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第三章 世界に降りかかる受難
第718話
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無限チーズ炙り地獄を体験したリザママが死んでいる。
ピクリとも動かない、まるで屍のようだ。
ずーっと前、果物を凍らせてアイスにして食べる事に神薙さんがはまった時、アー君も同じように屍になっていた事を思い出します。
ゆっくり休んでくだされ、なーむー。
「今日はママお休み」
「ぉぅ」
火を延々と吹いた事による極度の疲労と、邪神様の機嫌を損ねないように気を張っていた精神的疲労によりリザママダウン中です。
邪神様の敷地内でこっそり美味しいものを味見なんてするからこうなる。
うんしょうんしょと毛布を引きずり、茶の間のど真ん中で大の字になって倒れているリザママにかけて一安心。
こうなった元凶の神薙さんはチーズをたっぷり楽しんだので、今頃はご機嫌でお昼寝中かな。
僕が暇ね。
昨日えっちゃんにあまり人と関わるべきじゃないと諭されたばかりですが、関わる相手が人じゃなきゃいいんじゃないかと思いつきました。
そう、野生の魔物さんなら問題ない!
リザママが再び眠ったのを確認、こっそりお家から外に出ます。
そして転移!
「ここどこだろ?」
リザママがダウンしているのでお昼は魔王城の食堂で食べようかなって思い付き、潜入しようと転移したらそこには魔王様のお城はなく、魔物の侵入を防ぐための壁がどどーんと立ちはだかってます。
えっちゃんに確認したら座標はあってるとのこと、つまり魔王城は最初からあそこにあった訳ではなく、歴史の中でお引越ししたって事かな?
え、困る。
お昼どうしよう。
ここでさらに事件発生。
城壁の上で警備していた兵士さんが僕を見て何やら叫び、弓や魔法で攻撃してきました。
ちょっと、ムササビポンチョ着ているとは言え、僕は無害な幼児ですよ!
あくまで僕が無害なだけで、えっちゃんは違うんです、止めて、止めて、攻撃しないで。
歴史がどうの言ってたえっちゃんが積極的に歴史変えちゃう。
お家に帰ってリザママに今日あった事を話してから自覚したのだけど、遠目に見ると僕は種族不明の魔物にしか見えないそうです。
その謎の魔物に弓も魔法も効かなければそりゃぁパニック起こすだろうよって、呆れながらリザママに言われました。
でもこの時の僕はそんな自覚はなく、えっちゃんは知っていても僕に攻撃した。ただその事実だけがあれば人間を滅ぼす理由になっちゃう過激派。
ストッパーが不在の現在、僕が気紛れにお散歩に出掛けたばかりに顔も事情も知らない人間がまさに今滅びへと向かっております。
なんかごめんね?
えっちゃんの大暴れに周囲にいたらしい魔物が集まり、今は僕の隣や背後に陣取ってぽっかーんと滅びゆく人間を眺めています。
魔物の侵入を防ぐための城壁はえっちゃんの最初の一撃で崩壊、んー、崩壊というより消失?
闇が右から左にぶわーっと移動して壁がなくなっちゃったの、あれには僕もびっくり。
最初に僕を攻撃した兵士さん、逃げ足が速かったらしくって今もえっちゃんに追われてます。
下手に砦の中に逃げたものだから、えっちゃんが追いかけて被害甚大。
森の中には魔物がいるからね、そっちしかなかったのは分かるけど確実に被害が広がってますよー。いやむしろ被害を拡大させるためにわざと逃がしたとかある?
