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第三章 世界に降りかかる受難
第731話
しおりを挟む神薙さんに続き、女神様がお昼を食べに来るようになりました。
リザママ大変。
「朝から食料調達……しんどいなぁ、お休みほしいなぁ」
主婦共通の嘆きを呟くリザママの背中に哀愁が漂っております。
お休みするなら一日ぐらい静かにしているけど、リザママ曰く、僕の静かは静かじゃない、とのこと。
実際に人間の国が一つ滅びて、魔王城が建った事実があるので強く反論できぬ。
「ちび」
「あい」
「遊び、行こうか」
「あーい!」
留守ならお昼を作らなくて済むだろう発想、嫌いじゃない。
女神様は放っておけばいいし、神薙さんは近所のダンジョンに行けばいいからね。
それにしても周防さん帰宅しないなぁ、まぁ身体能力が高く、人間離れした強さは持っていても生身の人間らしいから、移動に時間が掛かるのは仕方ないかぁ。
帰宅する頃には神薙さんの舌が肥えていそうで困っちゃうね。
「周防さん人外?」
「あ? ああ神薙様の番か、よく知らないけど、邪悪な方法で寿命延ばしているとか、邪神様のご加護で寿命延ばしているとか、諸説あるなぁ」
どう転んでも寿命を延ばす方法が邪悪な件。
番が邪神様だからその辺はまぁ仕方ないのかな?
「まぁ俺ら魔物が魔王様の魔素で進化したと似たような現象だろうな」
「ふーん」
刀国ってそもそも人間の寿命が気軽に延びるからなぁ、代表が国王様。
元村長、騎士様に国王職を押し付けられて数百年、千年経っても国王様です。
王太子を選ぶどころか、指名しようとするだけで皆逃げていく運命なのである。
僕が双子を生むまで頑張ってほしい。
「どこいくの?」
「だらーっとしたい」
「温泉施設?」
「あぁえっちゃんが影絵で教えてくれたあれかぁ、いいなぁ、行きたいなぁ、上げ膳据え膳、最高」
僕の着替えとリザママの着替えを鞄に詰めながらリザママがうっとりとしている。
なお、宿泊する訳でもないのに旅行鞄を用意しているのはあれです、気分だけでも旅行を味わいたいのと、運が良ければお泊りしたいから。
「でもなぁちび、あんな理想的なホテルなんて存在しない、文明が遅れてるんだよ、人間なんて藁のベッドで寝るのが普通だからな」
どうやらこの世界の市民生活にはいまだベッドが存在しないようだ、そうなの!?
「高級ホテルのふかふかベッドで眠り、美味いものを食べる。それがしたければ……刀国以外じゃ無理かな」
「ギレン脅す?」
「それが一番早い気がしてきた」
ぶっちゃけた話、ギレンがホテルを紹介してくれなかった場合、ギレンのお家に泊まればいいよね!
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