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第三章 世界に降りかかる受難
第738話
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ボルゾイ。
ボルゾイ??
そう呟きながらギレンは帰っていった。
めでたしめでたし。
「ボルゾイってなんだ?」
「ワンちゃんの種類」
柴犬の愛嬌のある顔も良かったけど、ボルゾイの優雅な歩き方も好きだったなぁ。
どこかにワンコに変えても怒られないもふもふはいないものだろうか……。
そこまで考えて、たくさんの獣人さんを大型犬に変えてネリちゃんに怒られたことを思い出した。
ここでやらかしたら後が怖い、止めておこう。
お話しながらリザママが慣れた手付きでマグロを捌いている。
出す相手は神薙さんなので本来捨てる部分も捨てずに使います。
丸ごとでも喜んでくれるだろうと僕が言ったので、じゃあ活け造りにするかとその場で決定、お庭に生えていた瘴気をたっぷり含んだ薬草、竹、ニンジンや大根の千切りを添えて派手に盛り付けてみました。
宴会料理かな?
「飲み物は何がいいかな?」
「にほんしゅ」
「えっちゃん何とかならんか?」
「キー」
そっと差し出されたのは紫の瓶に入った日本酒だった。
えっちゃん曰く、春日さんが旅行のお土産にえっちゃんにくれた希少日本酒、神薙さんのご機嫌取りたい時に使うといいよって言われたのだとか。
瓶に入っている繊細な模様は鹿児島県指定の伝統的工芸品「島津薩摩切子」というらしい、和を探して旅をした時に出会ったそうです。
元日本人の僕より日本に詳しいですね春日さん。
ありがとう、使わせていただきます。
「うわぁ、これが異世界の技術か、酒が入った瓶がすでに芸術の域」
「空瓶いる?」
「貰っておこうかなぁ」
うわぁ、うわぁと目を輝かせながらリザママが瓶を眺めている。
もしやリザママは綺麗なものが好き?
黄金林檎とかクリスタル林檎もあるよ?
僕の面倒を見てくれているお礼にあげようか?
あっ、魔物だから吹っ飛んじゃう?
危ないから止めておこう。
「あぁいかん、いかん、夕食の用意を完了しなきゃなー」
「もっとごうかに」
「そうだな、豪華なものがこの二つだけじゃ寂しいな、全体的に派手にしよう」
テンションが上がったリザママ、ノリノリである。
なるべく白くて綺麗なお皿を探し出し、その上に薄切りにしたサーモンを並べたり、茶碗に酢飯を盛り、上に細かく刻んだキュウリや刺身を散らしてみたり、残っていた野菜をてんぷらにしてみたり。
なかなか豪華なメニューになったと思う。
ここに茶碗蒸しがあったら完璧なんだけどなー、あいにくそんな時間はない、日が傾いたので時間切れである。
「神薙しゃーん、ご飯ですよー」
「分かった!!」
「っぴゃ!」
呼んだら空から神薙さんが落ちてきた。
えっ、どこから?
えっちゃんから飛び出るならまだ分かるけど、空? え? 飛んできた??
ボルゾイ??
そう呟きながらギレンは帰っていった。
めでたしめでたし。
「ボルゾイってなんだ?」
「ワンちゃんの種類」
柴犬の愛嬌のある顔も良かったけど、ボルゾイの優雅な歩き方も好きだったなぁ。
どこかにワンコに変えても怒られないもふもふはいないものだろうか……。
そこまで考えて、たくさんの獣人さんを大型犬に変えてネリちゃんに怒られたことを思い出した。
ここでやらかしたら後が怖い、止めておこう。
お話しながらリザママが慣れた手付きでマグロを捌いている。
出す相手は神薙さんなので本来捨てる部分も捨てずに使います。
丸ごとでも喜んでくれるだろうと僕が言ったので、じゃあ活け造りにするかとその場で決定、お庭に生えていた瘴気をたっぷり含んだ薬草、竹、ニンジンや大根の千切りを添えて派手に盛り付けてみました。
宴会料理かな?
「飲み物は何がいいかな?」
「にほんしゅ」
「えっちゃん何とかならんか?」
「キー」
そっと差し出されたのは紫の瓶に入った日本酒だった。
えっちゃん曰く、春日さんが旅行のお土産にえっちゃんにくれた希少日本酒、神薙さんのご機嫌取りたい時に使うといいよって言われたのだとか。
瓶に入っている繊細な模様は鹿児島県指定の伝統的工芸品「島津薩摩切子」というらしい、和を探して旅をした時に出会ったそうです。
元日本人の僕より日本に詳しいですね春日さん。
ありがとう、使わせていただきます。
「うわぁ、これが異世界の技術か、酒が入った瓶がすでに芸術の域」
「空瓶いる?」
「貰っておこうかなぁ」
うわぁ、うわぁと目を輝かせながらリザママが瓶を眺めている。
もしやリザママは綺麗なものが好き?
黄金林檎とかクリスタル林檎もあるよ?
僕の面倒を見てくれているお礼にあげようか?
あっ、魔物だから吹っ飛んじゃう?
危ないから止めておこう。
「あぁいかん、いかん、夕食の用意を完了しなきゃなー」
「もっとごうかに」
「そうだな、豪華なものがこの二つだけじゃ寂しいな、全体的に派手にしよう」
テンションが上がったリザママ、ノリノリである。
なるべく白くて綺麗なお皿を探し出し、その上に薄切りにしたサーモンを並べたり、茶碗に酢飯を盛り、上に細かく刻んだキュウリや刺身を散らしてみたり、残っていた野菜をてんぷらにしてみたり。
なかなか豪華なメニューになったと思う。
ここに茶碗蒸しがあったら完璧なんだけどなー、あいにくそんな時間はない、日が傾いたので時間切れである。
「神薙しゃーん、ご飯ですよー」
「分かった!!」
「っぴゃ!」
呼んだら空から神薙さんが落ちてきた。
えっ、どこから?
えっちゃんから飛び出るならまだ分かるけど、空? え? 飛んできた??
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