多分堅牢なんだろう砦が下からじわじわと消える光景はなかなかシュール、異世界ものでも滅多に見掛けない光景だと思うの。
まるであれです、ほら、あの、だるま落とし。あれに似てる。
「砦が下からもぐもぐされてる」
「うきー……」
「ごぁー」
「ぎゃぎゃ」
ゴリラより二回り以上大きなお猿さんがくれた柿を皆で食べながら安全圏で見学してます、このゴリラもどきさんのお膝の安定感半端ない。とても良い、最高である。
追加の柿を持ってきてくれた日本猿っぽい子も、異変を察知して偵察に来たゴブリンも、砦を攻めに来たっぽいオーガ軍団も、皆してえっちゃんを刺激しないように息を潜めているのがちょっと面白い。
あっ、誰か砦の窓から落ちてそのまま闇に消えちゃった。
ピクリとも動かない、まるで屍のようだ。
ずーっと前、果物を凍らせてアイスにして食べる事に神薙さんがはまった時、アー君も同じように屍になっていた事を思い出します。
ゆっくり休んでくだされ、なーむー。
「今日はママお休み」
「ぉぅ」
火を延々と吹いた事による極度の疲労と、邪神様の機嫌を損ねないように気を張っていた精神的疲労によりリザママダウン中です。
邪神様の敷地内でこっそり美味しいものを味見なんてするからこうなる。
うんしょうんしょと毛布を引きずり、茶の間のど真ん中で大の字になって倒れているリザママにかけて一安心。
こうなった元凶の神薙さんはチーズをたっぷり楽しんだので、今頃はご機嫌でお昼寝中かな。
僕が暇ね。
昨日えっちゃんにあまり人と関わるべきじゃないと諭されたばかりですが、関わる相手が人じゃなきゃいいんじゃないかと思いつきました。
そう、野生の魔物さんなら問題ない!
リザママが再び眠ったのを確認、こっそりお家から外に出ます。
そして転移!
「ここどこだろ?」
リザママがダウンしているのでお昼は魔王城の食堂で食べようかなって思い付き、潜入しようと転移したらそこには魔王様のお城はなく、魔物の侵入を防ぐための壁がどどーんと立ちはだかってます。
えっちゃんに確認したら座標はあってるとのこと、つまり魔王城は最初からあそこにあった訳ではなく、歴史の中でお引越ししたって事かな?
え、困る。
お昼どうしよう。
ここでさらに事件発生。
城壁の上で警備していた兵士さんが僕を見て何やら叫び、弓や魔法で攻撃してきました。
ちょっと、ムササビポンチョ着ているとは言え、僕は無害な幼児ですよ!
あくまで僕が無害なだけで、えっちゃんは違うんです、止めて、止めて、攻撃しないで。
歴史がどうの言ってたえっちゃんが積極的に歴史変えちゃう。
お家に帰ってリザママに今日あった事を話してから自覚したのだけど、遠目に見ると僕は種族不明の魔物にしか見えないそうです。
その謎の魔物に弓も魔法も効かなければそりゃぁパニック起こすだろうよって、呆れながらリザママに言われました。
でもこの時の僕はそんな自覚はなく、えっちゃんは知っていても僕に攻撃した。ただその事実だけがあれば人間を滅ぼす理由になっちゃう過激派。
ストッパーが不在の現在、僕が気紛れにお散歩に出掛けたばかりに顔も事情も知らない人間がまさに今滅びへと向かっております。
なんかごめんね?
えっちゃんの大暴れに周囲にいたらしい魔物が集まり、今は僕の隣や背後に陣取ってぽっかーんと滅びゆく人間を眺めています。
魔物の侵入を防ぐための城壁はえっちゃんの最初の一撃で崩壊、んー、崩壊というより消失?
闇が右から左にぶわーっと移動して壁がなくなっちゃったの、あれには僕もびっくり。
最初に僕を攻撃した兵士さん、逃げ足が速かったらしくって今もえっちゃんに追われてます。
下手に砦の中に逃げたものだから、えっちゃんが追いかけて被害甚大。
森の中には魔物がいるからね、そっちしかなかったのは分かるけど確実に被害が広がってますよー。いやむしろ被害を拡大させるためにわざと逃がしたとかある?
多分堅牢なんだろう砦が下からじわじわと消える光景はなかなかシュール、異世界ものでも滅多に見掛けない光景だと思うの。
まるであれです、ほら、あの、だるま落とし。あれに似てる。
「砦が下からもぐもぐされてる」
「うきー……」
「ごぁー」
「ぎゃぎゃ」
ゴリラより二回り以上大きなお猿さんがくれた柿を皆で食べながら安全圏で見学してます、このゴリラもどきさんのお膝の安定感半端ない。とても良い、最高である。
追加の柿を持ってきてくれた日本猿っぽい子も、異変を察知して偵察に来たゴブリンも、砦を攻めに来たっぽいオーガ軍団も、皆してえっちゃんを刺激しないように息を潜めているのがちょっと面白い。
あっ、誰か砦の窓から落ちてそのまま闇に消えちゃった。
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