら付き合ってくれるけど、魔物が出ると俺らを囮に逃げる場合もあるから博打なんだよ」
「……」
どうやら馬さんたちの気質も全く変わらないようだ。
人間と馬の間に絆って生まれないの??
それとも人間なんて顎で使ってなんぼよ、と神馬がそそのかしたりしているんだろうか。
「ちびーいい子にしてたかー?」
「リザママおかえり、いい子してた」
頬にモザイクがかかってますよ、ちょっぴり返り血が付いてるのかな。
解説冒険者からリザママの腕の中に戻ると、リザママが解説のお礼なのか酒代を渡していた。
「魔物とーばつないない」
「まぁ城壁近辺は比較的平和だからなぁ」
「そうなの?」
「神薙のお膝元で暴れる魔物はいないって、その性質を利用してこのゴブリンみたいに城壁近くに暮らす魔物は少なくないぞ、対価は人間じゃ手に入れられない物の提供とかそういう感じだ」
「ほわー」
どうやら魔物が魔王様の瘴気で進化するように、この周辺の魔物は神薙さんの瘴気で知能指数が上がっているっぽい。
出会う魔物全てお友達みたいなものだから気付かなかった!
「そういった神薙に保護を求めてきた魔物を襲うと神薙の餌になるから注意だ」
「あい」
なるほど、対価もなしに魔物を保護するなんて神薙さんにもいい所があるなぁと思ったら大間違い、彼らは囮みたいなもので、真の狙いはルールを知らずに魔物を襲う他国から来た冒険者か。
「魔物ごときが人間に逆らってるんじゃねぇぇぇぇ!!」
邪神様に守られた国は物騒だなぁと思っていたら、朝からギルド内で追放劇場を繰り広げ、リザママにボコボコにされたはずのモザイクがこちらに向かってきた。
逆上である。
でも場所が、国が悪かった。
あと僕は一応神薙さんに保護されている立場なので、剣を向けるということは近所のゴブリンを襲うと同義なのです。
「ぎゃー!」
剣を振り上げてこちらに向かって来ようとしたリーダーっぽい個体が消えました。
ギルドに広がる「あーあ」という空気、そう、神薙さんが来たのである。
全身血まみれでモザイク処理されているので顔は分からないけど、多分あれが神薙さんだと思う。
「お前をパーティーから追放する!」
「邪魔だったんだよねぇ、最初からぁ」
「そうそう、ただの荷物持ちがあれこれ口出しすぎなの」
「黙って雑用だけしてれば良かったのよあんたは」
若き頃のラセンをもう一回見ようとギルドに遊びに来たらこの通り、テンプレ追放劇が開催されてました。
追放されているのは荷物持ちという名のサポーター、追放している側はハーレム気取りの若者と取り巻き、あるあるよくある。王道だね。
「リザママ!」
「ああはいはい、ちょっと君、このちび預かってて」
「あ、はい」
近くで見ようと誘おうとしたらひょいと抱っこされ、掲示板前にいた冒険者に預けられました。
知らない人に着いて行ってはいけないのは常識、でも知らない人に預けるのも同じぐらい駄目じゃない?
そして突然僕を預けられた人も驚きつつお尻をしっかりホールド、抱っこに不安定さがないとても良い抱っこの仕方である。
さすが冒険者、抱っこが力強くて僕は満足です。
ゴキンゴキンと首を鳴らしながらリザママが追放ごっこを演じるパーティーに近付いて行く、えっと、こういった場合、暴力で治めるのはありなのかなしなのか、どっちだろう。
アー君が統括になる以前の体制ってやっぱり無法地帯なんだろうか?
「あっ、ゴブリン」
「ああこれな、森の入り口付近に暮らすゴブリンの村に交渉に行って、物々交換をしてくるっていう依頼だよ」
掲示板に貼られている紙に描かれているゴブリンの絵と、その下に書かれている依頼内容。
どうやらテンプレのゴブリン退治ではなく、ゴブリンしか扱ってない物を別の物と交換してくるという地味だけど難易度がそこそこ高そうな依頼だった。
どこにツッコミを入れていいか分からない。
「これお兄さん受ける?」
「俺は交渉苦手だからなぁ、口が上手くても言語が違うだろ、ジェスチャーが下手だと交渉決裂するんだ」
こういった依頼は孤児院出身の人物が得意だとまで説明された。
刀国の孤児院はこんな昔から他国と違って教養が高かったみたいです、国王様の威光凄いなぁ。
いや、ジェスチャーに教養は関係ないか、生きる逞しさ??
「こっちはー?」
「ああドラゴンの巣に配達する定期依頼だよ、山を登るし、野宿生活が続くからベテランしか受けられないんだ」
ドラゴンの絵があるから今度こそ討伐かと思いきや、レベルの高い配達依頼だった。
僕が箱庭世界に来るずっと昔から刀国は魔物と共存してたんだね、ほわー。
「お馬さん使う?」
「あいつらなぁ、途中までなら付き合ってくれるけど、魔物が出ると俺らを囮に逃げる場合もあるから博打なんだよ」
「……」
どうやら馬さんたちの気質も全く変わらないようだ。
人間と馬の間に絆って生まれないの??
それとも人間なんて顎で使ってなんぼよ、と神馬がそそのかしたりしているんだろうか。
「ちびーいい子にしてたかー?」
「リザママおかえり、いい子してた」
頬にモザイクがかかってますよ、ちょっぴり返り血が付いてるのかな。
解説冒険者からリザママの腕の中に戻ると、リザママが解説のお礼なのか酒代を渡していた。
「魔物とーばつないない」
「まぁ城壁近辺は比較的平和だからなぁ」
「そうなの?」
「神薙のお膝元で暴れる魔物はいないって、その性質を利用してこのゴブリンみたいに城壁近くに暮らす魔物は少なくないぞ、対価は人間じゃ手に入れられない物の提供とかそういう感じだ」
「ほわー」
どうやら魔物が魔王様の瘴気で進化するように、この周辺の魔物は神薙さんの瘴気で知能指数が上がっているっぽい。
出会う魔物全てお友達みたいなものだから気付かなかった!
「そういった神薙に保護を求めてきた魔物を襲うと神薙の餌になるから注意だ」
「あい」
なるほど、対価もなしに魔物を保護するなんて神薙さんにもいい所があるなぁと思ったら大間違い、彼らは囮みたいなもので、真の狙いはルールを知らずに魔物を襲う他国から来た冒険者か。
「魔物ごときが人間に逆らってるんじゃねぇぇぇぇ!!」
邪神様に守られた国は物騒だなぁと思っていたら、朝からギルド内で追放劇場を繰り広げ、リザママにボコボコにされたはずのモザイクがこちらに向かってきた。
逆上である。
でも場所が、国が悪かった。
あと僕は一応神薙さんに保護されている立場なので、剣を向けるということは近所のゴブリンを襲うと同義なのです。
「ぎゃー!」
剣を振り上げてこちらに向かって来ようとしたリーダーっぽい個体が消えました。
ギルドに広がる「あーあ」という空気、そう、神薙さんが来たのである。
全身血まみれでモザイク処理されているので顔は分からないけど、多分あれが神薙さんだと思う。
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