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第三章 世界に降りかかる受難

第695話

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 勇気を出して野菜を食べようとしたら、僕の周りに小動物が集まっていました。
 ここはキャンプ場ではなくパラダイスだったのか!!

 ラノベで登場する回数が多く、初期の討伐に選ばれることも多い角兎。
 白くてふわふわ、見た目は兎なのに肉食、でも人参も食べてくれるヒーローである。

 狸っぽい子に毛玉のような鳥、前歯が発達しているメルヘンなネズミ、白い狐、銀色狐、オレンジの狐に黒い狐……狐多いな!
 手分けして焼き野菜を食べてもらったのに、お皿の上から野菜が減らないホラー現象発生中。

 どうやら自分の量は食べないと許してくれないっぽいです。
 諦めて皆とポリポリ、一人で野菜だったら途中放棄するところだった。

 狐たちは色が違うだけで全部同じ種類と見た。
 顔かたちや尻尾の長さとかそういうのがだいたい同じだから間違いない。

 お肉の方に行かないのかなぁ?
 まぁあっちは銀狼やドラゴン、邪神一家がいるから近付けないのかもしれないけど。
 うむ、考えたら野生動物や魔物にはハードルが高い気がする。

 それに比べ、僕は謎能力発動で動物全般に優しい世界。
 もしやスライムやゴブリンと並んで初期魔物である角兎がもふっとふわっとしているのは、すでに謎能力が発動した後なのかな? 相変わらず発動タイミングが謎である。
 もふもふ天国万歳。

 なんとか野菜を食べ終わり、そろそろお寿司食べようと立ち上がろうとしたら狐が両サイドでお休みしていました。
 お寿司は自宅で食べます。
 今はもふもふハーレムを堪能するお時間なのです。

 なんて思っていたら、お肉をある程度食べて満足したらしいローとルドがこちらへ走ってきました。
 白と銀色の子は寝たままだったけど、その他の子が誘いに乗って走りだしました。
 あっ、兎と狸も行っちゃった。

 前歯の大きいネズミさんたちは近場から枝を拾ってきて、なぜか木彫りのモモンガ人形を作っています。
 野生動物だよね?

 角兎はそれを見て一つ頷くと、どこかに駆けて行って強そうな木の枝をくわえて戻ってきました。
 角で枝を折ったのかなぁ?

 毛玉みたいな鳥は……どこにいるかと思ったら、白い狐の背中で大の字になって寝てました。
 鳥? 野生?
 謎能力の影響にしても自由過ぎない?
 ここは一応お外よ?

 そんな風に無言で動物たちの行動を見守っていたせいか、人が近付いて来るのに気付かなかった。

「こっち、こっち、珍しい植物が採れるんだって」
「待てって、どう見ても整備された場所じゃねぇか、しかも見える範囲に人がいるぞ」
「いやいやいやいや」
「お前なんかの言葉を信じた俺らが愚かだった」
「すみません、生きて帰ったら地理を真面目に勉強するから許してください」

 会話の後半が全部謝罪。
 どうやら仲間の一人がここに誘い、来てみたらヤバイ場所だった。みたいな?

 一種の神域みたいな所だからなぁ。
 夜になるとアンデッド集団が見回りするけど。

 だってここ神様専用キャンプ場よ?
 あっ、でも境界線も何もないから冒険者が迷い込むのは仕方ないかー。仕方ないよね?

「見ろよ、珍しい銀狐があんなにくつろいでる。ここからなら一匹ぐらい」
「いい加減にしろ、マジで」
「アウト、アウト、グレーじゃなくてアウト」
「こういう時、誰にかしこみしたらいいと思う?」
「神子様一択で。俺らが生き残るにはそれしかない」

 君たちがいる木の反対側にいるよー。
 あと、ここにいるもふもふは謎能力の影響受けているから倒せないと思う。
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