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第三章 世界に降りかかる受難
第703話
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盗み食いしてないのにお口でシャッフルの刑にあったでござる。
生きた心地がしなかった。
涎でベトベト、魔王様が居なかったらクリーンをかけてもらえなかったかもしれない、ガクブル。
「大丈夫か?」
「ぺぺぺぺ」
確かに物理ダメージは受けないけれど、精神ダメージは食らった気分です。
記憶を覗こうともぐもぐされたので、いつもより長い時間甘噛みされました。容赦ない。
「何かぜんしんがくちゃい」
「ああ、酒でも飲んでいたのだろう、どれ」
魔王様が僕にクリーンをかけてくれました。
はぁスッキリ。
お酒臭い大人はやーねー。
神薙さん?
神薙さんはね、座敷でお腹を抱えて笑い転げています。
ひーひー言いながら呼吸がとても苦しそう、笑いすぎて呼吸困難起きてない?
僕をもぐもぐして記憶を見て、周防さんが周防くんになった辺りで僕をぷって吐き出してあのような感じになってしまいました。
衝撃というより笑撃?
そう言えば周防さんが転生した時も、神薙さんが一番笑っていたような。
いや、他の皆も笑ってたけど。
鑑定が終わったから吐き出されたというより、笑ったはずみで吐き出しちゃった感じ?
むーん、とりあえず僕の事は分かったのだろうか、不安が残りますなー。
お腹が空いたと訴えたら、懐からお肉が挟まったパンを取り出し、豪快に半分にちぎって僕にくれました。
ありがたい、ありがたいけれど……パンをちぎる時、魔王様がとても力を入れているように見えた気がします。
「いただきます」
「うむ、キチンと挨拶を出来るとはいい子だな」
褒められた所で実食である。あーーん。
ガブッと噛みつき、パンをもぐも……ぐぎ、んぎぎぎぎぎ……噛み切れない。
無心で戦っている間に思い出したのは、初めて刀雲と出会い、パンをもらったあの日の事。
そう言えば普通に噛み切れなかった。
成人していた僕がダメだったのに、幼児の僕が食べれる訳がない。
「あごいたた」
顎が疲れたので口を離し、パンを見てみたら歯形すら付いていなかった。
異世界のパンは硬いのが定番なのである。保存の関係だっけ?
「食べれないのか?」
「歯がね、いたた」
オロオロする魔王様。
そりゃそうだろう、基本的なかみ砕く力が違いすぎる。
「神薙、何かスープはないか?」
「周防がいれば作らせるんだけど、今は出掛けて不在なんだよね。ちょっと待って」
ようやく笑いが収まった神薙さんが空間に手を突っ込み、ゴソゴソしてから一枚の木皿を取り出した。
「昨日かな、新作だって言って奉納された青空スープ」
「あおい」
お皿を触ると温かいけれど、スープの色が青。
食欲を減退させたいのだろうか。
「私が一口食べちゃったけど、それでもいいかな?」
「貝の味しかしない」
パクッと一口食べてみたら、アサリとか帆立とかとにかく貝の味がカオスである。
不味いとかそういう次元じゃない、なんか全体的に貝の味が喧嘩しあって意味が分からない。
「私が食べた後だから、毒に変化している可能性もあったのだけど……」
「けぱ」
僕の状態異常無効はシャムスのスキルを共有していたからこそ、神薙さんも魔王様も僕を知らない、つまりシャムスがいない可能性の方が高い。
ここで問題です。
今の僕に毒は効くのでしょうか。
効いたらちょっと不味いですね。
あ、でもあれこれ考えている余裕あるし、意外と大丈夫なんじゃないかな。
だって神薙さんの毒だよ、普通に考えたら即死待ったなしだろうし、今のところ何の異常もない、じゃあ大丈夫か、美味しくないけどスープ食べちゃおう。
生きた心地がしなかった。
涎でベトベト、魔王様が居なかったらクリーンをかけてもらえなかったかもしれない、ガクブル。
「大丈夫か?」
「ぺぺぺぺ」
確かに物理ダメージは受けないけれど、精神ダメージは食らった気分です。
記憶を覗こうともぐもぐされたので、いつもより長い時間甘噛みされました。容赦ない。
「何かぜんしんがくちゃい」
「ああ、酒でも飲んでいたのだろう、どれ」
魔王様が僕にクリーンをかけてくれました。
はぁスッキリ。
お酒臭い大人はやーねー。
神薙さん?
神薙さんはね、座敷でお腹を抱えて笑い転げています。
ひーひー言いながら呼吸がとても苦しそう、笑いすぎて呼吸困難起きてない?
僕をもぐもぐして記憶を見て、周防さんが周防くんになった辺りで僕をぷって吐き出してあのような感じになってしまいました。
衝撃というより笑撃?
そう言えば周防さんが転生した時も、神薙さんが一番笑っていたような。
いや、他の皆も笑ってたけど。
鑑定が終わったから吐き出されたというより、笑ったはずみで吐き出しちゃった感じ?
むーん、とりあえず僕の事は分かったのだろうか、不安が残りますなー。
お腹が空いたと訴えたら、懐からお肉が挟まったパンを取り出し、豪快に半分にちぎって僕にくれました。
ありがたい、ありがたいけれど……パンをちぎる時、魔王様がとても力を入れているように見えた気がします。
「いただきます」
「うむ、キチンと挨拶を出来るとはいい子だな」
褒められた所で実食である。あーーん。
ガブッと噛みつき、パンをもぐも……ぐぎ、んぎぎぎぎぎ……噛み切れない。
無心で戦っている間に思い出したのは、初めて刀雲と出会い、パンをもらったあの日の事。
そう言えば普通に噛み切れなかった。
成人していた僕がダメだったのに、幼児の僕が食べれる訳がない。
「あごいたた」
顎が疲れたので口を離し、パンを見てみたら歯形すら付いていなかった。
異世界のパンは硬いのが定番なのである。保存の関係だっけ?
「食べれないのか?」
「歯がね、いたた」
オロオロする魔王様。
そりゃそうだろう、基本的なかみ砕く力が違いすぎる。
「神薙、何かスープはないか?」
「周防がいれば作らせるんだけど、今は出掛けて不在なんだよね。ちょっと待って」
ようやく笑いが収まった神薙さんが空間に手を突っ込み、ゴソゴソしてから一枚の木皿を取り出した。
「昨日かな、新作だって言って奉納された青空スープ」
「あおい」
お皿を触ると温かいけれど、スープの色が青。
食欲を減退させたいのだろうか。
「私が一口食べちゃったけど、それでもいいかな?」
「貝の味しかしない」
パクッと一口食べてみたら、アサリとか帆立とかとにかく貝の味がカオスである。
不味いとかそういう次元じゃない、なんか全体的に貝の味が喧嘩しあって意味が分からない。
「私が食べた後だから、毒に変化している可能性もあったのだけど……」
「けぱ」
僕の状態異常無効はシャムスのスキルを共有していたからこそ、神薙さんも魔王様も僕を知らない、つまりシャムスがいない可能性の方が高い。
ここで問題です。
今の僕に毒は効くのでしょうか。
効いたらちょっと不味いですね。
あ、でもあれこれ考えている余裕あるし、意外と大丈夫なんじゃないかな。
だって神薙さんの毒だよ、普通に考えたら即死待ったなしだろうし、今のところ何の異常もない、じゃあ大丈夫か、美味しくないけどスープ食べちゃおう。
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