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第三章 世界に降りかかる受難

第692話

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 存在の認知具合がどうたらこうたら、ならば認知すれば見えるようになるのかな?
 難しいことは分からない、でもいけると思うの謎能力とえっちゃんというダブルチートがあれば。

「む、むむむーーー!」

 それっぽい動作で見えろー見えろーと念じてみた。

『神子様ー』
『お優しい』
『ありがたやぁ』

 見えました。
 掌に乗る平均的なフィギュアサイズのふわふわした生き物が。

「身体は緑なのね」
『風の精霊よ』
「一口で食えそうだな」
「物語ではシルフと呼ばれてますね」
「腰から生えてる羽が葉っぱみたい」

 いつの間にか全員集合してました。
 見えるようになった精霊を取り囲み、ツンツンしたり掴もうとしたりしてます。
 動作が乱暴なのは、ほら、うちの子まだ幼児だから手加減が苦手なの。

『じゃあお昼まで皆で遊びましょう』
「そうだな、夢の世界から逃亡した訳じゃないならいいか」
「逃げた所で私たちの庇護をなくすだけです」
「無慈悲なんよ」

 夢の世界で保護していたのに、一部の精霊が抜け出して人間に悪戯を唆して事件を起こした事がある。
 あの時は確か……世界をえっちゃんが包んで、こう、ぎゅっとまとめた所をシャムスがもみもみ、一度スライムにしてから元の形にしたけど、それでも精霊と括りでいいのかなぁ?

 夢の世界だから出来る荒業だったなぁ、夢と現の合間の世界だから結構何でもありなのよ。
 ……いや、現実でも実現可能な気がしてきた。

 だってほら、今も襲い掛かってきた魔物をえっちゃんが捕まえ、シャムスが揉みこんでスライムにしている。
 あれの原理は誰も分からない、なんかやったら出来た。というやつです。

「魔物が多いなぁ」
「見通しいいですからねー、見慣れない私たちがおやつに見えてます?」
『ママが狙われてる気がします』
「イツキが弱っちい魔物に見えるんか」

 新種の魔物だと思われてるの!?
 確かにムササビはこの世界にいないけど。

「ふぃー」

 やっと着いたのは丘の頂上、お昼のためにお腹を空かせなきゃな! という子供たちの主張で自分の足で歩く羽目になった。
 ルドがいたら背中に乗りたいと思ったけど、ローと一緒に湖に遊びに行っちゃったんだよね、無念。

『誰かいるよ』
「知り合いな気がする。おーい」

 頂上に着いた所で地面に寝っ転がった。
 お空青くて綺麗ね。
 白い雲、わたあめ、たい焼き、あっちはマンガ肉。

 おや、頂上で横になったはずが、どうやら斜面に寝てしまったようだ。
 体がずるずると坂を下りている。

 幸い子供たちは別のことに気を取られてこちらを見ていない。

「お空飛ぶのもう一回」
『はぁい』
『神子様の願いなら喜んでー』
『いっくよー』

 今度は背泳ぎならぬ背飛びである。
 危険なのでよい子は真似しちゃダメですよ。
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