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第三章 世界に降りかかる受難
第719話
しおりを挟むえっちゃん無双がひと段落し、魔物をもふもふしてほのぼの回だと思った?
ぶっぶー、なのである。
僕は引き続きゴリラもどきさんの腕の中にいるけれど、現状は悪化しております。
あのね……神薙さんが来ちゃったの。
誰だ下手に人間と関わって歴史がどうのって言ったのは。
ん、でも正史だとここは魔王様のお城が建っているはずの場所、そこに魔王城ではなく人間の砦があった時点で何かが起きて、あれこれあった後に魔王城が建ったってこと?
つまり、原因はなんであれ、あの砦は消える運命だった。という事にして、神薙さんが大はしゃぎ、救援に来たらしき軍隊に突撃して踊り食いしてます。
こうやって刀国周辺の国は消えていったのね。
『イエティ、何か食べるものない?』
『ないなら狩りにいかないか? 猪食おう』
『悪いなゴブリン、腰が抜けたまま戻らないんだ』
『分かる。あの闇怖いよな』
『人間の備蓄残ってないか見てくるか』
『大将、あの闇がうごめいている所に行くって正気ですか?』
えっちゃんと神薙さんが大暴れしている現在、僕の周りの魔物は出番がなくて手持ち無沙汰のようです。
ゴリラさんは癒しが欲しいらしくてずっと僕をもふってます、このポンチョ手触りいいもんね。
いつもとは逆で僕がもふもふされてるけど、これが結構気持ち良いので眠くなってきました。
『いや、でも、何か食いたいだろ?』
『そうですけど……』
『わざわざ危険な所に行かないで、森で木の実でももいだほうが早い気が』
何やらオーガ軍団がゴアゴアと話し合いをしている。
神薙さんに助太刀するかどうかの話し合いだろうか? そんな訳ないかー。
「キ!」
『大将、大将、闇が何か置いてった』
『箱だな、人間が物を運ぶのに使ってるやつ』
『開けてもよいですか?』
『オーガは堅苦しい、俺らが開ける』
えっちゃんが闇からポンと出して置いていった木箱を前にオーガたちが話し合い、何ていうかもしかしてオーガたちって真面目?
一番体格が良いオーガの指示に従っている風だし、軍隊、なんだろうか。
木箱を前に話し合うオーガの横をゴブリンがすり抜け、力任せに木箱の蓋を破壊しています。
真面目な風紀委員とやんちゃな不良の図。なんてね!
『干し肉入ってた』
『こっち酒』
『品質悪いぞ、魔王様が振舞ってくれる酒の方がずっと美味そう』
『こっちはポーション、これも品質低いぞ、待遇悪かったんだな、あの人間たち』
『どれ……これは、酷い。魔王様が配布しているポーションと比べたらただの水だ』
オーガとゴブリンが木箱を漁って品評会をしている。
その向こう側では人間の踊り食い真っ最中、また人間が空に飛ばされたと思ったら大蛇に丸のみされました。
神薙さんにしては時間が掛かっているから体調悪いのかなって思ったけど、あれは違う、時間を掛けることで恐怖を与えて遊んでいるんだ。
そう言えば出会った当初の神薙さんって邪神様らしく残酷だったもんなー。
あっ、尻尾で持ち上げた馬車をひっくり返して落ちてきた人間食べてる。器用。
そして最後は馬ごと馬車をごっくん。邪神様の食べ方がちょう豪快。
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