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第三章 世界に降りかかる受難

第712話

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 海鮮丼を食べた後は海の家で小舟と釣りセットを借り、海釣りに挑戦してみることになりました。
 海の家の経営者はギレンだったので、えっちゃんが交渉して少しお安くしてもらいました。
 出発の際に「帰って来なくてもいいぞ」と言われた気がするので、元の時間に戻ったらアカーシャにチクろうと思います。

 小舟なので本来はあれ、何ていうんだっけ、あれ、あの、船を漕ぐときに使うあの棒。
 あれを使って浅瀬よりちょっとだけ深いぐらいの所に移動するはずが、リザママが尻尾をぎゅーーんって回転させて沖合っていうのかな、そのぐらい岸から離れた所まで来ました。

「釣り出来る?」
「どうかなー? 海釣りは初なんだよ」

 いつもは川で釣ったり、飛び込んでつかみ取りしているんだって。
 なるほど、海で飛び込むのは止めてね、海の真っ只中、小舟の上で一人は怖いから。

 そんな僕の不安なんて何のその、リザママ、尻尾で器用に魚を獲ってます。
 釣竿の存在意義はどこにあるんだろうか。

「あー、これいいなぁ、えっちゃんだっけ、どれだけ大物獲っても片付けてくれるから遠慮せずにすむわー」

 言いながら釣竿を海に突っ込み、持ち上げたと思ったら竿の先に鮭っぽいお魚が突き刺さっていた。
 ママ、釣竿の使い方が間違ってます、一度ゴブリンに説教された方がいいと思う。
 あと壊したらギレンが煩そう、弁償とか言って倍額請求されそうです。

 その時、海面がばっしゃぁってなってリザママより大きな魚が飛び掛かってきた。
 まるでB級映画のサメのような動きだった。

 そう言えば僕のポンチョは防御力カンストしているけど、丸呑みされた場合は防御力とか関係ないよね、判定どうなるんだろう?
 胃で消化されずに生還するとか??

「キィッ!」

 アホな事を考えていたら頭上から魚が消えました。

「えっちゃん流石だなぁ、今のやつは消化しないでくれよ、港で売ればそこそこ良い値段になるからさ」
「キ」

 そんな感じで小舟での釣りを二時間ほど楽しみ、無事に生還しました。
 船から降りて気付いたんだけど、僕全然釣りしてないね!
 リザママとえっちゃんの釣り?を見学するだけのお時間でした。怖かった。

「ちっ、生きて帰ったか」
「海のギルド長がしていい発言じゃないなー」

 わはははと笑いながらリザママが小舟と釣竿を返却、ギレンとはその場でバイバイしました。
 ギレンの性格は今も昔も捻くれているなぁ。

「あ、レモン」
「あれなー、たまに入ってくるぞ」
「将来、箱単位で入ってくるよ」
「そりゃまぁ消費に困りそうな話だなぁ」

 うむ、本当に消費に頭を悩ませた。終わった頃にまた送ってくるから最近は無限ループ入って、最終的に刀雲に持たせて騎士団の食堂に押し付けてた。
 元の世界に帰ったらリザママか子孫に差し入れします、箱で。
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