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第三章 世界に降りかかる受難
第704話
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僕は学習した。
例え毒だろうが毒でなかろうが、お腹が空いている時に不味いものを食べると倒れる。
「うーんつらい」
「大丈夫か?」
「美味しいものをたべたい」
「意外と元気そうだね」
心配してくれる魔王様に希望を伝えたら神薙さんが呆れたようにため息を付いた。
魔王様がくれたパンは硬く、神薙さんが分けてくれたスープで柔らかくして食べようとしたらスープが不味くて耐えられなかった。
僕は悪くないと思う。
ついでに言えばスープは邪神様専用、特殊な毒でした。
良く生き残れたなぁ僕、毒が効かなくて良かった。
「うえじにしちゃう」
毒でもいいから食べるべきか……いや、でも、味の問題で呑み込めないし、やっぱりなしで。
うーむ、この世界が何なのかを考えたいけれど、空腹で脳が動かないでござる。
異世界のお約束、硬いパンはスープに浸して食べる。それですら僕にはハードルが高い。これは困った。
「対価をくれたら私の魔力を分けてあげる」
「つづき見たいのね」
そうだよね、神薙さんは愉快なこと大好きだものね。
周防さんのその後とか、見たいよねー。
涎ベトベトは嫌なのでお断りしたら、背後から抱っこされて頭をガブガブされています。
ポンチョのおかげで痛みもダメージもないけれど、何ていうか犬が齧る骨、あれになった気分。
魔王様助けて。
食べれるものを探しに出てくれる優しさは嬉しいけれど、それより神薙さんを止めてほしかったような。
「がふっ」
人の頭を齧りながら笑わないでほしい、頭がとてもこそばゆい。
「ふ、ふふ、私に家族が出来るの?」
「たくさん」
そりゃもう、騎士様が涙目になって食糧事情を真剣に考えるぐらいポコポコと。
最初は大変だったけど、最近は夢の世界に勝手に卵を産み落としてますよ。子供から孫まで夢の世界で元気に好き勝手に暮らしてます。
「本当に?」
「あい」
「私一人でさえ、こんな厳重に封印されているのに、本当に?」
「神薙さんはもっと強くなります、ダンジョンの入口に陣取ってスタンピードを防いでいたこともあります」
まぁご飯に間に合わないとイラっとした事で瘴気が溢れ、その場所は死地になっちゃったけどね。
吸血鬼が砦を作って再利用しているので特に問題はないのである。
「僕も家族も神薙さんが大好き」
「そうなの?」
「お口の中でもぐもぐされるあれ、僕のこどもたちは一度はたいけんしてます」
バレずに盗み食いを達成できた子は今の所一人もいないそうです。
僕も無理だった。えっちゃんの力を借りても無理だった。
「盗み食い、とてもむずかちぃ」
「私の食事を盗もうとする方が間違ってるね」
邪神様きびちー。
「とても楽しそうな未来、そうか、お前、未来から来たのか」
「そうなの?」
「お前がここに来た時にまとっていた魔力と、今見た光景、海から出てきた気色悪い魔物がまとっていた魔力、秋の味覚が溢れたダンジョンの奥で遭遇した魔力、全て同一のもの」
海から出てきた気色悪い魔物と言えば一つだけ、うちの子にトラウマを刻んだペンギン事件かな。
秋の味覚と言えばもふもふの上で寝て、それをレイアさんに見つかって怒られた事があるような、ないような。
過去の記憶を見るだけで魔力の質を見抜くとか、うちの邪神様は僕が思っているよりずっとずっと凄かった。
例え毒だろうが毒でなかろうが、お腹が空いている時に不味いものを食べると倒れる。
「うーんつらい」
「大丈夫か?」
「美味しいものをたべたい」
「意外と元気そうだね」
心配してくれる魔王様に希望を伝えたら神薙さんが呆れたようにため息を付いた。
魔王様がくれたパンは硬く、神薙さんが分けてくれたスープで柔らかくして食べようとしたらスープが不味くて耐えられなかった。
僕は悪くないと思う。
ついでに言えばスープは邪神様専用、特殊な毒でした。
良く生き残れたなぁ僕、毒が効かなくて良かった。
「うえじにしちゃう」
毒でもいいから食べるべきか……いや、でも、味の問題で呑み込めないし、やっぱりなしで。
うーむ、この世界が何なのかを考えたいけれど、空腹で脳が動かないでござる。
異世界のお約束、硬いパンはスープに浸して食べる。それですら僕にはハードルが高い。これは困った。
「対価をくれたら私の魔力を分けてあげる」
「つづき見たいのね」
そうだよね、神薙さんは愉快なこと大好きだものね。
周防さんのその後とか、見たいよねー。
涎ベトベトは嫌なのでお断りしたら、背後から抱っこされて頭をガブガブされています。
ポンチョのおかげで痛みもダメージもないけれど、何ていうか犬が齧る骨、あれになった気分。
魔王様助けて。
食べれるものを探しに出てくれる優しさは嬉しいけれど、それより神薙さんを止めてほしかったような。
「がふっ」
人の頭を齧りながら笑わないでほしい、頭がとてもこそばゆい。
「ふ、ふふ、私に家族が出来るの?」
「たくさん」
そりゃもう、騎士様が涙目になって食糧事情を真剣に考えるぐらいポコポコと。
最初は大変だったけど、最近は夢の世界に勝手に卵を産み落としてますよ。子供から孫まで夢の世界で元気に好き勝手に暮らしてます。
「本当に?」
「あい」
「私一人でさえ、こんな厳重に封印されているのに、本当に?」
「神薙さんはもっと強くなります、ダンジョンの入口に陣取ってスタンピードを防いでいたこともあります」
まぁご飯に間に合わないとイラっとした事で瘴気が溢れ、その場所は死地になっちゃったけどね。
吸血鬼が砦を作って再利用しているので特に問題はないのである。
「僕も家族も神薙さんが大好き」
「そうなの?」
「お口の中でもぐもぐされるあれ、僕のこどもたちは一度はたいけんしてます」
バレずに盗み食いを達成できた子は今の所一人もいないそうです。
僕も無理だった。えっちゃんの力を借りても無理だった。
「盗み食い、とてもむずかちぃ」
「私の食事を盗もうとする方が間違ってるね」
邪神様きびちー。
「とても楽しそうな未来、そうか、お前、未来から来たのか」
「そうなの?」
「お前がここに来た時にまとっていた魔力と、今見た光景、海から出てきた気色悪い魔物がまとっていた魔力、秋の味覚が溢れたダンジョンの奥で遭遇した魔力、全て同一のもの」
海から出てきた気色悪い魔物と言えば一つだけ、うちの子にトラウマを刻んだペンギン事件かな。
秋の味覚と言えばもふもふの上で寝て、それをレイアさんに見つかって怒られた事があるような、ないような。
過去の記憶を見るだけで魔力の質を見抜くとか、うちの邪神様は僕が思っているよりずっとずっと凄かった。
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