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第三章 世界に降りかかる受難

第687話

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 櫓の上で涼玉がノリノリで盆踊りを踊っている。
 その周囲を集まってきた子供たちが笑いながら踊っている光景、うむ平和である。

 うちの子が思う存分遊ぶにはやはりゆとりは必要ね。
 遊んでばかりいないで、多少は世界の安定のために働かねば…………いや、別に相手は人間な必要はないね、もふもふでも構わないはず、もふもふが踊れば僕も幸せ。
 やっぱりもふもふが幸せに暮らせる世界を作る方向でこれからも頑張ろう。

「父ちゃん一緒におどろーよー」
「すまん、この酒が美味くてっ」
「肉が口の中で溶けるっ」

 大人は踊りよりお祭り料理を楽しむことを優先しているのは仕方がない、普段は食べれないものばかりだろうからなー、ギルドでは食べれるけど知ってる人はあまりいないだろう。
 料理に夢中で子供から目を離しているけど、悪いことを考える人がいないとは限らないので安全のためにショタ守護神を招待したので安心しておくれ。

「イネス節いくぜ!」
「みゃん!!」

 連続で踊って疲れないのだろうか、とちょっとだけ思ったけど、稲刈り大会では余裕で数時間踊ってたなぁ。
 反動で後で大食いするけど。

 そうだドリちゃんに連絡して、涼玉のための夜食の手配しておかなきゃ。
 えっちゃん連絡お願いね。

「イネスーが、出たでーた。イネスーが出たー!」
「みゃん、みゃん!」

 ポンポン、とリズムに応えるように教会の周囲に花が咲く。
 ちなみにあちらのお花、イネスの加護も追加されているので魔除けになります。最近分かった。

 ほんのり光っているので神秘的、朝方採れる密には滋養があるのでぜひ領主さんに食べてほしい。
 心労からめまいを起こし、階段落ちした領主さんはベッドの上なので祭りには不参加、でも教会から差し入れが届けられたので今頃ごちそうを食べているだろう。
 ひよこ豆のスープも一緒に添えたらしいので、きっと明日の朝には元気になってるよ。

「イツキも一緒に踊んのよ」
「ネヴォラいつの間に」
「商業ギルドに声をかけられて屋台設置のアルバイト」

 ネヴォラが示した先を見れば、ゴブリンが当たり前のように屋台で手腕を振るっていた。
 どうやら今回はたこ焼きでの参加のようです、もちろん外側カリッと中身はとろっとろの方です。

「はやく!」
「あい」
『僕も踊るー』

 シャムスも一緒に踊りの輪に加わり、涼玉の踊りを真似ながら踊ったけど、幼児の体は動かすはとても大変、元日本人としてお手本を見せてやろうとしたけど無理だった。
 僕の知ってるやつよりリズムが早いっ、あ、あぁ、手が絡まりそう。

「お、おわったっ」

 すんごい疲れた。
 見てる分には楽しめたんだけどなぁ、涼玉こんな感じで踊ってたの!?

 フラフラしながら僕は撤退、異世界版の盆踊り舐めてた。

「よーし、じゃあ次は俺を呼んだ領主に健康を届けるため、強い感じの踊りいっくぞーー!」
「みゃーん!」
『つよいぞ~』
「あれ、イツキは? 一曲でダウン? 体力ないなー」

 ネヴォラよ何とでも言うがよい、僕はもう動けない、多分きっと明日も動けない。
 筋肉痛確定である。
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