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第三章 世界に降りかかる受難

第697話

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 空を飛べるモモンガポンチョ、滑空から悪者退治までお任せあれ。
 悪い人には制裁を与えるけれど、理由によっては許してあげる。

「お肉をお食べ、お寿司もおすすめ」
「俺、今日から神子様を崇める」
「おれもー」
「もぐもぐ」
「これ、Aランクの海老じゃない?」

 ギルド外で契約して騙されたのもまた勉強ということで、反省した後はお食事タイムです。
 なお騙した人は闇に消えました。
 やることが小悪党で本来なら死刑までいかないけれど、我が家の邪神様がお酒のおつまみをご所望だったらしく連れて行っちゃったのです。
 なーむー。

「な、なぁ、あそこ、ゴブリン職人の後ろで海老の殻を剥く魔道具みたいになってるの、騎士様じゃ」
「いかに地位が高くても、家でも地位が高いとは限らないんだぜ」
「普通に休日サービスじゃないか?」
「イネス様は相変わらず何でも使うよな」

 マグロを捌き終わった騎士様、今はイネスのために海老を延々と剥いているの。
 誰か言ってあげて、スラちゃんに任せれば解決するって。

「海老も好きですけどカニも好きです、次は秋の味覚ダンジョン行ってきます」
「あそこいいよな」
「俺らも一度行ったことあります、難易度高くて死にかけたなー」
「空飛ぶマグロ、討伐出来たのはいいけど、自分達じゃ捌けなくて食堂のおばちゃんに泣きつきましたよ」
「最奥行くと天国が味わえるって噂、あれ本当ですか?」

 本来なら口調が粗かったり、言動が野蛮だと言われる冒険者。
 でもアー君が講習会で最低限のマナーを身に着けさせた結果、このようにうちの子の前ではある程度の言葉遣いができているのです。
 お陰でうちの子の口調が乱れる事もなく、僕はとても満足である。

『ママが作ったセーフエリアね』
「露天風呂あるぞ」
「最高級のお酒と松茸御膳でます」
「さらに運がいいとSランク御膳になるんよ」

 あのダンジョンでシャムスと一緒に牛に乗ってお散歩したなぁ。
 次はぜひ空飛ぶマグロでお散歩したい、むしろする。

 ……ダンジョンでマグロをスカウトして、僕の領地に放つのどうだろう、きっと楽しい。
 他にも一トントラックよりも遥かに大きいカニとか海老いたね、うん、キャンプが終わったらスカウトに行くとしよう。

 他にも野生の牛がいたら声をかけてみようかな、妖狐のお兄さんに牛乳を提供したい。
 スラちゃんとセットで渡せば色んな乳製品が楽しめるはず、うむ、領民に差し入れは大事よね。

「神子様がやけに静かですけど、大丈夫なんですか、あれ」
「俺らには多分無害だからセーフだな」
『人間には優しいかは微妙よね』
「神薙神社でお祓いした方がいいですよ」
「ダンジョンでドロップした高級酒奉納します」
「邪神様よりたちが悪いってどうなんだろう」
「リーダー、この間手に入れた宝玉も奉納しておこう」

 あれこれ思案していたら好き勝手言われていたでござる。

「寿司か、妻は玉子が好きなんだ」
「ぎゃ!」
「魔王様です! いらっしゃい!」

 姿を認めた瞬間、イネスが一瞬で魔王様の肩に移動した。
 奥さんはどこだろうと探したら、無心で海老の殻を剥く騎士様に挨拶していました。
 そしてついに「スライムに手伝ってもらわないのですか?」と一言、その言葉にハッとする騎士様、今まで気付いていなかったようです。
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